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工場のヒヤリハット事例を知って事故防止のためのポイントを確認しよう
更新日 : 2024/02/20重大な事故につながりかねない「ヒヤリハット」。工場における事故を防止するためには、事例を知ってポイントを確認しておくことが大切です。
この記事では、ヒヤリハットの事例や要因、重大事故防止につなげるために意識したいポイントをご紹介します。
工場に勤務している方や管理者の方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
ヒヤリハットとは?
まずはヒヤリハットの定義や重大事故に関するハインリッヒの法則について解説します。
ヒヤリハットは「事故が起こらなかった危険事象」
ヒヤリハットとは、一歩手前で事故が起こらなかった危険事象のことです。
思いがけない事象が起きたときに「ヒヤリ」としたり、事故が起きる寸前に気づいて「ハット」することをまとめて、ヒヤリハットと表現されています。
ヒヤリハットが起きるということは、いつ事故が起きるか分からない状態であり、対策を立てる貴重な機会ともいえるでしょう。
重大事故に関するハインリッヒの法則
ハインリッヒの法則とは1:29:300の比率、1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の「ヒヤリハット」があるというものです。
ハインリッヒは労働災害における調査をし、重大事故の裏には一定数の軽微な事故と、怪我に至らないヒヤリハットが起きていることを提唱しました。
つまりヒヤリハットが10回前後起きると、1回程度は軽微な事故に発展し、その中でも30回に1回程度は重大な事故が発生してしまうのです。
そのためヒヤリハットが起きた時点で、事故に至らなかったと安心するのではなく、今後起こりうる重大事故が発生してしまわないよう対策をとる必要があります。
ヒヤリハットの事例
ヒヤリハットはあらゆる業界でその状況に応じて発生しますが、特に工場におけるヒヤリハットとして起こりやすい事例を紹介します。
転倒
- 停止中のベルトコンベヤーを跨ごうとしたところ、バランスを崩して転倒しそうになった
- 陳列棚の上段にある商品を降ろそうとして、足元に放置されていた箱につまづき転倒しそうになった
転落
- キャスターをロックしていないかご台車を足場にしたため、バランスを崩して転落しそうになった
- 脚立で作業中、バランスを崩して転落しそうになった
衝突
- 後退走行をしている2台のフォークリフトが、相手に気がつかず衝突した
- 走って移動していたら階段下で荷物を抱えた社員と衝突してしまった
挟まれ・巻き込まれ
- うっかり混錬機の投入口にゴム手袋をはめた状態で手を少し入れてしまい、スクリューに巻き込まれそうになった。
- 二人作業でケーシングをクレーンに吊って移動していたところ、タイミングが合わず手の指を挟まれそうになった。
切れ・こすれ
- カッターの使用後、カッター置き場に返そうとポケットに手を入れたところ、刃先が出ていて危うく手を切りそうになった。
- 材木の切断作業時、右手が誤ってスイッチに触れ、丸のこ盤が不意に回転したため、左手が丸のこ盤の歯で切られそうになった。
ヒヤリハットが起きる原因
ヒヤリハットが起きてしまう原因はさまざま考えられますが、なかでも気をつけたい要因を7つをピックアップしましたので、ぜひ参考にしてみてください。
焦り・油断からのミス
ヒヤリハットは、従業員に焦りや油断があることで、普段は気をつけられていることを意識できていない瞬間に起こることがほとんどです。
緊張感や切迫した状況での焦りは余裕を無くし、視野が狭くなることでミスが起きやすくなるため、常に落ち着いて作業できる環境を作る必要があるでしょう。
しかし反対に、落ち着きすぎて油断しミスが発生してしまう恐れもあるので、適度な緊張感を持ち、気が緩まないような声かけも大切になります。
作業の慣れによる油断
熟練者が作業の慣れによる油断、慢心からマニュアルを確認しないで作業することは、あってはなりません。
長く作業を続けるうえで、肩の力を抜いて作業に慣れることも時には大切ですが、ふとした場面で気が緩むことが無いように気をつけましょう。
疲労によるミス
従業員に疲労が溜まっていると集中力が低下し、いつものように身体が動きにくくなるため、ヒヤリハットが発生しやすくなります。
過剰な負担を強いることが無いよう十分な配慮をし、従業員の不調を察知した場合は作業を中断させるようにしましょう。
従業員のスキル・知識の不足
従業員のスキルや知識が不足していることも、ヒヤリハットが発生しやすい状況なので注意が必要です。
とくに新人の場合は圧倒的に経験が不足しているため、自分の力でリスクを察知したり、避ける能力と余裕がありません。
リスク管理を含めた教育を徹底したり、管理者や教育係が目の届く範囲できちんと見守るなどの対策が必要でしょう。
情報の共有不足
情報の共有不足はヒヤリハットの発生につながるので注意が必要です。
情報の齟齬がある状態では、従業員同士での意思疎通に不足が生じる可能性があり、作業の過程でリスクが伴います。
情報の共有をきちんと行うことはもちろん、従業員側に正しく内容が伝わっているかの確認を怠らないことが大切です。
設備の故障・不具合
設備の故障や不具合は、従業員が予測できないヒヤリハットが発生することがあるため、非常に危険です。
設備の点検は定期的に行い、使用する前に不具合がないかを必ず確認するようにしましょう。
「5S」の不徹底
職場環境を整えるために必要な「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」が徹底されていないと、従業員の安全面に悪い影響を及ぼします。
乱雑な作業環境では、注意が逸れたり安全な動作を妨げてしまう恐れがあるため、従業員の安全を守るためにも、きちんと整備された職場環境を目指しましょう。
ヒヤリハットを重大事故防止に繋げるには?
ヒヤリハットを重大事故防止につなげるにはどうしたらいいのでしょうか。
報告書作成の習慣化
ヒヤリハットが起きた際に内容を詳細に記録して周知をすることで、管理者や周りの従業員に危機管理を持つキッカケになります。
ヒヤリハット報告書の作成を習慣化し、発生したその日のうちに意識の改善と対策を立てることが重大事故防止につながるのです。
KYTトレーニング
KYTトレーニングとは、「危険(K)」「予知(Y)」「訓練(T:トレーニング)」のことをいいます。
危険が起こらないように事前に備えるための訓練であり、数人のチームに分かれて現場の危険性とその対策を考える取り組みです。
従業員自らが、現場で起こりうる危険性を意識し対策を話し合うことで、全体としての危険意識を高めることができます。
定期的にKYTを実施することは、マンネリした環境で従業員の危険意識を再確認させるためにぜひ実施してほしい対策です。
まとめ
ヒヤリハットの事例や要因、重大事故防止につなげるために意識したいポイントをご紹介しました。
ヒューマンエラーをゼロにすることはできませんが、その先に起こりうる事故を防ぐ努力を継続することが重要になります。
重大事故を防止するためには、一歩手前で起きずに済んだヒヤリハットを見逃さずに、ひとつひとつ対策を立てることが大切なので、工場に勤務している方や管理者の方はぜひ参考にしてみてください。
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