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倉庫に換気が必要な理由とは?換気効率を上げる4つのポイントを解説

更新日 : 2023/10/23
倉庫に換気が必要な理由とは?換気効率を上げる4つのポイントを解説

感染症予防の観点から、さまざまな建物で換気の重要性が見直されています。あまり人が密集するイメージのない倉庫も例外ではありません。特に、物流の要(かなめ)として機能する物流倉庫は多くの人が出入りする場合もあり、換気は重要です。しかし、倉庫の広い空間は換気がしにくく、効率よく空気を入れ替えることを考えなければなりません。倉庫の換気効率を上げるためには、どのような工夫が必要となるでしょうか。倉庫の換気について、換気が必要な理由や法的な根拠の有無、換気効率を上げるポイントなどを紹介します。

なぜ倉庫の換気が必要なのか

倉庫を「ただ物品を置いておく場所」と捉えている場合、できるだけ設備を省き、ランニングコストもかけずに維持したいという考え方になるかもしれません。その場合、換気設備も不要と考える人もいるのではないでしょうか。

しかし、倉庫にも換気が重要です。その理由を見ていきましょう。

室温の調節・維持

温度調節機能のない倉庫内は、外気温が高く日差しの強い夏の時期に高温になりやすい場所です。倉庫内の温度は外の気温が高いことで上がるだけでなく、日光によって屋根が熱くなることでさらに上昇します。

倉庫に保管する物品によっては、高温が原因となって商品の中身や包装が損傷してしまう可能性もあり、激しい温度上昇は好ましくありません。

また、倉庫内で作業する人の健康被害防止のためにも温度を調節する必要があります。高温になった倉庫内で作業を続けると、熱中症のリスクが高くなるからです。

これらのことを考慮して、倉庫の室温を調節し適度に保つためにも、換気が必要です。

倉庫の暑さ対策について詳しくは、「倉庫や工場の暑さ対策とは?暑さ対策の重要性と具体的な方法を解説」をご覧ください。

除湿・カビ対策

換気によって倉庫内の湿度を適切なレベルに保つことも、商品を守るために重要です。保管する商品の品質を保ち、カビや腐敗、商品の損傷を防ぐことにつながります。

倉庫は特に湿気がたまりやすい環境が整っているため、換気によって湿気を追い出す必要があります。倉庫の除湿やカビ対策について詳しくは、「倉庫の除湿が重要な理由とは?具体的な除湿対策を解説」をご覧ください。

感染症対策

新型コロナウイルス感染症によって、換気の重要性があらためて認識されました。

新型コロナウイルスは、エアロゾル粒子に含まれた状態では空気中で3時間以上生存するという研究結果もあります。このことから、密閉空間となった倉庫内ではウイルスがとどまり続け、感染リスクが高まる可能性があるのです。

倉庫は物品を保管するだけでなく、入出庫や仕分け、ピッキング、在庫管理や棚卸しなどの、さまざまな作業が行われます。人が出入りして作業を行う以上、感染予防対策として換気が必要です。

においの充満対策

保管する商品には、強いにおいを発生させるものもあります。

タイヤのようなゴム製品、石けんや洗剤など香料の香りが強いもの、生臭い海産物などは、それぞれ特有のにおいがあります。そのうえ、倉庫内で発生したカビ臭が充満する可能性もあるでしょう。

これらのにおいが別の商品の包装に染みついてしまうと、商品価値の低下につながるおそれもあります。

においがこもる前に換気を行い、充満を防ぐことでにおい移りの防止または低減ができるでしょう。

倉庫の換気は義務?

このように倉庫の換気には重要な意味がありますが、法令上で義務や基準などがあるのでしょうか。

換気の実行や換気設備の設置などについて、法的な規定があるのかを見ていきましょう。

物品の保管のみを行う倉庫の換気は義務化されてはいない

建築基準法では、居室と定められている建物に対して換気設備の設置が義務付けられています。

物品の保管や貯蔵を行うための倉庫は居室とはならないため、建築基準法上では換気設備の設置は必要とはされていません。

しかし、上で説明したような暑さ・湿度・におい・感染症対策などの理由から換気は重要です。法的な義務はないとしても、換気設備を設置しておいたほうがメリットは大きいことも考慮しておきましょう。

また、倉庫に事務所や作業を行う工場が併設されている場合、居室として扱われることもあります。物流センターのように、2次加工や仕分け作業、事務作業を行う機能を有した倉庫では、換気は必要と考えておいたほうがよいでしょう。

特定条件の倉庫は換気が必要

空気中の酸素濃度が18パーセント未満になるおそれがある場所では、換気が義務付けられています。例えば、ドライアイスを取り扱う冷凍倉庫では酸素濃度が低下しやすく、換気設備が必要です。

危険物倉庫にも換気設備の設置が義務付けられている場合があります。また、「可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある場合」には可燃性蒸気排出設備を設けるよう条例で定めている自治体もあります。この場合、室内の空間容積を1時間に5回以上換気できる能力を有するものといった具体的な指定もあります。

危険物倉庫について詳しくは、「危険物倉庫とは_3つの基準と建築の注意点を解説」をご覧ください。

倉庫の換気方法

次のような方法で倉庫の換気を行うことができます。

  • 窓やドアの開放
  • シーリングファン
  • エアー搬送ファン
  • 換気ダクト
  • 大型送風機
  • 有圧換気扇

これらの方法は、倉庫のサイズや保管する商品の種類、周辺の環境などによって、適している場合と適していない場合があります。

例えば、窓やドアを開放して換気する方法は、倉庫に特別な設備をつけなくても換気ができます。しかし、ホコリや虫が入ることは避けたい食品や精密機器を保管する倉庫では実施できない方法です。

また、天井に設置するシーリングファンでは低層の空気が循環しにくい、換気ダクトでは広い空間に対応できないといった課題があります。

さまざまな条件を考慮に入れながら、それぞれの倉庫に合う換気方法を考える必要があります。

換気の効率を上げるための4つのポイント

倉庫の換気について、次のような点に気をつけると効率を高めることができます。

空気の流れを考える

窓やドアの開放によって換気を行う場合、建物や部屋の2方向を開けて空気が流れるようにすると、空気の入れ替えの確実性が高くなります。

換気設備を用いて換気を行う場合は、設備の設置場所も重要です。換気設備をどこに設置するかに加え、空気の流れをさえぎらないような機器配置を考え、スムーズに換気を行うことも大切です。

空気の流れをつくる

自然の風だけでは無風の日に換気効率が低下し、シーリングファンでは低層の空気が動かないといった課題があります。

こういった場合には、強制的に空気の流れをつくらなければ換気効率を上げることはできません。

吸気と排気のファンを設ける、誘引ファンで空気の流れを助ける、有圧換気扇で力強く換気するなどの方法で空気を強制的に動かすことができます。

空気の流れを可視化する

空気の流れを可視化することで、効率的に換気ができているかを知ることができます。これにより、換気設備を設置すべき場所や換気能力の過不足がわかります。

熱流体解析装置を用いた測定、赤外線カメラによる温度計測などによって、画面上に可視化することが可能です。

このほか、発煙管によって気流の方向や速さを目で見る方法や、微細水蒸気ミストによって気流を可視化する方法などがあります。

実績のある業者選び

効率的な換気設計を行うためには、空気の流れを計算して換気設備を設置しなければなりません。倉庫のような大空間における換気についての経験やノウハウの積み重ねが必要になります。

そのため、倉庫や工場の建設において実績のある業者を選定することが重要です。

効率のよい換気で作業者と商品の安全を確保しよう

倉庫の換気について、必要性や換気の方法、換気効率を高めるポイントなどを紹介しました。

物品の保管・貯蔵のみを行う倉庫であれば、法律上では換気設備の設置は義務化されていません。しかし、現代の倉庫は多くの人が頻繁に出入りする場合もあり、作業者の安全確保や感染予防のためにも換気の必要性が高いといえます。また、換気を行うことで倉庫内の温度・湿度を適切に保ち、カビの発生やにおいの充満を防ぐことができます。

自社倉庫の換気をより効率よく行うためには、実績豊富な専門の外部パートナーに依頼することが大切です。三陽建設は倉庫の建設に豊富な実績を持ち、倉庫の種類に適した換気設備の設置にも多くのノウハウがあります。倉庫の建設や換気設備の追加工事について、三陽建設にお気軽にご相談下さい。

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