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倉庫の種類とは?自社の目的に合わせた倉庫を選ぼう

更新日 : 2023/10/04
倉庫の種類とは?自社の目的に合わせた倉庫を選ぼう

企業が利用する倉庫は、自社生産の製品を一時的に保管し、販売拠点として活用する「自家用倉庫」、そして第三者からの荷物を預かり、保管するための「営業倉庫」に分けられます。倉庫業を行う場合、営業倉庫の種類や特徴に加え、倉庫業法という法律の理解も欠かせません。そこで今回は、倉庫のなかでも営業倉庫について、その種類や特徴、設備基準のほか、目的に合った倉庫の選び方についてお伝えします。倉庫の新設や既存倉庫の維持管理方法見直しを検討している際は、ぜひ参考にしてください。

倉庫の種類とは?

倉庫の種類には主に営業倉庫と自家用倉庫があり、倉庫業をビジネスとして行う場合に利用するのは営業倉庫です。自家用倉庫は、自社工場で生産した製品や自社の荷物を保管・管理する倉庫であるため、直接的な利益を生み出す倉庫ではありません。

営業倉庫は、第三者から荷物を預かり、それによって収益を上げることが目的となっている倉庫です。そのため、営業倉庫として倉庫業を行う場合は、国土交通省に届出をして、登録を受けなくてはなりません。

もし登録を受けないまま倉庫業を行った場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、あるいはその両方という罰則を科せられます。また、倉庫の種類によって、防犯設備や災害防止設備など細かい設備基準が設けられているため、特に、新たに倉庫業を始める場合には、十分な注意が必要です。

営業倉庫の主な種類

営業倉庫は、「普通倉庫」「冷蔵倉庫」「水面倉庫」の3種類に分けられます。ここでは3種類の倉庫の特徴や保管できる物品について紹介します。

普通倉庫

普通倉庫とは、飼料、ガラス、陶磁器、自動車、鉄製品、粉もしくは液状の物品、高圧ガスなど幅広い物品を保管・管理するための倉庫です。また、普通倉庫で保管される物品の種類は多いため、用途に応じて次の6つの種類とトランクルームに分けられています。

  • 一類倉庫

普通倉庫のなかでも、最も多くの物品を扱える倉庫です。具体的に一類倉庫に保管できる物品としては次のものが挙げられます。

・第1類物品(以下に記す第2類物品から第8類物品以外の物品)

・第2類物品(麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品および塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿および石綿製品)

・第3類物品(板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械その他素材および用途がこれらに類する物品であって湿気又は気温の変化により変質し難いもの)

・第4類物品(地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物および土石、自動車および車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る)、大型機械その他の容大品(被覆した場合に限る)、木材(合板および化粧材を除く)、ドラムかんに入れた物品、空コンテナ・空びん類、れんが・かわら類、がい子・がい管類、土管類、くず鉄・くずガラス・古タイヤ類等野積で保管することが可能な物品)

・第5類物品(原木等水面において保管することが可能な物品)

出典:e-Govポータル「倉庫情報施工規則第3条の3

一類倉庫ではさまざまな物品が保管されることから、防水・防火、軸組みや外壁・床の強度、床の防湿措置、遮熱措置など各項目で厳しい設備基準が設けられています。

  • 二類倉庫

飼料、肥料、セメントなど第2類物品から第5類物品までのなかで主に耐火性能を要しない物品を保管・管理する倉庫です。設備基準は、一類倉庫の設備基準から耐火基準を除いたものとなります。

  • 三類倉庫

ガラス、地金、鋼材など第3類物品から第5類物品までの物品を保管・管理する倉庫です。設備基準は、一類倉庫の設備基準から防水・防湿・遮熱・耐火基準のほか、防鼠措置を除いたものとなっています。

  • 野積倉庫

野積倉庫は、倉庫といっても建物ではなく、柵や塀で囲んだ区画を示すものです。屋根がないため、風雨や日光の影響をほぼ受けない、古タイヤや自動車、原木など第4類物品と第5類物品を野積み状態で保管・管理します。設備基準として、周囲を柵や塀で囲んだうえで、消火設備、防犯措置を備えていることが要件になっています。

  • 貯蔵槽倉庫

貯蔵槽倉庫とは、第1類および第2類物品(※両方とも、ばらに限る)と第6類物品(容器に入れてない粉状又は液状の物品)を保管・管理する倉庫です。袋詰めされていない飼料、容器に入っていないはちみつやでん粉などを扱います。設備基準としては、建物全体が金属板もしくはコンクリートで覆われ、密閉されていることが要件となっています。

  • 危険品倉庫

危険品倉庫とは、第7類物品(※)を保管・管理するための倉庫です。

危険品倉庫には危険品が保管されるため、防犯はもちろん、防水・防火・照明などの要件はかなり厳しく設定されています。また、倉庫建設の際にも、保管する物品によっては避雷設備や蒸気排出設備の設置が必要です。危険品倉庫を使用する際には、必要な設備を整え、人員を整備したうえで、消防庁もしくは他の定められた機関へ申請し、許可を得なくてはなりません。

※消防法(昭和23年法律第186号)第2条の危険物および高圧ガス、保安法(昭和26年法律第204号)第2条の高圧ガス

  • トランクルーム

トランクルームは、これまで説明してきた上述の各倉庫とは異なり、個人財産を保管するための倉庫です。対象物としては、美術工芸品、書籍、毛皮製品、家財などが挙げられます。

トランクルームのうち、一定の性能(定温、定湿、防塵、防虫、防磁、常温、常湿)を有するなど、優良な施設であると国土交通省から認められたものは「認定トランクルーム」とされます。

普通倉庫以外の営業倉庫の種類

冷蔵倉庫

冷蔵倉庫とは、第8類物品(農畜水産物の生鮮品および凍結品等の加工品その他の摂氏10度以下の温度で保管することが適当な物品)を保管するための倉庫です。

通常の倉庫にはない、エアコン、ドッグシェルター(※)、冷気を逃さない扉など温度管理に欠かせない設備のほか、防水・耐火性能、冷蔵設備、温度計などが必須の設備です。

また、基本的に食品を保管する倉庫のため、衛生管理にはほかの種類の倉庫以上に厳しい設備基準が設けられています。特に結露が発生してしまうと、雑菌が発生するリスクが高まるため、温湿度管理に関しては十分な対策が必須です。

※外気や粉塵、雨風の侵入などを防止するため、車両やコンテナの荷台と搬入口の隙間を埋める装置。

水面倉庫

水面倉庫とは、上述の第5類物品(原木等水面において保管することが可能な物品)を保管するための倉庫です。原木は陸上で保管していると乾燥によって割れやヒビが入るリスクがあるため、水面に浮かべて湿度を保てるようにして保管します。

設備基準として、周囲を築堤などの工作物で防護したうえで流失防止措置を講じること、周囲に照明装置を備えるなどして防犯対策を行うことなどが挙げられます。

倉庫の種類、特徴を把握し、自社の目的に合った選択を

倉庫業を始めるうえで倉庫の新設もしくは改修を行う場合、まず倉庫の種類にどのようなものがあるかを把握しなければなりません。

倉庫業のなかでも、たとえば水産加工品の保管・管理を行う場合と原木の保管・管理を行う場合では、倉庫の種類、設備基準などが大きく異なります。そのため、最初に自社の事業内容を明確にし、どういった基準を満たさなければならないかをチェックしつつ、目的にあった種類の倉庫を選択しましょう。

また、倉庫業を行うには、国土交通省の許可も必要であるため、あらかじめ許可申請の準備をしたうえで新設、改修を行ってください。

なお、倉庫の新設、改修を行う際は、倉庫建築の経験豊富な業者への依頼がおすすめです。倉庫業に関する法律に従っていないと、罰則規定が適用されるため、倉庫に精通している業者に依頼するとよいでしょう。

三陽建設では、倉庫の建設・改修に関して豊富な施工実績があります。細部までこだわる高品質の技術と数多くの経験で、お客様のご要望にお応えしております。これから新たに倉庫業を行う際や老朽化に伴う大幅な改修が必要の際には、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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