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【工場や倉庫の断熱・遮熱対策】壁・屋根・天井の場所別にポイントを解説
更新日 : 2023/11/20工場や倉庫において夏の暑さ対策・冬の寒さ対策は従業員の健康や設備の保護において非常に重要です。しかし、構造上家屋やオフィスと比べ外気の影響を受けやすいため、より根本的な対策が求められます。
この記事では工場や倉庫の環境を適切に維持するための「断熱」「遮熱」について解説するとともに、「壁」「屋根」「天井」およびその他の部分で実施できる対策について解説しています。
低予算、短工期でできるものから、コストがかかるものの長期的に大きなメリットを受けられるものまで幅広く紹介していますので、工場・倉庫の断熱・遮熱対策でお悩みのご担当者様はぜひご一読ください。
Contents
熱を抑える機能は「断熱」と「遮熱」の2つ
熱をコントロールし、工場や倉庫の内部の温度を適切に保つ方法として「断熱」と「遮熱」2つがあります。
それぞれ原理が異なるため、まずはその違いを見比べましょう。
断熱機能
断熱機能とは壁の内部に伝わる熱の量を減らす(断つ)機能のことを指します。冬は暖気を外に逃がさないよう内部に閉じ込め、夏は外部の熱い空気を施設内部に入れないように防ぎます。
遮熱機能
遮熱機能は日射のよる熱を吸収しないよう反射する(遮る)機能のことを指します。熱を直接反射させることによって室内の高温化を防ぎますが、室内の温度を維持する効果はありません。
工場や倉庫の壁にできる断熱・遮熱対策
工場や倉庫の壁に対して実施できる断熱・遮熱対策は以下の通りです。壁の外側、もしくは内部に対しての対策が基本となります。
外壁に断熱・遮熱シートを貼る
断熱・遮熱効果のあるシートを外壁に貼ることにより、壁の断熱性・遮熱性を高められます。比較的低予算で実施でき、工場の外への施工が基本であるため内部の稼働に対しても影響しにくいです。
断熱・遮熱効果のある塗料を塗る
断熱・遮熱効果のある塗料を塗ることによっても、外壁の断熱性・遮熱性の向上が期待できます。断熱シートと比較してさらに低予算・短工期で進めることが可能ですが、断熱・遮熱の性能は相対的に低い点や、5~10年ごとに塗り替えが必要な点がデメリットとして挙げられます。
断熱材を用いた素材で施工する
壁の施工(新築・改修)にあたって断熱材を用いることで、壁の根本的な断熱機能を高めることができます。
根本的な対策であり、30~40年にわたる長期的な効果を得られますが、対策にかかる費用は高額であり、また壁の内部への工事を要するため、工場の稼働を止める必要がある場合もあります。
工場や倉庫の屋根にできる断熱・遮熱対策
屋根でできる断熱・遮熱対策について解説します。工場内部への影響が少ない分、自由度の高い様々な方法が挙げられます。
断熱材で屋根を作る
新築・改修にあたり、屋根を断熱材で作ることは根本的な対策として有効です。コストはかかりますが、長期的に大きな効果を得られることが魅力と言えるでしょう。
屋根の改修の場合、壁への施工と比較すると屋内での稼働への影響が少ないこともメリットとして挙げられます。
屋根に断熱・遮熱シートを貼る
比較的安価に、かつ効率的にできる対策として屋根に断熱・遮熱効果のあるシートを貼ることが挙げられます。屋根での作業となる関係から壁に対しての作業と比較すると作業のコストは高くなる可能性があります。
断熱・遮熱効果のある塗料を塗る
壁の対策と同様、塗料による対策も可能です。低予算、短工期で実施できる対策ですが、効果面や比較的短期間での塗り替えが必要な点はご注意ください。
スプリンクラーを散水する
屋根の上にスプリンクラーを設置し、散水することで室内の気温を下げる効果が得られます。水は気化する際、周りの熱を奪うため、屋根周辺の空気の温度を下げ、内部に伝わる熱の量を減らせるのです。
初期費用としてスプリンクラーの設置費用、ランニングコストとして水道代、スプリンクラーのメンテナンス費用が発生します。
屋根を二重構造にする
屋根を二重構造にすることで外部の熱が内部に伝わりにくくなるため、断熱・遮熱対策として有効です。本格的な施工が必要なため費用はかかりますが、効果は高い上通気性もよくなるため、魅力的な選択肢の一つといえるでしょう。
太陽光パネルを導入する
太陽光発電用のパネルを導入することも有効な対策です。パネルが太陽光を吸収するため、内部に伝わる熱が抑えられるためです。
加えて、太陽光発電で設備内部の電力の一部を供給することができれば電気代の節約にも繋がり、SDGsの観点からも評価される取り組みと言えます。
太陽光パネルや発電設備の導入には一定のコストがかかりますが、多くのメリットを長期的に受けられることを考えると、検討に値する投資と言えるでしょう。
工場や倉庫の天井にできる断熱・遮熱対策
屋根だけでなく、天井に断熱・遮熱対策をすることでも、設備内の環境を適切に保つことができます。
ただし、屋内での対策であるため改修の場合は内部の稼働に影響する可能性がある点はご注意ください。
断熱材を入れる
天井の内部に断熱材を入れることで断熱・遮熱対策が可能です。効果が大きいことに加え、屋根への施工に比べると安価で対策することができます。
断熱・遮熱シートを貼る
壁や屋根同様、断熱・遮熱シートを貼ることも低予算、短工期での対策として有効です。屋外に比べるとシートの劣化が遅いこともメリットとして挙げられます。
工場や倉庫でその他にできる断熱・遮熱対策
壁・屋根・天井以外の箇所で実施できる断熱・遮熱対策についても併せて解説します。
断熱・遮熱カーテンを用いる
断熱・遮熱効果のあるカーテンを内部に設置することで、断熱・遮熱効果が得られます。カーテンは購入コスト、設置コストが安いだけでなくその他の効果も得やすいため、実施を検討する価値は高いと言えるでしょう。
複層ガラスの窓に交換する
工場・倉庫に窓が設置されている場合、複層ガラスの窓に交換することによっても断熱・遮熱効果が高まります。副次的に紫外線対策や結露対策になる上、防犯効果の高まりも期待できます。
工場や倉庫の断熱・遮熱対策でよくある質問
工場倉庫の断熱・遮熱対策を検討される際に、よく聞かれる質問とその回答をご紹介します。
工場・倉庫に断熱材が入っていないとどうなりますか?
工場内・倉庫内の温度が高温になる可能性があります。
断熱材がないと日射による熱がすぐに内側にも伝わり、内側の空気を暖めてしまいます。
空調設備の効率も悪くなり、電気代のコストも多く発生します。
工場・倉庫の暑さ対策の重要性と方法は「倉庫での暑さ対策とは?暑さ対策の重要性と具体的な方法を解説」をご覧ください。
工場・倉庫の稼働を止めずに対策をすることは可能ですか?
はい、可能です。
三陽建設では稼働を止めずに工事を行う「居ながら改修」の実績も多くございます。生産高や売上を確保しながら改修工事を行うことができますのでお気軽にご相談ください。
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断熱・遮熱対策は定期的なメンテナンスが必要ですか?
はい、断熱・遮熱対策には定期的なメンテナンスが必要です。
特に屋根や外壁は太陽光や風雨に晒され続けるため、定期的なメンテナンスが求められます。
まとめ
工場・倉庫の断熱、遮熱対策について解説しました。
- 熱対策には「断熱」と「遮熱」の2つの考え方がある
- コストをかけられるならば断熱材を使用する方法が効果が高い
- 断熱・遮熱塗料を使うことで、手軽かつ安価に対策することも可能
- 壁、屋根、天井でできる対策の内容や稼働への影響は異なる
- カーテンやガラスなどへの対策も可能
工場・倉庫での熱対策は従業員や設備など企業にとって貴重なリソースを守るために必須であり、断熱・遮熱対策は事業を維持する上で必要な投資と言えるでしょう。今回解説した内容を参考に、自社にとって望ましい対策方法を検討してみてください。
三陽建設は創業100年を越える実績があり、多くの工場や倉庫の建設に携わってきました。新築時の断熱・遮熱対策はもちろん、改修による断熱・遮熱対策、効果を持続させるための定期的なメンテナンスも実施しています。
工場・倉庫の断熱・遮熱対策をご検討の際には、ぜひご相談ください。