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ビジネスホテルの防音対策の方法と実施すべき理由
更新日 : 2024/08/01ビジネスホテルは出張や旅行など様々な目的で利用されます。仕事や移動の疲れをゆっくり休めたいというニーズもあれば、静かな環境でリモートワークに励みたいという需要も高く、ホテル内の防音対策は極めて重要と言えます。防音性能の質は宿泊客のリピート有無に影響するだけでなく、口コミサイトなどからの情報により新規集客にも影響することもあります。
本記事ではビジネスホテルにおいて必要な理由や、具体的な対策方法、実際の事例などを含めて解説します。
自社のビジネスホテルの防音対策に課題をお持ちの方はぜひご覧ください。
Contents
ビジネスホテルで防音対策が必要な理由
ビジネスホテルには出張や旅行など様々な目的を持った宿泊者が滞在しており、顧客のニーズを満たすためには防音対策がしっかりとされた部屋の提供が欠かせません。
ビジネスホテルで防音対策が必要な理由について解説します。
外の騒音が気になる
ビジネスホテルに宿泊する多くの人々は、仕事の合間や出張中の休息を求めています。そのため、外の騒音が気になると、リラックスしたり、十分な睡眠を取ることが難しくなります。
もしくは、ホテルの落ち着いた環境で作業をしたり、場合によってはリモートでの会議を実施したりといった、気兼ねなく利用できるワークスペースを求めての利用も少なくありません。こういった場合でも、外の騒音は望んでいた仕事の環境を妨害するものとなり、顧客に不満を抱かせてしまうでしょう。
特にホテルが繁華街や交通量の多い通り沿いに位置している場合、車の音や人々の喧騒が直接部屋に響き渡ります。防音対策をしっかりと行うことで、こうした騒音を遮断し、ゲストに静かで快適な環境を提供することができます。
隣室の物音が気になる
ホテルの宿泊者同士が互いの生活音に気を取られることなく、快適に過ごせる環境を提供することは非常に重要です。隣室からの音、例えばテレビの音や物音、電話での話し声などが聞こえると、集中力が削がれたり、リラックスできなかったりします。
建物の外側だけでなく、内側からの音漏れについても、十分な対策を講じなければなりません。
自室の音が周りに漏れないか気になる
ビジネスホテルの宿泊客は、仕事の電話や会議を部屋で行うことも多くあります。そのため、周囲の騒音が気になるだけでなく、逆に自室の音が隣室や廊下に漏れることを心配する人も少なくありません。とりわけ、重要な内容の会議を実施する際であれば、周囲に会話の内容が漏れていないかは特にセンシティブな問題となるでしょう。
防音対策を施すことで、宿泊客に安心して仕事に集中できる環境を提供することができます。特に、部屋内での音が外に漏れにくい設計にすることで、宿泊客のプライバシーを守ることができ、満足度の向上につながります。
ビジネスホテルで考えられる防音対策
ビジネスホテルにおいて防音対策は重要ですが、対策には様々な方向からのアプローチがあり、周辺環境や予算、顧客ニーズなども踏まえながら適切な対策を講じる必要があります。
ビジネスホテルで考えられる防音対策についていくつか具体例を挙げ、見ていきましょう。
外窓を二重構造にする
外部からの騒音を効果的に遮断するためには、窓を二重構造にすることが非常に有効です。二重窓の間に空気層を設けることで、音の伝わりを大幅に減少させることができます。この対策により、繁華街や交通量の多い場所にあるビジネスホテルでも、宿泊客に静かで快適な滞在環境を提供することが可能です。
さらに、二重窓は外部の騒音を遮るだけでなく、断熱効果もあり、エネルギー効率の向上にも寄与します。顧客に快適な環境を提供しつつ冷暖房の設定温度を抑えられるため、光熱費を抑え、ランニングコストの節約に繋げることも可能です。
窓を防音ガラスにする
防音ガラスは、音を遮断する性能が高く、外部の騒音を効果的にカットすることができます。防音ガラスには、通常のガラスに比べて厚みがあり、特殊な樹脂膜を挟んだ構造が施されています。この構造により、音の振動を吸収し、伝わりにくくする効果があります。特に、飛行機の騒音や車のクラクションなどの高周波の音に対して効果的です。防音ガラスを導入することで、宿泊客は静かで落ち着いた環境で過ごすことができます。
吸音材・遮音シートを用いる
部屋の壁や天井などに吸音材や遮音シートを使用することで、室内の音漏れを防ぐと同時に、隣室や外部からの音の侵入を防ぐことができます。吸音材は、音を吸収することで反響を減らし、静かな環境を作り出します。一方、遮音シートは、音の透過を防ぐために使用され、特に低周波の音に対して効果的です。これらの材料を適切に組み合わせて使用することで、防音効果を最大限に高めることができます。
ドアの防音性を改善する
開閉する必要のあるドアは壁と比較しても外の音が入ったり、中から音が漏れたりする要因となりかねません。そのため、ドアの防音性を高めることも一つの騒音対策として挙げられるでしょう。
遮音性の高いドアを導入したり、もしくはドアに吸音シートを貼るといった対策も考えられます。
アメニティとして耳栓を提供する
防音対策として最も手軽かつコスト効果の高い方法の一つが、アメニティとして耳栓を提供することです。耳栓は、外部の騒音を物理的に遮断する効果があり、特に敏感な宿泊客にとっては非常に有用です。
耳栓を常備することで、宿泊客は必要な時にすぐに利用でき、静かな環境を確保することができます。また、耳栓の提供は、ホテルのホスピタリティを示す一環として、宿泊客の満足度を向上させることにもつながります。
ビジネスホテルで実際に実践されている防音対策の事例
ビジネスホテルで実際に実践されている防音対策の事例について、具体的に解説します。
名鉄グランドホテル
名鉄グランドホテルは名鉄名古屋駅から徒歩1分という好立地に位置していますが、そのぶん、列車の音が騒音となることが課題でした。特に、早朝に通過する貨物列車は顧客からもたびたび苦情を受ける原因となっていたようです。
抜本的な防音対策をはかるため、AGCに発注し、従来の窓の内側にさらに窓をつける二重窓の構造に全室を改修。結果、騒音による苦情はなくなり、顧客満足度が向上しました。
ダイワロイネットホテル
全国にビジネスホテルを持つホテルチェーン、ダイワロイネットホテルは2012年のビジネスホテル満足度のランキングで1位を獲得していますが、高評価の決め手の一つが高い防音性でした。
大手住宅メーカー、大和ハウスグループであることの強みを活かした高い防音性を持った施工ノウハウにより、顧客からの評価も高い防音性を実現しています。
まとめ
ビジネスホテルの防音対策について解説しました。ビジネスホテルはその性質上、室内で仕事を行う宿泊客も多く、防音性能は極めて重要です。
防音対策を実施するにあたっては、大規模な工事を必要としつつ抜本的な対策になるものもあれば、根本的な対策にはならずとも直ぐに実践できるものまで様々あります。
自社の立地や顧客ニーズ、対策の予算などを比較検討しながら、自社でできる防音対策を検討してみてください。
三陽建設では豊富なホテル施工の実績があり、これまでのノウハウを活かして細部まで丁寧な施工が可能です。ホテル建設や防音対策のための改修を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
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