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GMP認定工場とは?GMPの概要とGMP認定工場建設のメリット・注意点を解説

更新日 : 2023/10/04
GMP認定工場とは?GMPの概要とGMP認定工場建設のメリット・注意点を解説

医薬品や医薬部外品、健康食品などの製造販売を行う企業にとって、GMPに対応した工場を建設することは顧客の安全を守るうえで大切なことです。ただし、この認定を受けるには、GMPを理解するとともに、GMP認定工場を建設する際の注意点を把握しておかなくてはなりません。そこで今回は、GMPの概要や健康食品の製造を行うGMP認定工場を建設するメリット・注意点などをお伝えします。特にこの記事では健康食品のGMP認定について解説します。健康食品のGMP認定工場の建設を検討されている際は、ぜひ参考にしてください。

GMPとは?

GMPとは、「Good Manufacturing Practice」の略称で、「適正製造規範」と訳されます。医薬品や健康食品の製造において、原料の受け入れから出荷に至るまでのすべての工程で、適正な製造と品質の管理を求めるものです。

具体的には、

・人為的ミスを最小限に抑える

・製品の汚染・品質低下を防止する

・品質保証のシステムを構築する

をGMPの3原則とし、実現させるための取り組みを明確にしたものが、GMPだと言えます。

GMPについて、より詳しくは「GMPとは?―GMPの意味やGMP省令の改正点などについても解説」をご覧ください。

GMP認定工場とは?

GMPは医薬品や医薬部外品、健康食品などの製造に対して設けられている規範ですが、そのうち健康食品に関しては、GMPの認定を受けることで「GMP認定工場」となることができます。この認定は、厚生労働省の「健康食品GMPガイドライン」に基づいて、民間の第三者機関が、申請のあった健康食品製造会社の工場ごとに審査・査察をし、客観的に行われています。

健康食品GMPガイドラインの3原則

製品の品質を保つための大きな目標として、以下の原則を掲げています。

・各製造工程における人為的な誤りの防止

・人為的な誤り以外の要因による製品そのものの汚染および品質低下の防止

・全製造工程を通じた一定の品質の確保

出典:GMPマークを目印に健康食品を選びましょう!|公益財団法人 日本健康・栄養食品協会(PDF)

現在、国内で健康食品のGMP工場の認定審査を行っている第三者機関は、「公益財団法人 日本健康・栄養食品協会」と「一般社団法人 日本健康食品規格協会(JIHFS)」の2つです。ここでは、日本健康・栄養食品協会に認定を受けるまでの流れを紹介します。なお、医薬品に関しては、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、リスクの高い医薬品を製造する国内外の製造所に対して、GMPに適合した適切な品質で製造される体制が整えられているかどうかの調査を行っています。

GMP認定工場の認定を受けるまでの流れ

申請の要件として、申請時にGMPに基づいた管理実績が3カ月程度あることが求められます。その後の流れは次のとおりです。

  1. 認定申請書の提出
  2. 調査員による書類調査
  3. 書類調査における指摘事項の改善
  4. 調査員による実地調査
  5. 実地調査における指摘事項の改善
  6. GMP工場認定審査会による審査
  7. 認定

なお、申請から認定までに要する期間はおよそ半年から1年です。また、認定期間は3年間で、認定の継続には3年ごとの更新申請が必要です。更新時には上述の流れと同様の調査や審査が行われます。

出典:申請までの要件・認定までの流れ・認定後|公益財団法人 日本健康・栄養食品協会

GMP認定工場に求められる主な品質管理

GMP認定工場にはさまざまな品質管理が求められます。ここでは、そのなかでも主な項目を見てみましょう。

  • 製造した製品は、正しい原材料を用い、正しい量が含まれているか

設計書に記載されている原材料、内容量に間違いがなく製造がなされているかどうかの管理

  • 衛生面に配慮して製造されているか

施設や作業員の衛生状態の管理

  • 異物混入もしくはほかの製品が混同していないか

虫や髪の毛、ほこりなど、本来入ってはならないものや、ほかの製品やその原材料などが混入・混同されていないかどうかの管理

  • すべての製品が均質かつ設計どおりに製造されているか

製品によって内容量、製造方法が異なってはいないか、設計書どおりに均質に製造されているかどうかの管理

  • 賞味期限内の品質保証は確かか

賞味期限内の品質は保証できるか、途中で味が変わる、効能が変わるといったことはないかどうかの管理

  • 製造および品質管理に関し、あらゆる記録が規定どおりに作成・保管されているか

製造や品質管理の記録が規定どおりに作成され、紛失や破棄されることなく厳格に保管されているかどうかの管理

  • 規格外の製品がある場合、間違えて出荷されないよう、チェック体制が整備されているか

出荷の際に二重、三重のチェック体制が整備されているか、注文された製品と異なる製品を出荷してしまっていないかどうかの管理

  • 購入者や販売店などから苦情が入った際、適切な対応を行うためのサンプルや製造・品質などの記録を保存しているか

苦情・問い合わせが入った際、適切かつ迅速な対応をするための準備が整備されているか、担当者によって異なる対応をしないよう、サンプルや製造・品質管理の記録を保存しているかどうかの管理

GMP認定工場を建設するメリット

GMP認定工場の認定を受けるには、さまざまな準備はもちろん、徹底的な製造・品質管理や衛生面に配慮した工場の建設が求められます。GMP認定工場の認定を取得することによって、企業には次のようなメリットがもたらされると考えられます。

顧客や販売店からの信頼を得やすくなる

日本健康・栄養食品協会から「GMP認定工場」として認定されれば、「GMP工場マーク」の使用が可能です。また、GMP認定工場で製造された製品に「GMP製品マーク」を表示することができます(別申請)。これにより、製造段階から安全や衛生面に配慮して作られているという信頼感を得やすくなります。

競合との差別化につながる

日本の工場で製造しているということも、競合との差別化要因のひとつではあります。しかし、単純に日本の工場というだけではなく、日本のGMP認定工場で製造されているとなれば、競合とのさらなる差別化につながります。

GMP認定工場を建設する際の注意点

GMP認定工場に認定されるためには、製造・品質管理も重要ですが、それを行う工場自体にも厳格なつくりが求められます。具体的には次のような点に注意が必要です。

建設場所や周辺の環境

安定した製造を行うためには、地震や台風といった自然災害が少なく、地盤がしっかりした場所が求められます。また、衛生面の観点から虫や小動物などが入り込んだりしない場所であることも重要です。

工場外観の設計

虫や動物が入り込まない場所の選定は重要ですが、そのうえで側溝・排水の設計、外壁や窓の施工など、万が一を防ぐ対策も欠かせません。また、土、花粉が建物に入り込まないよう、人が出入りする場所での対策が必要です。

工場内部の設計

細菌や小さなほこり、ゴミを取り除き、製品に付着させないためのクリーンルームの設置も欠かせません。また、ほこりがたまったり舞い散ったりしないための工夫、清掃をしやすくするための工夫、照明・温度・湿度管理、適切な換気ができる設計を施す必要があります。

クリーンルームについて、詳しくは「クリーンルームのクラスとは? 定義や規格、建設のポイントを解説」をご覧ください。

GMP認定工場の建設は実績豊富な業者に依頼するのがおすすめ

健康食品の製造を行う工場では、GMP認定工場の認定を得ることで、顧客や販売店からの信頼を得られ、競合との差別化にもつながります。安心安全な製品をお届けすることを可能にするためにも欠かせないものと言えるでしょう。

ただし、GMP認定工場の認定を受けるには、常にGMPに基づいた管理の実行が求められます。そのため、建設の段階でGMPに対応した設計・施工の実績を持った業者への依頼が重要です。三陽建設は、GMPに対応した工場の豊富な施工実績を持ち、安心安全な工場建設を可能にします。GMPに対応した工場建設を新たに検討している際は、お気軽にご相談ください。

また、三陽建設では設備等が目的用途に適しているか確認して文書化を行う、バリデーションサービスにつきましてご対応しております。ご興味ある方は、ぜひ三陽建設までお問い合わせください。

GMPに対応した工場の新規建設をご検討の方は「三陽建設の新規建築」をご覧ください。

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