建築全般
システム建築とは?建築技法の特徴とメリット・デメリットを解説
更新日 : 2023/10/04工場・倉庫・物流施設などの建設を考えた際に、安価でスピーディに建設する方法として認知されているシステム建築ですが、どのような工法にもメリットとデメリットが存在します。この記事では、システム建築の特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。従来工法と比較した際の違いも紹介しますのでシステム建築を検討されている事業者様は、参考にご覧ください。
Contents
システム建築とは
システム建築は、建物を構成する部材を標準化することにより、設計・原材料選択・見積もり・生産といったプロセスをシステム化した建築工法です。
在来工法に比べデザインの自由度が低い代わりに建設のうえで想定される検討事項・仕様が予め標準化されているので高品質でありながら、低コストかつ迅速な建築が可能です。現在では平屋だけでなく、二階建ても選択することができるため、多くの倉庫に採用されている工法です。
システム建築と在来工法の違い
システム建築は「設計⇒部材の選定⇒施工」までの流れがシステム化された建築技法であることから、自由度は下がるものの、低価格で高品質な倉庫や工場を短納期で建てることができます。
在来工法は「設計⇒部材の選定⇒施工会社」までを、お客様ごとの用途やニーズに合わせて自由に選定できる建築法です。そのため、予算・用途・機能・デザイン・工期などを加味しながら自由な設計が可能です。
システム建築とプレハブ建築の違い
プレハブ建築は建築工法のひとつで、建築で使う材料を工場で大量生産し、工場で加工した部品を組み立てる事で、低価格、短納期を実現した工法です。
プレハブ工法は軽量鉄骨造を用いた鉄骨系プレハブ工法が最も多く採用されていますが、木質系プレハブ工法、ユニット系プレハブ工法など3つの素材を用途に合わせて選択できます。しかし、どの工法も寸法や部材などほとんどの仕様が決められており、耐久性やデザイン性においてはシステム建築の方が優れています。
システム建築とテント倉庫の違い
テント倉庫とは、現場で軽量鉄骨を使用し、骨組みや土台を設置した上にシート膜材を被せる簡易的な倉庫です。非常にシンプルな作りのため、低価格・短納期のシステム建築と比べてもさらに、施工期間が短く、低コストで立てることができます。ただ、上記2つの工法に比べて耐久性は低く、耐用年数も短いため、長期的に見れば高コストになってしまう可能性もあるでしょう。また、温度・湿度管理が難しく、保管するものが限られてしまう点についても注意が必要です。
システム建築4つのメリット
システム建築の4つのメリットを紹介します。
標準化されているため早期に建築費用を把握できる
システム建築は建築に必要な部材が標準化され、一連の流れがシステム化されている事によって大規模な倉庫建設を行う場合でも見積りや工期を早期に算出することができます。事業者にとって、費用と工期が早期にわかることは、大きなメリットではないでしょうか。
部材のライン生産によって安定供給できる
システム建築に用いる部材は工場のライン生産によって製造されており、材料さえあれば安定した品質と量が提供できるため、部材不足により工期が遅れる心配が少ない点もメリットです。
耐久性・耐震性に優れている
システム建築は耐久性や耐震性も考慮した施工法が標準化されています。建設する地域の環境に合わせた設計もできるため、地震に備えた耐震性はもちろんのこと、台風、積雪などの自然災害にも備える事ができます。
増設や併設がしやすい
システム建築は建物の構成要素である部材の寸法と配置がシステム化されているため、さまざまな設計に柔軟に対応できます。
そのため、工場を建てたあとしばらく操業して手狭になったり、機能を追加したい場合に、倉庫を増設したり、事務所を併設したりといった、改修をしやすい構造になっています。
システム建築のデメリット
システム建築には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。以下に主なデメリットを記載します。
デザインの自由度は高くない
ステム建築では、使用できる部材があらかじめ決められている事により、デザインの自由度が低くなることがあります。
設計範囲に制限がある
システム建築は、CADシステムを活用し設計を行いますが、システム化されている以上、変更可能な範囲に制限があることも事実です。そのため、倉庫の一部のみを複数階層にしたり、土地の形状に合わせて倉庫の形も不整形にしたりといった対応ができないこともあります。
システム建築で気を付けたいポイント
システム建築はある程度の太陽光発電パネルの設置や屋上の緑化などには対応できますが、太陽光パネルや緑化カセットは製品ごとに重量が異なります。よって設計段階で製品の重量を見込んだ計算をしていないと、設置できない可能性もある点は注意しましょう。
また、平屋で建設した建物に2階部分を増設したい場合も設計時の強度によっては、簡単にはできないこともあります。
システム建築に適した建物
システム建築は基本的にどのような用途の建物にも対応可能な建築技法です。
ここでは、システム建築のメリットを最大限に活かせる建物を紹介します。
倉庫や物流センター
倉庫や物流施設に必要な広い空間を確保するためには、強度を重要視するため多くの場合鉄骨構造が採用されます。
しかし、システム建築は、柱から梁、屋根、外壁、建具、シャッターまで、ほとんどの建築部材が既に揃っているうえに、強度も高いため、倉庫や物流施設に適した建築技法と言えます。食品や医薬品などの厳密な湿度・温度管理が必要な品物を保管する場合には慎重な検討が必要ですが、家具や雑貨などを保管する倉庫や物流センターの建設を考えている際には、先ずシステム建築の採用を検討されることをお勧めします。
工場
広いスパンの確保も可能な鉄骨造で、ある程度の高さにも対応可能なシステム建築は、様々な製品を製造する工場にも適していると言えます。将来の生産ライン変更や増築も予め考慮して設計することで製造する品物の多様化や増産にも対応しやすくなります。
また、建物自体にかかる費用を最小限に抑えることで、他の設備投資にコストを振り向けられるという観点からも、システム建築は適しているのではないでしょうか。
お客様の目的に合った倉庫・工場の建設はお任せください。
倉庫・工場の用途は様々なうえに建築方法も多様であることから、建築費用を把握するのも簡単ではありません。新規での倉庫建築や既存倉庫の改修であっても、最初の見積もり費用とは大きく異なる場合がほとんどです。その点、システム建築は早期に費用と工期を把握できるため、多くの企業が初めに検討される建築技法です。この記事でご紹介した4つのメリットも魅力的です。
しかし、特殊な要件を満たした倉庫・工場の建設には、在来工法のほうが適している可能性もあります。
また、倉庫・工場という建物は企業イメージそのものと言っても過言ではありません。そのため、デザインもこだわりたいと揮ごうされる事業者も多くいらっしゃいます。
三陽建設はこれまで多くの倉庫・工場建築実績があり、用途に応じてさまざまなご提案が可能です。倉庫・工場建築を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
工場設計時のデザインの決め方については「工場建設時に外観デザインにこだわるメリットとデザインの決め方やポイントを解説」の記事もご覧ください。