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医薬品倉庫の物流業務に必要な許可の種類を解説

投稿日 : 2024/10/03
医薬品倉庫の物流業務に必要な許可の種類を解説

医薬品をはじめとする医療行為に用いる薬品、機器などは人命に関わる物品であるため、保管・流通といった物流のプロセスにおいても極めて慎重な取り扱いが求められる分野です。こういった商品の流通を医薬品物流と呼びます。

本記事では医薬品物流について、概要やカテゴリー、必要な許可の種類や求められる要素などの総合的な内容について解説します。

これから医薬品物流の分野への参入を検討している企業様、医薬品物流の中で別分野への展開を検討している企業様はぜひご覧ください。

医薬品物流とは?

医薬品物流は、医薬品の適切な流通と保管を確保するための重要なプロセスです。製薬業界においては、製品の品質を維持し、患者の安全を確保するために、医薬品の輸送・保管に関する厳しい基準が求められます。

医薬品物流の概要

医薬品物流とは、製薬メーカーや卸業者から病院、薬局、診療所、さらには患者に至るまで、医薬品を安全かつ効率的に届けるプロセスを指します。

医薬品は、その性質上、温度や湿度に敏感な製品が多いため、輸送や保管時にこれらの条件を厳格に管理する必要があります。冷蔵や冷凍の温度管理が必要な薬品や、光や湿度に対して敏感な製品など、多様な条件下での保管・輸送が求められます。また、法規制の遵守や品質の維持が求められるため、医薬品物流には高度な専門知識と技術が不可欠です。

医薬品物流の3つのカテゴリー

医薬品物流は、その役割や管理方法に応じて、大きく3つのカテゴリーに分けられます。

  • 医薬品:医療行為に用いられる医薬品を扱う物流
  • 医療機器:治療・リハビリ等に用いられる医療機器を扱う物流
  • 治験薬:未承認の新薬(治験薬)を扱う物流

それぞれのカテゴリーによって物流業者に求められる役割、業務内容は異なります。

医薬品倉庫の物流業務に必要な許可

医薬品や関連製品を取り扱う倉庫業務には、法令で定められた許可や認証が必要です。医薬品の品質や安全性を確保するため、物流業務を行う企業は製造業許可を取得し、法規制を遵守することが求められます。医薬品倉庫で物流業務を行う際に必要な主な許可について具体的に見ていきましょう。

医薬品製造業

医薬品倉庫での物流業務において、医薬品製造業の許可は非常に重要です。医薬品製造業許可は、医薬品の製造だけでなく、輸送や保管などの物流業務を行うためにも必要です。

倉庫内での取り扱いや輸送中に製品の品質が損なわれないよう、GMP(Good Manufacturing Practice)やGDP(Good Distribution Practice)といった基準を遵守しなければなりません。この許可を取得することで、適切な管理のもとで医薬品を安全に取り扱うことが可能になります。

医薬部外品製造業

医薬部外品は、医薬品ほどの強い効果はないものの、人体に影響を与える可能性があるため、製造・保管・輸送の際には一定の基準を満たす必要があります。医薬部外品製造業の許可は、これらの製品を取り扱う倉庫や物流業者が取得しなければならない許可の一つです。

製品が適切な温度・湿度の環境下で保管され、消費者の手元に届くまでに品質が保持されるように管理します。

医療機器製造業

医療機器を取り扱う倉庫や物流業者には、医療機器製造業の許可が必要です。医療機器は、製品の特性によっては非常にデリケートであり、保管・輸送の際には厳しい管理が求められます。

医療機器製造業の許可を取得することにより、倉庫や物流業者は適切な設備や手続きを整え、製品の品質や機能を維持しながら配送する責任を負います。特に、温度や湿度が医療機器の性能に影響を与える場合は、厳重な管理体制が必要です。

化粧品製造業

化粧品の物流業務にも、化粧品製造業の許可が必要です。化粧品は、医薬品や医療機器ほど厳しい基準ではないものの、その成分や製造プロセスに基づいて、品質を保つための適切な保管・輸送が求められます。

倉庫や物流業者が化粧品製造業の許可を取得することで、化粧品の安全性や品質を確保したまま、消費者に届けることが可能になります。特に、日光や湿度による劣化を防ぐための対策が重要です。

医薬品物流に求められる要素

医薬品物流は、単に製品を運ぶだけではなく、高度な管理と基準を遵守することが求められます。医薬品の品質を保ちながら安全に流通させるためには、法規制やガイドラインに適合した運用が必要です。

医薬品物流に求められる重要な要素として「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインへの適合」、「セキュリティ」、「トレーサビリティ」について詳しく解説します。

医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインへの適合

医薬品物流において最も重要な要素の一つが、適正流通基準(GDP:Good Distribution Practice)への適合です。

GDPガイドラインは、医薬品が流通過程において品質を損なうことなく、最終的な消費者に安全に届くことを保証するための基準です。輸送中や保管中に温度や湿度が適切に管理されているか、製品の劣化や損傷が防止されているかを監視するためのシステムが導入されている必要があります。

例えば、冷蔵・冷凍医薬品では、特定の温度範囲を厳守することが求められ、温度モニタリングや定期的な点検が必須です。また、取り扱う際の衛生管理や適切な梱包も、GDPにおいて重要なポイントとなります。この基準に従うことで、医薬品の品質と安全性が確保されます。

【関連記事】医薬品のGDP(適正流通)ガイドラインと温度管理の注意点

セキュリティ

医薬品物流においては、高度なセキュリティ対策が求められます。医薬品は偽造品や盗難のリスクが高いため、倉庫や輸送中のセキュリティ管理が厳重である必要があります。防犯カメラの設置や警備システムの強化、輸送車両の追跡システムなどがその一例です。

特に高価な医薬品や麻薬性鎮痛剤などの薬品は、不正流通のリスクが高いため、特殊なセキュリティ体制を整えることが重要です。加えて、セキュリティ要件を満たすために、物流プロセス全体でアクセス制限や承認手続きが徹底されていることも必要です。

トレーサビリティ

医薬品物流においてトレーサビリティは非常に重要な役割を果たします。トレーサビリティとは、医薬品がどのような経路を通って流通しているかを追跡・記録する仕組みのことを指します。トレーサビリティを確立することで流通中に何らかの問題が発生した際に、迅速に原因を特定し、回収や対応を行うことが可能となります。

トレーサビリティのためには、各医薬品に固有の識別番号を付与し、出荷から最終消費者までの流通経路を記録するなどのシステムが必要です。これにより、製品の偽造を防ぎ、製品の回収やクレーム処理が円滑に行えるようになります。また、各国の法規制にも対応するため、トレーサビリティシステムの導入は不可欠と言えるでしょう。

まとめ

医薬品物流について解説しました。医薬品をはじめとする医療関連の製品は極めて慎重に扱われる必要があります。そのため、物流に際しても求められる要素は多く、具体的に何が必要であるかは扱うカテゴリーや商品によって異なります。

本記事を参考に、自社で必要な許可や要素について今一度確認した上で対応を進めてみてください。

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