倉庫
倉庫火災の事例から学ぶ発生原因と対策方法
更新日 : 2024/02/20資材や荷物が多く保管されている倉庫での火災は、消火に時間がかかり大規模化しやすい傾向があるため、対策を怠らないことが大切です。
この記事では、倉庫火災の事例から学ぶ発生原因と火災が大規模になりやすい理由、そして倉庫火災の対策方法をご紹介します。
倉庫の管理者の方や、倉庫火災の対策を万全にしたい方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
倉庫火災の発生原因
倉庫火災の発生原因として以下の5つが挙げられます。
- 工事作業中の出火
- 電気機器からの出火
- 荷物の自然発火
- タバコ等火の不始末
- 放火
原因を知ることで対策につなげることができるので、把握しておくと良いでしょう。
工事作業中の出火
外部の業者が立ち入る内装工事や改修の工事など、倉庫内での工事が原因で火災が発生することがあります。
工事作業中の出火は、溶接工事やウレタン吹き付けなどで作業に使う工具などから火花が散り、可燃物に燃え移って広がるケースが多いようです。
外部業者は倉庫内の危険を把握することは難しいので、事前に注意点やルールを共有しておく必要があります。
電気機器からの出火
倉庫で発生する火災のなかで、特に注意したいのが電気機器からの火災です。
電気機器は経年劣化や点検・清掃の不足、漏電やショートなどの不具合から発火することがあります。
一ヶ所が高温になってしまうことで発火の原因になったり、コードやプラグの不具合で火災につながることも少なくありません。
電気機器からの出火は、表からは見えにくい場所で起こることが多く、初期消火が間に合わずに大規模な火災につながる恐れがあるので注意が必要です。
荷物の自然発火
倉庫で保管している資材や荷物の中には、湿度や温度などの条件が合致することで自然発火が起きることがあるので注意しましょう。
荷物によっては、酸化や空気、生物発酵や水分との結びつきなどで起きる化学反応で自然発火する特性を持つことがあるため、倉庫内の管理に十分な配慮が必要です。
タバコ等火の不始末
休憩中に吸ったタバコやたき火などの後始末が不十分なことが原因で、近くの可燃物に燃え移り、そのまま倉庫火災へとつながってしまうことも考えられます。
タバコの火がきちんと消えたことを確認してから立ち去るなど、火を扱うタイミングでの始末についてはきちんと注意喚起をしておくことが大切です。
放火
従業員や不審者による意図的な放火も原因の一つです。
実際に、働いている環境で起こるストレスや恨みから、従業員が放火してしまったという事例もいくつかあります。
放火に関しての対策を事前にすることは難しいため、不審な動きをさせない環境づくりや監視カメラを設置するなどの防犯対策も大切になるでしょう。
倉庫の火災が大きくなりやすい理由
倉庫の火災は鎮火までに時間がかかり、被害が拡大してしまう事例があるため、注意が必要です。
ここで、倉庫の火災が大きくなりやすい理由を3つ解説します。
消火活動が困難な設備構造
倉庫では、保管する資材や荷物の保管の品質を維持するため、温度変化や日焼けを防止するように窓を無くす設計にされていることが多いです。
そのため、消火活動をするための開口部が少なく、設備構造上で消化が困難になってしまう恐れがあるのです。
防火設備の不適切利用
大規模なスペースを持つ倉庫では、建築基準法令に基づき一定の空間ごとに防火シャッターによる防火区画が必要とされています。
しかし、通常時に使うことがない防火シャッターは存在が薄くなりがちで、ルールが周知されていなかったり守られていないことも少なくありません。
シャッター付近に物を置いてしまうことで火災時に正しく閉鎖しなかったり、機構の不備から機能しないこともあります。
防火設備を適切に利用できないことで倉庫火災が大きくなってしまうこともありますので、日々の点検を怠らないようにしましょう。
荷物の過密保管
空間を立体的に使って大量の資材や荷物を保管する倉庫では、燃える可能性のある荷物が過密保管されていることにもなります。
そのため、一度発火し荷物に燃え移ってしまうと、鎮火が難しく火災の拡大が早くなってしまう傾向があります。
荷物の過密保管は、倉庫としての効率を上げるために必要ですが、火災の消化が難しくなることを考慮して、異変に対する注意を欠かさないよう心がけましょう。
倉庫火災の事例から見る出火と被害拡大の原因
2017年に起きた大手物流会社の倉庫における火災では、鎮火までに2週間近くを要する大規模な火災となり、事業にも多大な影響を与えました。
出火原因としては、フォークリフトのエンジン部分に段ボールなどが入り込み、高温の排気管に触れたことで着火したということです。
大規模火災となった原因としては、建物に窓や出入り口などの開口部が少ないことで倉庫内の温度が非常に高くなり、壁に穴を開けて消火するなどの対策がされました。
出火原因となるフォークリフトの不適切な使用、そして消火活動の難しい設備構造が被害を拡大させた原因として考えられます。
倉庫火災の対策
倉庫火災の対策を5つご紹介します。
- 消火設備の正しい設置・点検
- 設備・機器の定期点検・メンテナンス
- 従業員教育
- 自然発火対策
- セキュリティ対策
すぐに実践できる対策もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
消火設備の正しい設置・点検
消火設備を正しく設置・点検することで、火災が起きたときの被害を最小限にできます。
スプリンクラーなどの消防用設備が最大限効力を発揮できるよう、倉庫内の設備構造に合わせた適切な場所に設置することが大切です。
また防火シャッターは、付近に障害物があることで閉鎖ができないこともあるため、問題なく作動するかを定期的に点検するようにしましょう。
設備・機器の定期点検・メンテナンス
出火の原因となりうる設備・機器の定期点検やメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
経年劣化や不十分な清掃による不具合で出火が起きてしまう恐れがあるため、出火の恐れがある設備はきちんと点検することが大切です。
工場の管理者は、知識のある専門業者とともに設備や機器のメンテナンスをおこなうようにしましょう。
従業員教育(防災ルール・避難訓練)
従業員への防災ルールや避難訓練などの教育を徹底して、倉庫での火災に対する意識を高めることが大切です。
火災を起こさないために、出火の可能性がある設備を扱う際は十分な注意を払うよう呼びかけること。
そして火災が起きてしまったときに慌てず対応ができるよう、初期消火訓練や通報・避難の訓練を普段から徹底しておくようにしましょう。
自然発火対策
予測が難しく感じる荷物の自然発火についても、きちんと配慮することで十分に対策が可能です。
発火する恐れのある荷物を保管する場合は、その特性に合わせて倉庫内の温度や湿度の管理をしっかりとおこない、適切な換気を怠らないようにしましょう。
セキュリティ対策
放火などの不審な動きをさせないセキュリティ対策も大切です。
普段から不審者が敷地に入らないよう出入り口の防犯対策をしっかりおこなったり、監視カメラや人感センサーを設置するなどの管理をしましょう。
まとめ
倉庫火災の事例から学ぶ発生原因と火災が大きくなりやすい理由、倉庫火災の対策方法をご紹介しました。
倉庫は構造上、適切な防火が難しい面もありますが、事業の効率よりも安全性を優先し、適切な対策を実施する必要があります。
出火の原因を排除して火災を起こさないことはもちろん、出火してしまった際になるべく早く鎮火できる万全の対策をしておくことも大切です。
今回解説した内容を参考に、自社でできる火災対策に取り組んでみて下さい。
三陽建設では、防火設備の設置や被害を拡大させないことを考慮した倉庫建築のご提案をしています。倉庫の運用目的、保管する商品をしっかりヒアリングした上で、必要な設備やレイアウトをご提案します。倉庫の建設をお考えの際は、お気軽にご相談ください。
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