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工場・倉庫での地震対策で実施したい7つのポイント

更新日 : 2023/12/05
工場・倉庫での地震対策で実施したい7つのポイント

工場や倉庫において、地震の対策を行うことは以下の3つの観点から非常に重要です。

  1. 従業員の安全の確保
  2. 工場・倉庫の被災から周辺に被害を及ぼす二次災害の防止
  3. 速やかな復旧・事業の再開

本記事では工場・倉庫への地震対策について「建物自体への対策」「設備内部への対策」「従業員教育への対策」「BCP対策」の4つの観点から、7つのポイントについて解説します。

すぐに実践できる対策から、根本的な対策まで包括的にカバーしていますので、地震対策にお悩みのご担当者様、自社の地震対策が十分であるか確認されたいご担当者様はぜひご一読ください。

①工場・倉庫で実施したい建物自体への地震対策

工場や倉庫の建物自体を地震に強い構造にし、地震が起きた際に倒壊しないようにする対策は地震対策として最も重要です。建物への地震対策としては「耐震」「制震」「免震」の3つの考え方があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

耐震

耐震とは、建物そのものの強度を高めることにより、地震の揺れのダメージに耐えられるようにする方法を指します。

具体的には、「壁を増やす」「柱を強化する」「ブレースを増やす」などといった方法です。どのような方法が最適かは建物の間取りや造りによっても異なります。

最も安価、短工期かつ自由度の高い地震対策の方法です。また、揺れそのものに強いことから台風など他の自然災害への対策としても効果があります。

工場・倉庫の耐震基準や耐震対策は「<a href=”https://sanyoukensetsu.co.jp/column/871/”>工場・倉庫の耐震基準とは?耐震診断や耐震性を向上させる方法</a>」をご覧ください。

制震

制震はダンパーや重りなどの「制震装置」を建物内部に設置し、地震の揺れを吸収する方法です。建物が揺れから受ける衝撃の一部を制震装置が吸収し安全に放出するため、大きな地震が起きても建物自体に与える衝撃を軽減し、倒壊しにくくできます。

比較的安価に対策できて、耐震よりもより高い安全性を確保できる方法です。

免震

免震とは、建物と地盤を切り離しその間に免震装置を設置する方法。地震が起きた際に、間に設置された免震装置で揺れが吸収されるため、建物自体に揺れが伝わりにくくなることが特徴です。

建物全体が揺れにくいため、倒壊しにくいだけでなく、内部の損壊や什器の倒壊も起こりにくい点が大きなメリットとして挙げられます。

費用や工期は他の方法と比較してかかりますが、最も安全性の高い方法です。

工場・倉庫で実施したい設備内部への地震対策

建物自体の対策を行っていたとしても、設備内部での対策ができていなければ十分な安全確保が困難な場合もあります。

設備内部で有事の前に備えておきたい地震対策について見ていきましょう。

②避難の動線を確保する

非常時に速やかに避難できるよう、避難経路を確保しておきましょう。わかりやすく避難経路を表示しておくことは当然ながら、有事のスムーズな避難を妨げるような物の置き方をしないようにも常に心がけておく必要があります。

③設備を可能な限り固定する

地震の揺れによる設備や家具の倒壊は他の設備への損傷や内部で働く従業員への危険となる可能性があります。激しい揺れにより倒れる危険性のある設備・家具、とりわけ高さや重さがあり危険度の高いものについては可能な限り固定するなどの措置を取りましょう。

床や壁、天井に固定するなど、建物の構造や固定する設備・家具にあわせた最適な方法を選択することが重要です。

また、倒壊や落下による危険を回避するため、高い位置に物、とりわけ重要のある物を置かないことも安全確保の観点から重要と言えるでしょう。

④災害時の物品を備蓄しておく

有事の際の防災グッズ、避難グッズを十分な量備蓄しておくことも重要です。

地震が収まった後、次にどのような行動を取るべきかは被害状況により異なります。より安全な場所に避難する場合や、建物への影響は無くても帰宅が困難な状況になり、工場・倉庫で寝泊まりせざるをえない可能性もあります。

あらゆる事態を想定し、どのようなケースにおいても適切に対処ができるよう防災グッズ・避難グッズを十分な量備蓄しておくことも重要です。なお、食品をはじめとする一部のグッズには使用期限・消費期限があるため、定期的に確認し入れ替える必要があることにご注意ください。

従業員向けに実施したい地震対策

有事の際に従業員の身の安全を守るためには設備の内部・外部で対策を行うことも重要ですが、従業員への防災教育も欠かせません。特に重要な対策について2点解説します。

⑤有事の避難経路の把握と確保

有事に速やかに避難できるよう、建物内の避難経路および大規模災害時の避難場所については常に従業員全体に意識させることが重要です。

折を見て普段から適宜直接説明すると同時に、特に建物からの避難についてはすぐに動けるよう分かりやすい形で表示しておきましょう。

また、いざというとき避難の妨げにならないよう、避難経路に物を置くといったことが常態化しないよう常に指導を心がけることも重要です。

⑥定期的な防災訓練で有事に備える

いざという時に、極力焦らず速やかな避難を実施するためには定期的に防災訓練を行うことも重要です。

建物から避難するための動線、大規模災害の際に避難すべき施設の確認など、地図上だけでなく実際に足を動かして移動しましょう。いざ地震が起きた際、速やかに訓練どおりの行動を取れるようにシミュレーションしておくことが重要です。

防災訓練の実施は避難経路の確認だけでなく、災害への意識的な啓発や自主的な普段からの整理整頓の実施にも繋がります。業務の支障にならない頻度で定期的に開催するようにしましょう(半年に一度、もしくは1年に一度など)。

⑦地震に備えたBCP対策

企業の地震対策として災害対策も含めたBCP対策も重要です。地震が起きた際、まず最優先すべきは被災した拠点の従業員の身の安全の確保や、工場から周辺への被害発生の防止ですが、次いで重要となるのが事業の継続性です。

被災した拠点を速やかに復旧し稼働再開することも重要ですが、災害の規模によっては困難な場合もあります。そこでデータの分散や、代替工場・代替拠点を確保するといった対策も含めて備えておくとより様々な事態を想定した対策が可能です。

BCP対策についての詳しい内容は「工場・製造業でのBCP対策の進め方と押さえておきたいポイント」をご覧ください。

工場・倉庫での地震対策でよくある質問

工場・倉庫の稼働を止めずに地震対策を実施できますか?

はい、可能です。

三陽建設では稼働を止めずに工事を行う「居ながら改修」の実績も多くございます。生産高や売上を確保しながら改修工事を行うことができますのでお気軽にご相談ください。

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防災マニュアルとは何ですか?

防災マニュアルとは、災害時に人命や施設の被害を最小限にするための行動方針や役割分担を明確化したものです。

災害はいつ起こるかわからないため、全従業員が常日頃からその内容を十分に理解しておく必要があります。

工場・倉庫の耐震性を確認する方法はありますか?

はい、耐震診断を行うことで確認ができます。

耐震診断は、旧耐震基準で設計された建物を、現行の構造基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認する方法です。

外部の専門機関に依頼して行うことが一般的で、調査費用がかかります。

まとめ

工場の地震対策について7つのポイントを解説しました。

  • 建物への対策には「耐震」「制震」「免震」の3パターンがある
  • 避難経路の確保や設備の固定、防災グッズの備蓄など設備内部の対策
  • 従業員に向けた避難経路の説明や避難訓練の実施などの教育の実施
  • 拠点やデータの分散といったBCP対策

地震はいつ発生するかもわからず、必要になった際の規模も読めないため「これだけやれば十分」といった基準はありません。

いつ、どのような事態が起きても冷静に対処し、被害を最小限に留めるべく、平時からの備えが非常に重要です。

今回解説した内容も参考に、自社で行うべき対策を検討し実施してみてください。

三陽建設では、工場・倉庫の耐震性を向上させるための改修工事の実績が多数あり、建物の状態に応じて必要な対策のご提案が可能です。地震対策についてご検討の際には、ぜひご相談ください。

工場・倉庫の改修・リニューアルをご検討の方は「三陽建設のリニューアル・リノベーション」をご覧ください。

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