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倉庫の新築を検討するときの注意点と知っておきたい申請手続き

更新日 : 2023/11/20
倉庫の新築を検討するときの注意点と知っておきたい申請手続き

倉庫の新築を検討する際に、どのような規制があるのか、どのような点に注意しなければならないのか、不明な点が多くお悩みの方は多くいらっしゃいます。

結論としては倉庫の新築にあたっては、建設予定地によってそもそもの倉庫設立の可否や大きさの制約などがある他、さまざまな注意点があり、事前に確認や対策を行うことが求められます。

そこで本記事では倉庫の新築を検討するにあたって、注意すべき点や必要な申請手続きについて解説します。

倉庫の新築を検討されている方はぜひご一読ください。

【注意1】用途地域に注意!倉庫の目的によっては建てられない場合も

倉庫を新築する際の注意点として、まず倉庫を建てる土地が属する「用途地域」が挙げられます。用途地域とは土地の大まかな使い方を地域ごとに分類し制限するルールのことです。

一方で、倉庫の目的としては倉庫の所有者、使用者が自らの物品を保管・管理するための「自家用倉庫」と貸倉庫業を営むための「営業倉庫」の2種類があります。

倉庫の目的によって、建築可能な用途地域が異なるため必ず確認をしておきましょう。

大分類用途地域自家用倉庫営業倉庫
住居系地域第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
※2階以下かつ1,500㎡以下
第一種住居地域
※3,000㎡以下
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
※農産物や農業の生産資材の貯蔵目的
商業系地域近接商業地域
商業地域
工業系地域準工業地域
工業地域
工業専用地域

用途地域は全13種類!「住居系地域」「商業系地域」「工業系地域」に3分類できる

用途地域は近年新たに追加された田園住居地域を含め13種類あり、それぞれが住居系地域、商業系地域、工業系地域の3つのいずれかに属します。

住居系地域

住居系地域は主には地域内の住民が居住することを主な目的として設定されています。住居地域に属するのは以下の通り。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域

新たに追加された田園住居地域は田園地域の保護も兼ねた例外的な立ち位置ですが、他の用途地域については上にあるほど住宅以外の施設の建築に対して強い規制がかけられています。

商業系地域

商業地域は近接商業地域および商業地域の2つから構成されています。

  • 近接商業地域
  • 商業地域

商業系地域はターミナル駅やいわゆる繁華街や歓楽街を含む、あらゆる商業に関わる施設の建築が広く認められています。

近接商業地域は「近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域」とされており、いわば栄えている商店街のようなイメージです。

工業系地域

工業系地域は準工業地域、工業地域、工業専用地域の3つです。

  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

下にいくほどに建設できる工場の種類が増え、規模が大きくなるとともに工業と関連性の低い施設の建築が制限されます。

自家用倉庫が新築できる地域

自家用倉庫が新築できるのは以下の7地域です。

  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 近接商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

商業系地域、工業系地域には建築することができますが、住居系地域の中では第二種住居地域と準住居地域に限定されます。

ただし以下の地域地域には条件付きで自家用倉庫の新築が可能です。

  • 第二種中高層住居専用地域:2階以下かつ1,500㎡以下であれば可能
  • 第一種住居地域:3,000㎡以下であれば可能
  • 田園住居地域:農産物や農業の生産資材の貯蔵目的の自家用倉庫に限り可能

営業倉庫が新築できる地域

営業倉庫は以下の6つの地域に新築可能です。

  • 準住居地域
  • 近接商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

商業系地域、工業系地域の全てに新築できるのは自家用倉庫と同様ですが、住居系地域においては準住居地域に限定されます。

参考:土地の使い方と建て方のルールの話|国土交通省

【注意2】建ぺい率・容積率に注意!防災備蓄倉庫は一部緩和

次に注意すべき点は「建ぺい率」や「容積率」による建築できる倉庫の規模の規制です。ここでは、「建ぺい率」「容積率」の計算方法や注意点について詳しくご説明します。

建ぺい率・容積率とは?注意しなければならないシチュエーション

建ぺい率および容積率とは、対象の土地に建てることができる建物の大きさの上限を定めたものです。

  • 建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合のこと
  • 容積率:敷地面積に対する延べ床面積(全てのフロアの面積の総和)の割合のこと

例えば、100㎡の土地に1フロア60㎡の2階建ての建物を建築する場合、計算式は以下の通りです。

  • 建ぺい率=60/100=60%
  • 容積率=(60+60)/100=120%

建ぺい率および容積率は地域ごとに定められている数字が異なるため、基準を超えないように建築する必要がある点に注意しましょう。

何もない土地に新築する場合は倉庫単体で考えます。一方で、例えば自宅や事務所が建っている土地に倉庫を新築する場合、敷地内の面積の合計で考える点に特にご注意ください。

防災備蓄倉庫の新設は基準が一部緩和される

倉庫の用途が避難用品や非常食など災害のための備品を保管する防災備蓄倉庫の場合、延べ床面積の1/50を延べ床面積から除外できます。そのため、容積率の制限を一部緩和した上での設計が可能になります。

【注意3】倉庫新設の坪単価は?国土交通省の統計によると、構造ごとの建物の平均坪単価は以下の通りです。

構造全国平均坪単価
木造17.7万円
鉄骨鉄筋コンクリート造26.5万円
鉄筋コンクリート造27.8万円
鉄骨造27.2万円

参考:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】|国税庁

ただし、倉庫新築の坪単価は地域だけでなく倉庫の種類によっても大きく異なります。

倉庫の建築費用の相場については「倉庫の坪単価や建築費は?相場や建築費の決まり方を解説」の記事もご覧ください。

倉庫の新築にあたって必要な手続きは2回

倉庫の新築にあたって、2回の公的な手続きが求められます。それぞれの手続きを怠った場合、罰則が課される可能性があるため必ず実施しましょう。

①建築確認申請(建築前)

建築確認申請は建築予定の倉庫について事前に建築基準法などの基準に合致しているか確認し、建築の許可を出す申請です。建築確認申請は自治体もしくは建築検査機関(国交省や知事から指定を受けた民間機関)が実施します。

②完了検査(工事完了後)

完了検査は工事完了後、実際に申請通りの建築が行われているか実際の建物を確認する手続きです。完了検査も自治体もしくは建築検査機関により実施されます。

倉庫の新築に関するよくある質問

倉庫の新築を検討される際に、よく聞かれる質問とその回答をご紹介します。

倉庫の新築の費用はいくらくらいですか?

倉庫の新築費用は、建築構造によって異なりますが、1坪あたりの相場は以下の通りです。

  • 木造倉庫:約36.3万円/坪
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:約46万円/坪
  • 鉄骨造:約43.1万円/坪

参考:2020年 建築着工統計調査|国土交通省

ローコストで倉庫を建てる方法はありますか?

倉庫をローコストで建築する方法としては次のようなものがあります。

  • テント倉庫
  • システム建築
  • プレハブ建築
  • 木造建築

耐久性・耐火性なども異なりますので倉庫の用途によって適した工法を選択する必要があります。

倉庫の新築で使用できる補助金はありますか?

事業再構築補助金では、倉庫の新築も補助対象となります。

しかし、「新築の必要性に関する説明書」を提出し、倉庫新築の必要性が認められた場合に限られています。

倉庫建築についてどのような業者に相談すれば良いでしょうか?

倉庫の建築は施設や住宅と異なり、さまざまな規制や必要な設備があります。

倉庫の建築・増築・改修は実績が豊富な専門業者にご相談することをおすすめします。

倉庫の建築業者の選び方については「倉庫建築にかかる期間は?建築時の注意点や業者の選び方も解説」もご覧ください。

まとめ

倉庫の新築の検討にあたって注意すべき点をまとめました。

  • 用途地域により新築できる倉庫に制限がある
  • 建ぺい率・容積率により新築できる倉庫の大きさに制限がある
  • 倉庫の坪単価は地域・工法により大きく異なるため、複数の業者の比較が必要
  • 倉庫の新築にあたっては建築前と建築後、2回の確認を要する

倉庫の新築には様々な注意点があり、見落とすと思わぬトラブルに発展する可能性もあります。今回解説した内容も参考に、注意点をよく確認した上で倉庫の新築の検討を進めてみてください。

三陽建設では、倉庫建築・改修に関して豊富な施工実績があります。細部までこだわる高品質の技術と数多くの経験で、お客様のご要望にお応えしております。倉庫の新築をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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