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倉庫の除湿が重要な理由とは?高温多湿な日本での除湿対策を解説
更新日 : 2023/10/04ここ数年、気温が35度を超える日も珍しくない日本の夏。気温だけではなく、湿度も高いのが日本の夏の特徴です。天気予報専門のWebサイトtenki.jpが2017年7月に発表した、「過ごしづらい蒸し暑さ」を示す「世界ジメ暑ランキング」では、大阪が4位、東京が5位という結果でした。世界でも特に多湿な環境において、倉庫の管理を適切に行うには除湿対策が欠かせません。そこで今回は、倉庫の除湿が重要な理由や、具体的な除湿対策についてお伝えします。企業で倉庫管理を担当している方は、ぜひ参考にしてください。
倉庫に湿気がたまりやすい理由
高温多湿な日本の夏は、どのような建物であっても、ある程度は湿気がたまります。しかし、そのなかでも倉庫は特に湿気がたまりやすい建物です。理由としては次のような点が挙げられます。
- 空調設備の管理が難しい
倉庫は一般的な建物に比べ、面積が広いにもかかわらず、間仕切りが少ないため、場所によっては空調が効きにくく、高温になってしまうことが少なくありません。そのため、空調が届かない場所は湿気がたまりやすくなります。
また、天井が高いことも湿気がたまりやすい理由のひとつです。空調によって生じる冷たい空気は上昇したあと循環し地面に降りていきますが、天井が高いと上部にとどまったままとなり、地面の温度はなかなか下がりません。そのため空調効率が悪くなり、地面に近い部分に湿気がたまりやすくなるのです。
- 湿気がたまりやすい素材で建てられている
多くの倉庫は、壁や床がむき出しのコンクリートになっています。コンクリートは、表面から水分をとり込む特徴があり、湿気がたまりやすい素材です。
近年、コンクリート打ちっ放しを売りにしているマンションもありますが、マンションの場合、窓を増やす、換気設備を活用するといった工夫である程度は湿気を防げます。
しかし倉庫の場合、保管する物品によっては窓を増やせなかったり、前述したように天井が高く面積が広かったりするため、十分な換気ができません。そのため、湿気を外に逃がすことができず、倉庫内にためてしまいます。
- 倉庫は構造的に高温になりやすい
湿気がたまる大きな理由のひとつは高温です。前述したように、倉庫は空調効率が悪いうえ、コンクリートは熱伝導率が高く、湿気だけではなく熱もため込みます。そのため、空調を強めにしてもなかなか温度は下がりません。
また、多くの倉庫の屋根は金属製の折半屋根であるため、直射日光に熱せられることで、輻射熱を放射して建物内部が高温になります。このように倉庫は構造的に高温になりやすい造りであるため、どうしても湿気が発生しやすく、そしてたまりやすくなってしまうのです。
倉庫の除湿対策の重要性
倉庫内に湿気がたまったままにしておくと、さまざまなトラブルが発生します。具体的には次のとおりです。
- カビやダニが発生し、保管している荷物や作業員に悪影響をおよぼす
保管している物品の種類によっては、湿気がたまるだけでも悪影響がおよびますが、カビやダニが発生すれば、さらに大きな影響があります。保管物が食品であれば腐敗や変色、品質低下による食中毒菌の繁殖、ダニの混入などが、木材や紙製品であれば変形・破損が生じるかもしれません。
カビは保管している物品だけではなく、作業員にも悪影響をおよぼします。カビから放出される微小な胞子を吸い込んでしまうことで、アレルギーや喘息、免疫力低下といった健康被害が引き起こされるリスクが増大するでしょう。
また、ダニはアトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・喘息などのほか、感染症を引き起こすリスクもあり、非常に危険です。
- 倉庫自体もしくは設備の腐食やサビの発生リスクが高まる
湿気を放置していると、建物の壁や天井、床などの構造材料に水分が浸透し、腐食や腐朽を引き起こす可能性があります。湿度が高い環境では、金属製品や機械部品などの金属製品にサビが発生するリスクも高まるでしょう。また、湿気の水分が電気設備に浸透すれば、ショートや故障を引き起こすかもしれません。
これらのトラブルにより倉庫や設備の改修が必要になれば、多大なコストがかかるため、倉庫管理を行う企業にとってはかなりのダメージとなるでしょう。
倉庫の具体的な除湿対策
倉庫自体はもちろん、保管している物品や作業員にも悪影響をおよぼしかねない湿気。それによって生じるリスクを避けるには、徹底した除湿対策が求められます。ここでは、具体的な除湿対策について解説します。
- 換気を徹底する
湿気対策で重要なポイントとなるのは換気です。しかし、倉庫は保管する物品によっては窓を増やすことができないうえ、空調効率も良くないため、換気を徹底するのは簡単ではありません。
そこで、湿気対策として、業務用の大型扇風機やシーリングファンを設置し、空気の流れを機械的につくり出します。空気の流れをつくれば、湿気対策になると同時に高温対策にもなるため、作業員が快適に働ける環境づくりにもつながるでしょう。
倉庫の換気についてより詳しくは、「倉庫に換気が必要な理由とは_換気効率を上げる4つのポイントを解説」をご覧ください。
- 除湿剤や除湿器を活用する
倉庫の構造上換気が難しい場合は、湿気のたまりやすい場所に除湿剤や除湿器を設置します。工場や倉庫などの面積の広い建物でも対応できる業務用タイプを活用すれば、湿気を大幅に減らすことも可能です。
- 外気の侵入を防ぐための対策を実施する
特に物流倉庫の場合、荷物の出し入れを頻繁に行うため、搬入・搬出口は常に開放状態となるケースも少なくありません。しかし、搬入・搬出口が開放状態では外気が倉庫内に入り込み、湿気が生まれる要因ともなってしまいます。そこで、二重扉や間仕切りカーテンを設置し、できるだけ外気が入り込まないようにすることが重要です。
- ストレッチフィルムを活用する
ストレッチフィルムの活用も湿気対策として高い効果が期待できます。ストレッチフィルムは、水を通しにくい素材でつくられているため、荷物をストレッチフィルムで覆うことで湿気対策になります。換気が難しい、大型扇風機やシーリングファンの設置もできないといった場合に最適な対策といえるでしょう。
- 専門業者に相談する
コンクリート打ちっ放しで換気も難しいといった倉庫であれば、改修の可能性も含め専門業者に相談するのがおすすめです。コンクリートは冬場に結露ができやすくなるリスクもあるため、季節を問わず保管する物品や建物自体に悪影響をおよぼす可能性があります。
このような倉庫は、応急処置的な対策ではあまり効果も期待できないため、倉庫建設の経験が豊富な専門業者に早めに相談するとよいでしょう。
倉庫の除湿対策は専門家のアドバイスを受けるのがおすすめ
倉庫は一般的な建物に比べ高温になりやすく、湿気もたまりやすい構造であることが多いため、湿気対策は徹底して行わなければなりません。
湿気を放置していると、カビやダニの発生により物品や作業員へ悪影響がおよぶのはもちろん、建物自体の老朽化を早めてしまうリスクも生じます。そのため、換気や除湿剤・除湿器の設置、間仕切りカーテン、ストレッチフィルムの活用などの対策を徹底し、湿気を取り除かなくてはなりません。
しかし、さまざまな対策を行っても湿気がなくならない場合は、できるだけ早い段階で専門業者に相談するのがおすすめです。三陽建設では、豊富な施工実績を生かし、倉庫の除湿についても最適な提案をいたします。倉庫の湿気対策でお悩みの際は、ぜひ、お気軽にご相談ください。
倉庫の改修・リニューアルをご検討の方は「三陽建設のリニューアル・リノベーション」をご覧ください。