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工場・倉庫の暑さ・熱中症対策はどうすればいい?個人でできる対策も詳しく解説

更新日 : 2024/06/21
工場・倉庫の暑さ・熱中症対策はどうすればいい?個人でできる対策も詳しく解説

日本の夏は高温多湿で、近年では、最高気温が30度を超える真夏日や35度を超える猛暑日も珍しくありません。特に7月や8月の日中は、過酷な暑さが毎日続くケースも多く、熱中症にかかるリスクも増大しています。そこで注意しなければならないのが、倉庫や工場での暑さ対策です。一般的に、倉庫や工場はその構造から熱がこもりやすく、高温になるリスクが高いといわれています。

今回は、倉庫や工場の暑さ・熱中症対策を解説します

工場全体で行う対処と個人でできる対処を分けて具体的に解説しますので、倉庫・工場管理業務の企業担当の方はぜひ参考になさってください。

工場・倉庫全体で行う暑さ対策

まずは、工場や倉庫全体で行う暑さ対策を紹介します。

空調設備の活用

空調設備を適切に活用し、快適な温度設定を徹底することが欠かせません。また、熱がこもりやすい場所には大型の扇風機やシーリングファン、スポットクーラーなどを使い、空気を循環させることで全体の温度を下げることも重要です。そのうえで定期的に点検を行い、故障や劣化に備えましょう。

倉庫内の換気対策については、「倉庫に換気が必要な理由とは_換気効率を上げる4つのポイントを解説」を、除湿対策については、「倉庫の除湿が重要な理由とは_具体的な除湿対策を解説」をご覧ください。

遮熱材の活用

屋根材や構造自体を変えるのは簡単ではありませんが、屋根や壁に遮熱塗料や遮熱シートを使って対策を行うことは可能です。遮熱材をうまく活用すれば、放射熱で倉庫や工場内が高温になるのをある程度は防げます。

屋根用スプリンクラーの活用

遮熱材のほか、散水も屋根の温度を下げるのに効果的です。屋根用のスプリンクラーを設置すれば、折板屋根が放射する輻射熱を和らげられます。

間仕切りシート・カーテンの活用

物流倉庫の場合、頻繁にトラックが出入りするため、外気が流入し高温になってしまいます。これを避けるには、搬入・搬出口付近に間仕切りシートやカーテンを設置するのが効果的です。種類によっては、遮熱以外に防虫・防じん効果がある場合もあり、倉庫内の衛生を保つ効果も期待できます。

工場の場合は工場内が広く、従業員も動き回っていることが多いため、そもそも冷房が効きづらい傾向にあります。そのため、作業場に間仕切りシートやカーテンを取り付け、エアコンなどの空調設備が効きやすい環境にすることが効果的です。快適な作業環境を作ることができるに加え、エアコンの効きがよくなり省エネにも繋がります。

専門業者に相談する

ここまでに紹介したような応急処置的な対策でも、ある程度の効果は期待できますが、それでも暑さが解消されない場合は、倉庫・工場自体の改修も検討する必要があるでしょう。その際は、できるだけ早めに専門業者に相談するのがおすすめです。

個人で行える暑さ・熱中症予防

次に、個人で行える暑さ対策を紹介します。作業者の方だけでなく管理者の方も把握しておくと、熱中症の発症リスクを低減に役立つ内容です。工場や倉庫で行う暑さ対策とあわせて確認してみましょう。

こまめな水分補給

高温のなかで作業すれば汗をかきますが、そのままにしておくと脱水症状を起こし、熱中症になるリスクも高まります。そのため、こまめに水分補給を行い、汗で失った水分を補えるようにしましょう。

ただし、汗を大量にかいた際には、塩分不足にもなるため、塩飴や塩タブレットを合わせて摂取するなど、なんらかの方法で塩分補給を行うことが重要です。また、カフェインが入ったドリンクやジュース類は水分補給には適さないと考えられているので、注意しましょう。水以外では、麦茶や炭酸水がおすすめです。

暑さ対策グッズを活用する

近年、空調服や冷感シート、清涼インナー、ネッククーラー、クールタオルなど、個人でも用意できる暑さ対策グッズも増えています。これらを必要に応じて作業員に支給もしくは自身で用意するようにしましょう。

体調管理をできる限り行う

体調不良の状態だと熱中症の発症リスクが高まります。そのため、身体が暑さに順化できる状態を目指すのが理想です。
順化とは、生物が気候条件に適応することを指します。日頃から運動や入浴などで汗をかいて、体温調整しやすい状態を目指すことで暑さに順化しやすくなります。
もちろん、異常な暑さを耐えてはいけません。体調管理を行って順化を目指す際には、ご自身に無理ない範囲で徐々に行いましょう。

工場・倉庫が暑くなる主な理由

倉庫や工場が暑くなってしまう理由はいくつかあります。主な理由としては以下が挙げられます。

屋根からの輻射熱で暑くなっている

倉庫や工場が暑くなってしまう理由のひとつは、屋根の形状にあります。多くの倉庫や工場の屋根は金属製の折半屋根になっていて、それが直射日光に照らされることで熱せられ、輻射熱を放射することで倉庫や工場内が暑くなってしまうのです。特に折半屋根の下に仕切りや断熱材がない倉庫や工場は、放射熱がじかに伝わるため倉庫・工場内が高温になります。

風通しの悪い構造によって熱がこもりやすくなっている

倉庫は大量の荷物の保管、工場は大型設備などの機械が設置されているため風通しが悪くなり、空調設備があっても至るところで熱がこもってしまうケースも少なくありません。また、収容する荷物によっては密閉空間にしなくてはならない場合もあり、これもまた倉庫や工場内に熱がこもってしまう原因となります。

そのほか、天井が高く面積が広いため空調が効きにくいといったことも、倉庫や工場が暑くなる理由として考えられます。

外気の流入しやすい作業形態が影響している

物流倉庫の場合、頻繁に荷物の出し入れを行うため、搬入・搬出口は開放状態の時間が長くなり、倉庫内に外気が流入します。その結果、空調を強くしてもなかなか倉庫内の温度が下がらず、暑くなってしまうのです。

工場の場合は、設置されている機械から発生する熱も工場内の温度が高くなる要因に関係しています。
他にも、火や熱湯を使う食品工場であれば、工場内の温度は必然的に上昇し空調は効きづらくなります。

倉庫や工場で暑さ・熱中症対策を行わないことのデメリット

地球温暖化などの影響で平均気温の上昇傾向が予測されるなか、ただでさえ以前に比べて気温が高くなっている夏に、高温になりがちな倉庫や工場で暑さ対策を怠れば、さまざまなデメリットが生じます。具体的には次のとおりです。

作業員に健康被害が生じる

厚生労働省では、熱中症対策として、WBGT値(暑さ指数、単位:摂氏度)を紹介しています。作業を行う場所におけるWBGT値が、基準値を超えるおそれがある場合には、熱中症にかかる可能性が高くなります。同省の「職場のあんぜんサイト」に掲載されている「身体作業強度等に応じたWBGT基準値」の表によると、例えば、「軽量な荷車や手押し車を押したり引いたりする」作業は「中程度代謝率」とされ、その場合のWBGT値は26~28です。「重い材料を運ぶ」作業は「高代謝率」とされ、その場合のWBGT値は気流を感じるかどうかで幅があり、22~26となっています。高温になりがちな倉庫や工場では28を超えてしまうケースも多く、そのなかで作業を継続すれば、熱中症のリスクも高まり、作業員の健康被害が生じる可能性が大きくなります。

参照「環境省:暑さ指数(WBGT)について

作業効率が低下する

倉庫や工場での作業の多くは身体を使った作業になるため、高温になれば汗をかきやすくなり、服がぬれて不快感が増す可能性も高まります。不快感が増せば作業への集中力も削がれがちになり、結果として作業効率が低下してしまうでしょう。

保管している商品が劣化する

食品や精密機器など、保管する物品によっては高温に弱い場合もあります。倉庫や工場内を高温のままにしておくと、商品が劣化し、大きな損害につながるリスクが生じるでしょう。

早期離職が増えるリスクがある

倉庫や工場内が高温になることによって作業効率が下がり、健康被害が起きやすくなれば、作業に対するモチベーションの低下を招き、結果として離職率が上昇するリスクが高まるでしょう。

倉庫や工場内の設備や機器の故障リスクが高まる

倉庫や工場内が高温になることによる影響は、保管する商品やそこで働く従業員以外にもおよびます。例えば、設備や機器にも暑さによる故障や誤作動のリスクがあり、正常に動かなくなってしまう可能性もあるでしょう。

倉庫や工場での暑さ。熱中症対策は専門家への相談がおすすめ

倉庫や工場は一般的なビルや住居とは異なる構造であるため、建物内に熱がこもりやすく、場合によっては40度を超えてしまうケースも珍しくありません。

40度以上の高温が続けば、作業効率が悪くなるのはもちろん、作業員の脱水症状や熱中症などの健康被害リスクも高まります。作業員の健康を守り、業務効率を上げるには、暑さ対策が重要なポイントとなるでしょう。

具体的な対策としては、空調設備の適切な配置や管理、こまめな休憩と水分補給などが考えられますが、倉庫・工場自体の改善が必要となる場合もあります。そのため、できるだけ早い段階で専門家へ相談するのがおすすめです。

三陽建設では、これまで数多くの倉庫・工場建設を行った経験と知見をもとに、倉庫や工場の暑さ対策にも適切に対応します。暑さ対策の実施を検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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