福祉施設
老人ホームの建設で重要なポイントとは?老人ホームの基本知識から業者の選び方までを解説
更新日 : 2023/10/04超高齢化社会と呼ばれる時代に突入し、老人ホームの需要と必要性は以前にも増して高くなっています。民間による老人ホームの開設も増加しており、さまざまなタイプの老人ホームが作られていますが、新たに老人ホームを建設する場合にはどういった点が重要になるのでしょうか。今回は、老人ホームの種類や特徴などの基本的な知識や、建設に関する重要なポイント、業者の選び方などをご紹介します。
Contents
老人ホームの需要と必要な理由
超高齢化社会、その影響は現代社会にどのように及んでいるのでしょうか。
日本では、2008年を境に総人口が減少傾向に転じる一方で、少子高齢化が進み高齢者の割合は増加しています。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、5.6人に1人が75歳以上、従来の「高齢者」である65歳以上の割合は30%に達すると予想されています。
このように超高齢化社会に突入するなかで、需要が高まっているのが老人ホームです。およそ3人に1人が高齢者となる社会では、高齢者が快適に暮らしていくための住居が不足することが予想され、老人ホームが自然と注目されるようになったのです。
国内の老人ホームを見てみると、自治体が運営する公的施設のほか、民間が運営する施設も増えています。
公的施設の老人ホームは、一般的に、社会福祉に対する公益性や継続性の確保から介護度の高い人や低所得者を対象としているものが主体となっています。一方の民間施設では、利用者のニーズに沿ったサービスの提供に重点を置いた、自由度の高い老人ホーム事業が展開されています。
老後を幸せに過ごしたい、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の高い生活を送りたいというニーズが多く、民間の老人ホームの人気と需要は高まっています。超高齢化社会を迎えるにあたり民間老人ホームの建設は今後一層需要が高まるでしょう。
老人ホームの種類と特徴
老人ホームは目的やサービスの内容によって種類が分かれ、運営できる主体も決められています。
老人ホームの運営主体は大きく次の4つに分けられます。
- 地方公共団体
- 社会福祉法人
- 医療法人
- 株式会社などの民間企業
これらの運営主体は、老人福祉法、社会福祉法によってどのタイプの老人ホームに参入できるかが定められています。
老人ホームの種類としては次のようなものがあります。
特別養護老人ホーム
原則として要介護度3以上から入居可能な老人ホームです。寝たきりの人、認知症の人など要介護度の高い人を対象としています。
入浴や食事など日常生活の介助を中心とし、終身利用が可能です。身の回りのお世話が中心となるためレクリエーションや交流のような活動はあまり活発に行いません。
介護老人保健施設
要介護度1からが対象となる施設です。病院から退院後にすぐ自宅で生活することが難しい人が、在宅復帰するためにリハビリを受けながら過ごすケースが多くなっています。
入居期間は原則として3~6カ月で、3カ月おきに入居継続判断が行われます。
日常生活のケアのほか、リハビリや医療ケア、レクリエーション、外出支援なども提供することができます。
介護療養型医療施設
医師、看護師が常駐し、医学的管理を必要とする要介護度1以上の人を対象にした施設です。
医学的管理と日常ケアに加え、理学療法士によるリハビリテーションを提供することができます。
入居者に応じた医師の人数が定められており、医療的ケアを行う体制が充実しています。
※介護療養型医療施設については、2024年3月末の廃止が決定しています。この施設の役割を引き継ぐのが、2018年4月に新設された「介護医療院」です。介護医療院では、医療を提供するとともに生活のサポートも行います。
養護老人ホーム
身体的・精神的あるいは経済的な理由などから、自宅で生活することが難しいと判断された高齢者が入居する施設です。
社会復帰を最大の目的としていて、介護サービスは基本的になく、食事の提供や健康管理、自立支援を行います。
有料老人ホーム
有料老人ホームには、次のようにさまざまな種類の運営方法があります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
- グループホーム
介護スタッフが常駐する介護付き有料老人ホーム、食事や買い物、清掃などの生活支援と見守りサービスを提供する住宅型老人ホームなど運営の方法によって、分けられています。
軽費老人ホーム(ケアハウス)
無料または低額な料金で高齢者を受け入れ、食事や生活上必要な便宜を提供する施設です。次の3つの類型に分けられます。
- 軽費老人ホームA型
- 軽費老人ホームB型
- ケアハウス
A型は食事の提供があり、B型は食事の提供がありません。A型とB型は所得制限があり、自立生活に不安がある高齢者を対象としています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
主に介護度が低めの高齢者を対象に、安否の確認や生活相談などのサービスを提供する住宅です。その大半はバリアフリーで段差が少なく、高齢者の暮らしやすさを考慮したつくりになっています。入居者は自宅とほぼ変わりのない自由度の高い生活を送りながらサービスを受けることができます。基本的には介護サービスは付いていませんが、介護の対応が可能なサ高住もあります。
老人ホーム建設時に考慮すべき重要なポイント
老人ホームの建物は、通常の住宅や施設の建設と異なる部分も多く、建設時に気をつけなければならないポイントがあります。
入居者とスタッフに配慮した設計が必要
高齢者が生活する場所は、バリアフリーが基本となります。
また、スタッフが働きやすく入居者の安全を確保できる設計となっていなければなりません。動線について配慮が必要です。
一般住宅とは立地の選択基準が異なる
一般住宅の場合は、買い物の利便性や駅からの近さが重視されますが、老人ホームについては立地の選択基準が異なります。
老人ホームは基本的に車による送迎が多いため、一般住宅と比べると、駅から徒歩何分であるかは重視されにくいといえます。安全性や静かで過ごしやすい環境であることが重要です。
施設の種類によって基準面積が異なる
居室は基本的に個室であることが条件とされています。
施設の種類によって一室の面積や、入居者1人あたりの床面積などに決まりがあり、共用部の有無によっても基準面積が変わります。
施設の種類ごとに必要な設備基準がある
介護保険サービスを提供するためには、厚生労働省の規定に基づく一定の基準を満たさなければなりません。基準を満たすために必要な設備も整える必要があります。
老人ホーム建設を依頼するときのポイント
通常、施主が工事を依頼する窓口は、親しくしている設計事務所または建設会社というケースが多いでしょう。施工のみを行う建設会社(施工会社)に相談し、設計事務所を紹介してもらうというパターンも考えられます。
老人ホームの建設は実績がある建設会社を選ぶ
老人ホームを建設する場合、一般住宅とは異なる設計や施工のノウハウが必要です。対象となる入居者によって、車いすのための設備や、衛生機器の種類・取り付け位置の高さなどを、異なる仕様にする必要があります。そのため、設計事務所だけではなく施工会社も、建設する施設の特徴や法律上の施工基準をよく理解していなければなりません。こうしたことから、バリアフリーを基本とした老人ホームならではの施工ができる、実績豊富な会社がおすすめです。
さらに、設計図どおりに施工を行うだけでなく、設計では表現しきれていなかった細かな配慮や遊び心なども提案してくれる施工会社なら、なおよいでしょう。
施工時には近隣に配慮しながら安全に工事を行ってもらうことも大切です。そして、現場で何か問題が生じたときに柔軟な対応をしてくれる施工会社が理想だといえます。また、老人ホームを開設する場合は建物が完成する前から入居者を募集することが少なくないため、工期を厳守できる会社であることも重要です。
老人ホームの建設は実績と経験のある業者に依頼すると安心
老人ホームの建設は、老人ホームの種類ごとに面積や設備など必要な基準が定められており、それらを満たした設計が必要です。また、入居者とスタッフの安全や利便性を考慮した細かい気配りのある設計・施工も求められます。建設時に施工会社側からも適切な提案があると、よりよい老人ホームの建設が可能になるでしょう。
三陽建設は老人ホームについて豊富な施工実績があり、安全性や利便性を考慮した適切な提案が可能です。細部までこだわる高い品質と技術力によって、お客様のご要望にお応えできるよう努めています。老人ホームの建設を検討される際にはぜひご相談ください。