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倉庫の外壁として人気の波型スレートとは?概要とメンテナンス方法を解説
更新日 : 2023/10/04倉庫の外壁や屋根としてよく利用されている波型スレート。倉庫に求められる耐久性や耐火性などが高く、倉庫の外壁といえば波型スレートといったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?しかし、倉庫の外壁として多くのメリットを持つ波型スレートも、定期的なメンテナンスを怠れば、劣化が早まり余計なコストがかかってしまうでしょう。今回は倉庫の外壁として人気の高い波型スレートについて、特徴やメリット・デメリット、メンテナンスの方法をお伝えします。企業で倉庫管理を担当される方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
倉庫の外壁として人気の高い波型スレートとは?
倉庫はもちろん、工場の外壁や屋根にもよく使われている波型スレートとは、セメントと繊維を混ぜ合わせ、波状にした板のことです。
波型スレートには、大波スレートと小波スレートがあり、外壁に使われているのは小波スレートです。それぞれ正確な基準があるわけではありませんが、おおよその違いは次のとおりです。
波の間隔 | 波の高さ | |
大波スレート | 130mm前後 | 38mm前後 |
小波スレート | 63.5mm前後 | 18mm前後 |
また、今回紹介する波型スレートは、パルプとセメントで人為的に作られた人工スレートです。これ以外に、屋根材を中心として一部、外壁でも使われる天然スレートがあります。ただし、施工に高度な技術が必要なことや価格が高いこともあり、現在では屋根、外壁ともに人工スレートを使うのが一般的です。
なお、波型スレート以外に倉庫の外壁として使われているものとしては、ALC(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート)や、金属サイディング、コンクリートなどがあります。
なお、横浜や神戸など港町でよく見かけるレンガが外壁の倉庫ですが、この場合のレンガは倉庫を形づくる構造体の一部です。そのため、上述したような外壁とは異なります。
倉庫の建築方法や注意点について詳しくは、「倉庫建築にかかる期間は?建築時の注意点や業者の選び方も解説」をご覧ください。
また、倉庫や工場の屋根については、「工場で見られる屋根の種類と改修のタイミング、ポイントを解説」をご覧ください。
波型スレートを外壁に使うメリット・デメリット
倉庫の外壁として高い人気を持つ波型スレートですが、なぜほかの外壁に比べ人気が高いのでしょう。ここでは、波型スレートの主なメリット、そしてデメリットについても解説します。
波型スレートを外壁に使うメリット
- 耐久性
波型スレートは耐用年数25年以上ともいわれる優れた耐久性があります。定期的なメンテナンスは必要ですが、長く使用できるというのは、コスト面から見て大きなメリットと言えるでしょう。
- 耐火性
スレート板の素材は、セメントと繊維を混ぜ合わせたものが中心です。これは、国が定める法定不燃材料であり、高い耐火性があるとされています。保管するものにもよりますが、可燃性のものを入れる場合は特に耐火性は重要であり、法定不燃材料で作られている波型スレートを使用することはメリットのひとつです。
- 遮音性
波型スレートは雨風の音が内部に大きく響かず、外部からの音も入りにくい造りです。そのため、内部の音も外に漏れにくく、高い遮音性が期待できます。倉庫内の作業にはフォークリフトのような車両を使う場合もあり、遮音性が高い波型スレートであれば、周囲に迷惑がかかるリスクの低減も可能です。
- 低コスト
ほかの外壁に比べ安価に設置できるのも波型スレートの大きなメリット。建築コストが安く耐久性も高いため、コストを抑えて建築でき、さらに長期にわたってコストを抑えた倉庫運用が可能です。
波型スレートを外壁に使うデメリット
- 汚れが目立ちやすい
波型という形状から、埃(ほこり)やゴミが付着しやすく汚れが目立ってしまう可能性があります。もちろん定期的なメンテナンスにより汚れは落とせますが、外壁であるだけに放置していると倉庫全体の見栄えも悪くなってしまうでしょう。
- 古いスレートはアスベスト含有の可能性がある
2004年以前に製造されたスレートは、発がん性や中皮腫などを起こす可能性が高いアスベストが含まれている可能性があるといわれています。そのため、経年劣化により張り替えが必要になった場合は、特別な処理が必要です。
波型スレートに使われているアスベストは発じんの度合いを表す3段階のうちのレベル3で、アスベストのなかでは危険性が高い方ではありません。しかし厳重に管理しなくてはならないため、廃棄する場合は特別管理産業廃棄物として最終処分場に持ち込む必要があります。そして、処分時の収集運搬は必ず特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者に依頼しなくてはならず、余計なコストがかかってしまうでしょう。
波型スレートのメンテナンス方法
波型スレートの定期メンテナンスが必要な理由
波型スレートは耐久性が高く、頻繁なメンテナンスをしなくても長期間にわたって使用できるのが大きなメリットです。ただし施工の際、スレート板を鉄製のボルト(フックボルト)に引っ掛けて取り付けるため、放置しているとフックボルトが劣化するリスクがあります。
フックボルトが劣化して錆びついてしまうと、その部分から水漏れが起きる可能性もあるため、数年に一度はフックボトルを確認し、劣化が進んでいれば早急な交換が必要です。
波型スレートのメンテナンス方法
フックボルトだけではなく、スレートの劣化が進んだ場合のメンテナンス方法について解説します。
- 塗装
スレートの色あせや汚れだけであれば張り替えの必要はありません。再塗装によって修繕が可能です。塗装にかかる費用は使用する塗料により異なります。
倉庫塗装について詳しくは、「倉庫塗装の重要性と塗装にかかる費用目安を解説」をご覧ください。
- 一部のみ張り替え
強風による飛来物や地震などで一部分だけに割れやヒビが入った場合なども、全体の張り替えは必要ありません。割れやヒビが入った部分だけを張り替えることで修繕できます。
- カバー工法
一部だけではなく、全体にヒビや割れが入る、経年劣化で一部張り替えでは見栄えが悪いなどといった場合は、全面張り替えが必要です。ただ、倉庫の大きさにもよりますが、全面張り替えはコストがかかるため、多くの場合、あまり現実的ではありません。そこで、一般的には既存の波型スレートに金属サイディングを張って仕上げるカバー工法で修繕します。
倉庫の外壁メンテナンス方法は、倉庫の種類によっても変わる場合があります。倉庫の種類について詳しくは、「倉庫の種類とは?自社の目的に合わせた倉庫を選ぼう」をご覧ください。
倉庫外壁の改修・改築は専門業者への依頼がおすすめ
倉庫の外壁として使われる波型スレートは耐久性が高く、頻繁なメンテナンスが必要ないことも人気が高い理由となっています。しかし、接続に使うフックボルトの劣化や、強風・地震などによる割れ・ヒビなどが発生すれば、倉庫内に水漏れが発生するリスクもあるため、早急な改修・改築が欠かせません。
また、全体的に劣化が進んだ場合、カバー工法による改築が必要になりますが、迅速な対応ができないと倉庫業務にも支障が出てきてしまうでしょう。
そのため、倉庫の外壁メンテナンス、改修・改築は専門性の高い業者に依頼するのがおすすめです。三陽建設は、倉庫や工場の外壁改修・改築の豊富な施工実績があり、さまざまなメンテナンスに対応していますので、お気軽にご相談ください。
倉庫の改修・リニューアルをご検討の方は「三陽建設のリニューアル・リノベーション」をご覧ください。