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倉庫に庇は必要?庇の役割や建築面積との関係も解説

更新日 : 2024/09/04
倉庫に庇は必要?庇の役割や建築面積との関係も解説

倉庫は建物としての性質上、機能性や安全性が特に重視されます。その倉庫において「庇」は必要なのでしょうか?

結論としては庇は単なる装飾的な役割をもつだけでなく、機能性においても非常に重要な役割を果たしており、倉庫においても必須と言えます。

本記事では倉庫における庇の重要性や、倉庫で用いられる庇の種類、さらに庇にまつわる重要な法改正の詳細やその背景についても詳しく解説します。

倉庫での庇の役割について詳しく知りたい方、倉庫の新築、増改築において庇の設置を検討している方はぜひご覧ください。

庇とは

庇(ひさし)とは、建物の外壁から突き出した屋根の部分を指します。庇は主に窓やドアの上部に設けられ、雨や日差しから建物や人を守る役割を果たします。庇は日本の伝統的な建築様式においても家屋としての建物、事業用の建物を問わず広く見られ、機能的かつ美的な要素として重要な位置を占めています。

倉庫における庇の役割

庇の役割は多岐にわたります。とりわけ、美的要素があまり重視されることがない事業用の倉庫においてどのような役割を果たしているのか、具体例を見ていきましょう。

雨よけ

庇は雨水が直接倉庫の出入口や窓にかかるのを防ぎます。これにより、出入りの際の雨のストレスを軽減するだけでなく、倉庫内の湿気を抑え、商品や設備の劣化も防止します。

日差しの遮断

庇は強い日差しを遮り、倉庫内の温度上昇を防ぐ役割をもっています。そのため、室内を適切な温度に保ち、快適な作業環境を維持することや温度管理が重要な商品や設備を保護することにも役立つのです。

作業環境の改善

庇があることで、出入口や荷捌き場での作業が快適に行えるようになります。雨天時や強い日差しの下でも作業効率が落ちることなく、安全に作業が行えます。

適切な作業環境の維持は従業員の健康や就労意欲に直結し、生産性を左右する要素といって

も過言ではありません。

建物の保護

庇は倉庫の外壁や窓を保護し、長期間にわたって建物の耐久性を維持する役割も果たします。建物の耐久性の維持は安全性の向上や、長期的なメンテナンスコストの軽減にも寄与する要素です。

倉庫に設置される庇の種類

庇は形状や建築方法によっていくつかの種類があります。その中でも、倉庫における庇として活用されることが多いのは陸庇(ろくひさし)と腕木庇(うできひさし)の2種類です。

それぞれの特徴や効果について解説します。

陸庇(ろくひさし)

陸庇とは、建物の外壁から水平に突き出した庇で、シンプルな形状が特徴です。主に窓や出入口の上部に設置され、雨や日差しを効果的に遮断します。

陸庇は構造が簡単で設置が容易なため、幅広い建物に採用されています。特に、倉庫の出入口や窓に設置することで、内部の湿気を抑え、商品や設備の劣化を防ぐ効果があります。

腕木庇(うできひさし)

腕木庇は、建物の外壁に取り付けられた腕木(うでぎ)と呼ばれる支持材により支えられる庇です。このタイプの庇は、装飾的な要素が強く、伝統的な日本建築によく見られます。腕木庇は耐久性が高く、強風や大雨に対しても優れた耐久性を発揮します。

倉庫のデザインに合わせて選ぶことで、美観を損なわずに機能性を高めることができます。

倉庫の庇は建築面積に含まれる?

倉庫に限らずすべての建物は新築・増改築において建築基準法の制約を受けます。庇についても建築面積に含まれるのでしょうか?

かつては建築面積に含まれていた庇ですが、法改正により規制が緩和されています。具体的な内容な規制緩和の背景について解説します。

2023年4月より倉庫の庇の建築面積が法改正により緩和

2023年4月から、倉庫の庇に関する建築基準法が改正されました。この改正により、特定の条件下で倉庫の庇が建築面積に含まれないようになり、建物の設計と利用がより柔軟になりました。

具体的には、倉庫の庇が建物全体の機能や使用目的を大きく損なわない限り、建築面積の算定において除外されることが可能となりました。この変更は、特に大規模な庇を設置する場合において、建築面積の制約から解放されるため、設計や増築の自由度が大幅に向上します。

大規模庇に係る法改正の背景

法改正の背景には、物流業界や建築業界からの強い要望がありました。特に、物流倉庫では大規模な庇を設置するニーズが高かったものの、従来の法規制では建築面積の制約により十分な庇を設けることが難しいという問題がありました。結果として雨天時の荷物の取り扱いや作業環境の改善が難しく、業務効率や業務品質に影響を与えるケースが少なくありませんでした。

さらに、近年の気候変動に伴い、台風や集中豪雨といった自然災害の頻度が増加しており、災害対策としても大規模な庇の設置が求められていました。法改正により、大規模な庇を設置しても建築面積に含まれないことで、より安全で効率的な倉庫運営が可能となったのです。このような物流業界のニーズや環境の変化への対応から建築規制の緩和が起きたのです。

【関連記事】倉庫建築に欠かせない建築基準法の内装制限とは?建築制限・用途制限も解説

倉庫に庇を取り付ける際の注意点

庇は一見、他の設備の改修と比較すると容易に実施できそうですが、安易にDIYで行うことはおすすめできません。

確かに、壁へのビス留めなどを行うこと自体は難しくはないのですが、適切なコーティングを行わずにDIYを行うと、かえって雨漏りが起きやすくなってしまうケースもあるのです。加えて、素人による施工では大雨、強風、積雪などの影響を受けて庇が倒壊してしまう可能性もあります。

庇を取り付けるという作業自体はそれほど難しくはなくとも、地域的な特性に合わせたリスクも算出し、適切な設計・構造の考慮を行った上で、精度の高い施工を実施するのは経験・技術を必要とします。

安易に考えて独断でDIYを実施するのではなく、プロの業者に相談し、委託することをつよくおすすめします。

まとめ

倉庫における庇の役割や種類、庇に関わる法改正について解説しました。

庇は機能的に雨除けや日差しの遮断、さらには建物の耐久性全体の維持など様々な面で重要です。建物の保護、商品や設備の保護、従業員の快適な作業環境の確保の観点から非常に重要といえるでしょう。

また、その重要性や近年の環境の変化から建築基準法における庇の扱いがかわり、大きく規制が緩和されている点についても抑えてきましょう。

ただし、一見簡単に自身で実施できそうに見える庇の設置ですが、実は複数の様々な点を考慮する必要があるため、安易にDIYを行わず専門家に相談することが重要です。

今回の記事を参考に自社に最適な庇の設置について検討してみてください。

三陽建設では工場・倉庫の建設や、改修工事を一気通貫で行っています。倉庫に庇の新規設置をご検討の際には是非ご相談ください。

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