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工場・倉庫の基本の省エネ対策と設備別対策を紹介

投稿日 : 2024/10/03
工場・倉庫の基本の省エネ対策と設備別対策を紹介

工場や倉庫の運営において、電気代や燃料費などのコストは大きな比重を占め、経営に直結する重要な課題と言えます。加えて時代のニーズから環境への配慮も求められるため省エネ対策の重要性は一層高まっていると言えるでしょう。

しかし、具体的な取り組み方がわからずお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に場内の環境維持に細心の注意が必要な工場・倉庫の場合、安易なコストダウンに踏み切れない側面もあります。

本記事では、工場・倉庫の省エネ対策について、基本的な内容を解説した上で、設備ごとの個別具体的な対策の例についても紹介します。

工場・倉庫の省エネ対策に課題をお持ちの方はぜひご覧ください。

工場・倉庫の省エネの重要性

省エネルギー対策は、単なるコスト削減にとどまらず、環境保護や企業の社会的責任を果たす重要な要素となっています。省エネの具体的なメリットを見ていきましょう。

ランニングコストの削減

工場や倉庫の運営コストの中で、電気代・燃料費などのエネルギーコストの割合は無視できません。エネルギーの使用量を削減することにより、毎月の電気代や燃料費の支出を抑えることができます。

例えば、LED照明や高効率機器への交換、断熱材の強化、設備の定期的なメンテナンスを行うことで、エネルギー効率を大幅に向上させることが可能です。省エネ対策は、初期投資が必要な場合もありますが、その効果は長期的なコスト削減に繋がり、結果的に経営の安定を支える重要な施策となります。

環境への配慮

近年、環境意識の高まりにより、企業が排出する二酸化炭素の削減やエネルギー効率の改善が求められています。工場や倉庫での省エネ活動は、直接的に環境への負荷を軽減し、企業が持続可能な社会に貢献していることを示すものです。

太陽光発電システムの導入や、再生可能エネルギーの利用を促進することで、カーボンフットプリントを削減することができます。

企業イメージの向上

省エネ対策は、企業の社会的責任(CSR)の一環としても重要です。エネルギー効率の高い運営を行うことで、環境に配慮している企業としての評価が高まり、取引先や顧客からの信頼が向上します。

特に、環境問題への関心が高まっている昨今では、消費者やビジネスパートナーが環境に配慮している企業を選ぶ傾向が強まっています。省エネ活動を積極的に行うことで、企業のブランドイメージを高め、新たなビジネスチャンスを得ることも可能です。

関連記事:工場で実施すべきSDGsへの取り組みとは?食品メーカーの事例も紹介

工場・倉庫の省エネにおける課題

省エネ対策の重要性は高まっていますが、導入には様々な課題が伴います。特に工場や倉庫のように大規模な設備を有する施設では、コストや運用面での課題が悩みの種となります。工場・倉庫の省エネにおける具体的な課題について見ていきましょう。

導入コスト

省エネ対策を実施するためには、多くの場合初期投資が必要です。LED照明への切り替え、エネルギー効率の高い機器の導入、断熱材の設置、さらには太陽光発電システムや蓄電池の導入など、これらの施策には高額な設備投資が伴います。

これに加え省エネ対策の効果が現れるまでには時間がかかることも多いため、短期的なコスト圧迫が経営者の懸念材料となりかねません。

導入時の稼働停止や従業員への負担

省エネ設備を導入する際には、工場や倉庫の一部または全体を一時的に停止させる必要が生じる場合があります。この稼働停止は、生産ラインや物流に大きな影響を与える可能性があり、事前の計画や調整が不可欠です。

また、設備の切り替えや新しいエネルギー管理システムの導入により、従業員へのトレーニングや運用方法の変更が必要となり、従業員にかかる負担も無視できません。これらの負担をどのように軽減し、スムーズな導入を図るかが大きな課題となります。

メンテナンスコスト

省エネ設備を導入した後も、適切なメンテナンスを行わなければ、その効果は持続しません。特に高効率機器や再生可能エネルギーシステムは、定期的なメンテナンスが欠かせないため、これにかかる費用が継続的に発生します。

長期的な視点でコストを最小限に抑えるためには、メンテナンス計画の策定と、専門的な技術者の確保が求められます。これらの費用をどう賄い、効率的な運用を続けるかが、企業の大きな課題です。

工場・倉庫での基本となる省エネ対策例

工場や倉庫における省エネ対策は、単にコスト削減だけでなく、環境負荷を減らし、持続可能な経営を実現するための重要な手段です。基本的な省エネ対策の例を取り上げ、それぞれの効果と導入ポイントを解説します。

太陽光パネル・蓄電池の導入

太陽光発電は、工場や倉庫での省エネ対策として注目されています。屋根や敷地内に太陽光パネルを設置し、自家発電を行うことで、電力コストの削減が可能です。また、蓄電池を併用することで、昼間に発電した電力を夜間や非常時に使用できるため、安定した電力供給が期待できます。

太陽光発電は現在国や自治体が積極的に導入を促進していることもあり、補助金が活用できるケースも多くあります。補助金によっては蓄電池の購入までセットで対象となるケースもあるため、ぜひ活用できる補助金を探してみてください。

温度、湿度管理

工場や倉庫では、作業環境や製品の品質を保つために、温度や湿度の管理が重要です。エネルギー効率の高い空調設備や自動制御システムを導入することで、必要以上のエネルギーを使用せずに、快適で安定した環境を維持することが可能です。

また、断熱材の適切な使用や換気システムの改善により、外部環境の影響を最小限に抑えることができます。これにより、エネルギー消費の削減と同時に、作業効率や製品保護が向上します。

照明管理

照明の省エネ対策は、比較的容易に取り組める方法です。LED照明への切り替えは、従来の照明に比べて消費電力が大幅に削減されるため、即効性のある省エネ効果が期待できます。

また、タイマーやセンサーを利用した自動照明管理を導入することで、必要な時にだけ照明を点灯させ、無駄な電力消費を防ぐことが可能です。特に広大な倉庫や作業場では、ゾーンごとの照明制御が効果的です。

EMSシステム

EMS(エネルギー管理システム)は、工場や倉庫全体のエネルギー使用状況をリアルタイムで監視し、効率的にエネルギーを管理するシステムです。システムを導入することで、エネルギーの使用量を細かく分析し、無駄な消費を発見して削減することが可能になります。

さらに、EMSは設備の稼働状況を最適化し、エネルギーコストの低減を図ることができるため、長期的な省エネ戦略として有効です。

設備別の省エネ対策例

省エネ対策は設備の種類や用途によって異なるアプローチが必要です。ここでは、高い水準での衛生管理、安全管理が求められる施設の事例を紹介します。

食品工場

食品工場では、生産ラインの温度管理や衛生環境の維持が不可欠なため、エネルギー消費が大きくなりがちです。また、原材料・商品の保護の観点から自然換気が難しい点も課題といえます。

省エネ対策としては、まず高効率な冷却装置や加熱装置の導入が挙げられます。食品製造の工程では、機械の稼働時間や稼働タイミングを最適化することでエネルギーの使用量を抑えることも可能です。さらに、断熱材や空調設備の適切な管理を行うことで、温度・湿度を適切に制御することができます。

冷凍冷蔵倉庫

冷凍冷蔵倉庫では、低温環境を長時間維持するために大量の電力が消費されます。庫内の温度ムラも製品の品質に影響を与えるため、大きな課題と言えるでしょう。

省エネ対策の一つとして、断熱性能の高い建材やドアを使用し、冷気の漏れを最小限に抑えることが重要です。また、庫内の温度を一定に保つための自動制御システムや、庫内の空気の流れを改善することで、エネルギー効率を向上させることができます。蓄冷装置の導入や、太陽光発電と蓄電池を併用することで、電力供給の安定性を高めることも有効です。

医薬品工場

医薬品工場では、極めて厳密な品質管理が求められます。そのため、クリーンルームの温度・湿度管理が非常に重要です。クリーンルーム内の空調システムを高効率なものに更新し、空気の再循環システムを最適化することで、省エネ効果が期待できます。また、空調機器の稼働状況をEMSでモニタリングし、必要なエネルギー量を調整することも有効です。さらに、照明に関してもLED照明を採用し、室内環境を管理しつつ電力消費を削減することが推奨されます。

危険物倉庫

危険物倉庫では、危険物の特性に合わせた適切な温度管理や換気が必要となります。換気システムを高効率なものにすることで、空調にかかるエネルギー消費を抑えることができます。また、防爆型の高効率照明や、エネルギー消費量を低減できる空調設備の導入が有効です。さらに、危険物の取り扱いに伴う熱やガスの排出を最小限に抑えるため、環境負荷を低減する設備の導入が省エネの観点からも重要です。

まとめ

工場や倉庫の省エネ対策について解説しました。

省エネの施策による電気代・エネルギーコストの削減は長期的に経営に直結しかねないだけでなく、環境保護のニーズからも重要なものといえるでしょう。導入にコストや一時的な従業員への負荷がかかるケースもありますが、長期的には様々な面でリターンが得られる可能性の高い取り組みです。

ぜひ、今回の記事も参考に自社で取り組める省エネの施策について検討してみてください。

三陽建設では工場・倉庫の建設や、改修工事を一気通貫で行っています。省エネ対策を組み込んだ工場・倉庫の新規建設や、省エネ対策のための改修工事をご検討の際には是非お問い合わせください。

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