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【大規模修繕工事の進め方】手順と注意点をまとめて解説

更新日 : 2024/08/01
【大規模修繕工事の進め方】手順と注意点をまとめて解説

大規模修繕工事はマンションの資産価値を長期的に保ち、住人の安全性を確保する上で極めて重要です。予算、工数、期間のかかるプロセスであるため、事前にポイントを抑え、計画的に進めていく必要があります。

本記事では、大規模修繕工事について具体的な進め方や各プロセスでのポイント、大規模修繕工事における注意点について解説します。

これから大規模修繕工事を予定しているマンションのオーナー様はぜひご覧ください。

大規模修繕工事とは?

大規模修繕工事とは建物の安全性や機能性を維持するために実施される大規模は修繕作業を指します。

具体的には、建築物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)一か所について、50%以上の修繕や模様替えを行った場合とされています。

大規模修繕工事は主要構造であるコンクリートの劣化を防止し、長期的にマンションの資産価値維持をはかりながら、何よりも重要なマンション住民の安全を保証する上で必要不可欠な工程です。

工事の規模によりますが、短くても半年程度、長いと1年も超える工事となり、平均的な予算は一戸あたり75万円を超えるケースが過半数です。

大規模修繕工事の基本的な情報については「大規模修繕工事とは?改修や修繕との違いと工事内容」もご参考ください。

大規模修繕工事の進め方

大規模修繕工事は、工事が大がかりな分事前の準備も非常に重要です。具体的な進め方について、それぞれのプロセスごとに必要な工程や注意点を見ていきましょう。

管理組合内での修繕委員会発足

大規模修繕工事を円滑に進めるためには、管理組合内に修繕委員会を発足させることが重要です。修繕委員会は以下の役割を担います。

  • 修繕計画の立案:修繕内容やスケジュールの検討。
  • 予算管理:修繕積立金の確認と予算計画の策定。
  • 住民との調整:工事内容や進行状況についての説明と調整。
  • 専門家や業者との連絡:コンサルタントや施工業者との連携。

コンサルタントの選定

修繕計画の精度を高めるためには、委員会内に高い知見を持つメンバーがいる場合を覗いては、専門知識を持つコンサルタントを選定することをおすすめします。コンサルタントは、専門知識を持ち、コミュニケ―ン能力の高い、実績と信頼のある人物、企業を選定するようにしましょう。

工事の発注方式の決定

工事の発注方式には「一括発注方式」と「分割発注方式」の2種類があります。

一括発注方式とは、全ての工事を一つの業者に一括で発注する方式です。管理が簡便で、一貫した品質が期待できます。ただし、費用が不透明になりやすい点は否めず、信頼できる業者を厳選する必要があります。

分割発注方式とは工事項目ごとに複数の業者に分割して発注する方式です。専門業者の選定が可能で、費用の透明性が高まりますが、複数の業者の選定や調整が必要となるため、委員会の負担は一括発注方式よりも増えます。

いずれの方法が適しているかは、大規模修繕の内容や予算により異なります。必要に応じてコンサルタントと相談しながら、適切な方法を決定しましょう。

調査・診断

修繕計画の基礎となる調査・診断は以下の手順で行います。

  1. 外観調査:目視や打診などで外壁や屋上、防水箇所の劣化状態を確認。
  2. 詳細調査:必要に応じて、赤外線調査や試掘調査を実施し、劣化箇所を特定。
  3. 診断結果の分析:調査結果を分析し、修繕が必要な箇所や工法を決定。

耐震性やアスベストなどで重大な問題が見つかった場合、その対策で多額の追加予算を要するケースも想定されます。

旧耐震診断基準で建築されている場合や、アスベスト関連の法改正前に建築された物件の場合はご注意ください。

工事計画の策定

調査・診断結果に基づいて、具体的な工事計画を策定します。修繕範囲、工法、工事スケジュールの作成などを住民への影響も考慮しながら具体的に計画し、修繕費用の見積もりと予算の確定させる段階です。

発注業者の選定

工事を実施する業者を選定します。複数の業者から見積もりを取得し、内容や過去の工事実績や信頼性から比較検討しましょう。また、工事を確実に遂行できる技術力と人員があることも重要です。

着工

工事の着工にあたっては、まず事前に住民に対して工事内容やスケジュール、注意事項を説明し、理解と協力を得ることが重要です。

実際に工事が始まったら工事が計画通り進行しているか、品質が確保されているかを定期的に確認しましょう。問題が発生した場合は迅速に対処することも重要です。

大規模修繕工事の注意点

大規模修繕工事は多額の予算をかけた大がかりなプロセスです。既に住民が居住している状態で工事が進むため、新築の工事と比べて多方面への配慮も重要です。

大規模修繕工事の注意点について解説します。

住民、近隣住民とのトラブル

大規模修繕工事は長期間にわたり、多くの人々に影響を与えます。そのため、住民や近隣住民とのトラブルを避ける必要があります。

住民には工事期間、どうしても不便を強いることになります。そこで、事前説明とコミュニケーションが不可欠です。説明会を開催し、工事の目的、内容、スケジュールについて住民説明会を開催し、理解と協力を得るようにしましょう。また、定期的な情報共有を行い、工事の進捗状況や変更点を迅速に伝える。

騒音や振動は住民だけでなく、周辺にも影響を及ぼします。騒音や振動が発生する作業は、周囲の生活に配慮した時間帯に実施することや防音シートや防振装置を使用し、騒音や振動を最小限に抑えるといった対応をとることが重要です。

さらに、安全対策として工事現場周辺に安全標識を設置したり、工事エリアを明確に区分けし、住民が誤って立ち入らないようにしたりといった対策も重要と言えるでしょう。

関係業者とのトラブル

工事を円滑に進めるためには、関係業者とのトラブルを避けることが重要です。工事内容、スケジュール、費用などを詳細に記載した契約書を作成し、双方で合意するようにしましょう。予想外の作業が発生した場合などの取り決めも明記しておくと安心です。

工事の進行中は定期的に進捗会議を開催し、工事の進行状況や問題点を共有すると、トラブルの発生や深刻化が避けられます。

分割発注方式で多くの業者が関係する場合、業者間でもトラブルにならないよう、責任範囲やスケジュールを調整することも重要です。

資金面でのトラブル

大規模修繕工事は多額の費用がかかるため、資金面でのトラブルを避けることが重要です。

事前の資金計画としては修繕積立金の残高を確認し、不足がないかをチェックしましょう。不足分がある場合は、一時金徴収や借入計画を事前に立てる必要があります。

また、実際に工事を進める中で想定外の追加工程が発生し、費用が増えてしまうケースも想定されます。

さらに、資材や人件費の高騰は時間の経過とともに進んでいくため、大規模修繕工事の計画・見積から着工までに期間が空いてしまうと、事前に確認していた見積金額よりも高くなることもあります。

不当な追加請求を避けるために、費用の透明化を意識することも重要と言えるでしょう。

空き巣被害等

大規模修繕工事中は、工事現場がオープンになったり、正面のオートロックが解除されていたりと、空き巣被害などのリスクが高まります。以下の対策を講じることが重要です:

監視カメラや警備員などのセキュリティ対策を実施すると同時に、説明会や注意喚起のポスターなどを用意し、住民にも施錠や貴重品の管理といった防犯管理を実施してもらうよう求めます。

また、工事関係者を装っての侵入も想定されるため、入退場記録の管理や識別証の着用といった対応も有効です。

まとめ

大規模修繕工事の進め方や注意点について解説しました。マンションの安全性や資産価値の維持において極めて重要な大規模修繕工事ですが、大がかりな工事となるため、工事そのものについても、事前の準備も計画的に実施する必要があります。

大規模な工事となると、各種のトラブルもつきものなので、事前に対策や調整を行うことも重要です。

今回の内容を参考に、大規模修繕工事の計画を進めてみてください。

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