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工場の床を塗装することで生まれるメリットとは?塗装を行う必要性や注意点を解説

更新日 : 2024/01/10
工場の床を塗装することで生まれるメリットとは?塗装を行う必要性や注意点を解説

工場の床は塗装されている場合がほとんどです。なぜ床を塗装する必要があるのでしょうか。また塗装によってどのような効果が生まれているのでしょうか。工場の床を塗装する必要性やそこから生まれる経営上のメリット、一般的に使われる塗装剤の種類などをご紹介します。

工場の床を塗装する理由と必要性

工場の床に塗装をしていない場合、床はコンクリートの素地のままです。こういった素地状態の工場や、塗装が剥がれてコンクリートが露出している工場も存在します。

では、なぜ工場の床に塗装が必要なのでしょう。素地のままではどういったデメリットがあり、塗装によってどのような効果が生まれるのでしょうか。

それらの理由を、コンクリートの特性から考えてみましょう。

コンクリートの特性

コンクリートには、次のような特性があります。

  • 圧縮強度に優れる
    コンクリートの床は上から重いものを載せても、耐えられます。これは、コンクリートが圧力に対しての強度(圧縮強度)に優れているためです。圧縮強度に優れていることから、重量のある設備を設置したり荷物を保管したりする工場の床に適していると言えます。
  • 引っ張り強度は弱い
    コンクリートは圧縮には強いものの、引っ張りに対しては弱くすぐに割れてしまいます。この引っ張り強度は低いという特性が、ひび割れが発生しやすい原因となっています。コンクリートのみでは引っ張り強度を上げることができないため、床に使用する際には鉄筋を入れて強度を上げています。
  • 摩耗しやすい
    コンクリートは摩耗しやすく、繰り返し表面をこすられることですり減っていきます。器具や工具などを引きずっただけでも表面が削れて傷ができます。また、人やフォークリフトがよく通る部分は摩耗していくため轍(わだち)ができる場合があります。
  • 酸で劣化する
    コンクリートは強アルカリ性で、酸性のものと反応します。そのため、酸性の液体が触れるとコンクリートは腐食が起こります。コンクリートは液体が染み込むため、腐食は内部まで進行します。
  • 油脂で腐食する
    動植物性の油脂は酸性になりやすく、これもコンクリートに対して腐食を起こす原因となります。油脂が触れることでコンクリートは侵食され凹凸ができます。

このように、コンクリートは圧縮強度があることから床の材質として適しているものの、ひび割れが発生しやすく酸や油脂による腐食が起こるという弱点もあります。

塗装によってコンクリートの弱点をカバー

コンクリートの床に塗装を施すことで、弱点を補うことができます。塗装によってコンクリートの床に、次のような効果を付加することが可能です。

  • 伸縮目地の補強
    コンクリート床のひび割れが起きるのは、ある部分が気温の変化や地震によって収縮することで引っ張られる力が発生し、該当箇所が引き裂かれるためです。こういった収縮を吸収するための対策として、鉄筋を入れたり伸縮目地を設けたりします。また、塗装は伸縮目地の補強にもなります。
  • ひび割れの露出防止
    塗装は塗膜を形成することで、コンクリートの表面をカバーします。この塗膜はコンクリートと比べて引っ張り強度があるため、コンクリートが少しひび割れても塗膜は破けません。多少のひび割れであれば塗装があることによって露出を防止できます。
  • 耐摩耗性
    コンクリート床に使用される塗装は、種類によってはコンクリートの4倍もの耐摩耗性を持たせることが可能です。そのため、床の摩耗を抑え寿命を延ばすことができます。
  • 耐薬品性
    耐薬品性が高い塗装もあり、床の腐食を防止することができます。薬品の取り扱いや食品加工を行う工場では床の寿命に大きく関わります。

工場床を塗装する6つのメリット

コンクリートの特性に塗装の効果を上乗せすることで、工場の床に求められる特性を持たせることができます。そういった特性により、次のようなメリットが生まれます。

コンクリートを保護して長寿命化

コンクリートは圧縮強度に優れているため、重量物を取り扱う工場の床に適しています。しかし、ひび割れしやすく、酸や油脂に弱い点が特徴です。

塗装をするとコンクリートの弱点をカバーでき、床を長持ちさせられます。そのため、コンクリートの長所である重量物の扱いやすさを存分に活かせるでしょう。

ラインの視認性がよくなる

コンクリートの色は基本的に、白またはグレーです。機器や道具の設置場所を表示したり、工場内のエリア分けやゾーニングをしたりする場合、よく使われる白いラインテープでは視認性に欠けます。

広い場所にラインが引かれていても、どこが何のためのエリアなのか直感的に判断するのは困難です。床を塗装することによって、ラインの視認性を高められます。異なる色で床の塗り分けをすることは、エリア分けの明確化にも繋がります。

生産性を高める工場のレイアウトを考える際には、ラインによるエリア分けも重要です。より詳しくは「工場の生産性を高めるレイアウトの種類とは?4つのレイアウトのポイントを解説」をご覧ください。

4Sや5Sの徹底が可能に

色の塗り分けやライン引きによって、機器や道具の置き場が明確になり整理・整頓の徹底につながります。また、床表面の平滑化によって清掃・清潔が遵守しやすいでしょう。

このように、塗装によって4S(整理・整頓・清掃・清潔)や5S(4S+しつけ)を徹底できる環境を整えることができます。

粉塵や汚れ付着の防止

床が滑らかになることにより粉塵の掃き掃除、油脂や水分などの液体の拭き取り掃除が容易になります。

床に粉塵や液体が残されないことで、製品への異物混入や汚れ付着防止になります。

安全性の確保・維持

ゾーニングによって設備や機器の設置場所、運搬機器の通行経路、人の通路、作業場所などが明確に分けられます。これにより、運搬機器と人の接触や、機械の可動範囲への侵入などを防ぐことが可能になります。

また、床を掃除しやすい状態にして粉塵や油脂で床が滑りやすくなるのを防ぐことも、作業者の安全を考えるうえで重要です。塗装自体でも滑り止め加工が可能です。

「見せる工場」化が可能に

床を塗装して綺麗にできると、見せる工場化を進められます。取引先が見学に来たときに、床が綺麗だと、好印象を与えるでしょう。床が汚れている状態では、製品の品質に対して疑問を抱かれる可能性もあります。

床の塗装によって品質基準を遵守していることを訴求でき、商談機会の損失防止につながります。工場のリフォームする際にも、床の塗装は必要です。工場リフォームに最適なタイミングもありますが、床の塗装が気になっているなら早めに塗装するのがおすすめと言えます。

より詳しくは「工場のリフォームに最適なタイミングとは?費用や業者選びのポイントも併せて解説をご覧ください。

工場の床に使用する塗料の種類

では、工場の床にはどのような塗料があるのでしょうか。工場の床に使われる主な塗装剤を大きく分けるとエポキシ樹脂・ウレタン樹脂・アクリル樹脂の3種類があります。

それぞれ次のような特徴があります。

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、コストに優れる塗料です。

ほかの塗料と比較して安価であっても耐摩耗性、耐衝撃性に優れ、薬品と油脂に対する耐性もあります。また帯電防止加工や耐熱加工も可能です。

ただし、耐久性や耐熱性において他の2種の塗料には劣ります。耐久性を補うため、工場に使用する場合は厚膜塗装をするのが一般的です。

ウレタン樹脂

エポキシ樹脂より高価で、耐熱性に優れる塗料です。また、耐久性、耐衝撃性、耐薬品性にも優れます。

弾性が高いためひび割れ露出を防止でき、重量物を長時間置いても塗装が傷みにくいのも特徴です。

ただし、塗装自体は耐久性が高い一方で密着性が弱いという注意点もあります。

アクリル樹脂

3種類のなかで最も高価な塗料で、そのコストに見合った耐久性があります。長寿命であるため、メンテナンスのスパンを延ばすこともできます。

また、1時間ほどで硬化するため施工が短時間で済むというのも大きな特徴です。稼働計画に大きな影響を与えずに施工でき、建物メンテナンスによる稼働停止を短時間にすることが可能です。

工場の床に使用する塗料の色

工場の塗床に使用される色としては、グリーンやグレーが標準色として利用されています。
特にやや明るめのグリーンは、深みのあるグリーンに比べ作業場が明るくなり、異物や汚れが目立ちやすいためよく採用されてます。

その他にも一つの空間を区分すために通路はベージュ、気を付ける場所には黄色や赤色など、一目で見分けることができるように、工場内の塗床との繋がりを意識した色分けを行なう方法もあります。

また、グリーンやグレーの標準色は目に優しく、心をリラックスさせる効果もあるため、快適な職場環境を作る助けにもなります。

工場のラインテープに使われる色とその意味

工場の床に使用されるラインテープの色にも意味があります。

工場のラインテープに適している色は、次の3色です。

  • 赤色
  • 黄色
  • 緑色

これらの色は、JISが指定する安全色とされています。JISとは、日本の国家規格を意味し、JIS規格には、全国的に規格を標準化することで利便性や効率を統一、もしくは単純化させる目的があります。

JIS安全色についても、同様のことが言えるのです。

赤色|禁止・停止・防火を促すときに使われる

赤色は、禁止や停止を促すときに使われます。立ち入り禁止区域や、工場内で動く車両の停止位置などに引くラインテープの色として適しているでしょう。

また、防火設備が付近にある場合にも、赤色のラインテープが引かれているのが一般的です。普段から防火設備の位置を確認しやすくしておくと、万が一火災が発生したときに速やかに対処できるでしょう。

黄色|警告・明示を意味する

黄色には、警告や明示の意味があります。例えば、高圧電線や急勾配、段差が付近にある箇所では、黄色の警告標識が使用されるのが一般的です。工場内でも、フォークリフトなどの重機が頻繁に通行する場所で警告を知らせるときには、黄色のラインテープを利用するべきでしょう。

なお、黄色と黒を組み合わせている「トラテープ」も、警告を知らせるときに適している色の一つです。事故の危険性が特に高い箇所では、トラテープで注意を促すとよいでしょう。

緑色|安全を意味する標準色

緑色は、工場の床に使われる標準的な色ですが、ラインテープでも使用されます。

安全状態・進行・衛生などの意味を持ちます。

工場床を塗装するときに注意するべき5つのポイント

工場の床を塗装する際には、次の5つのポイントに注意しましょう。

  • 費用を確認する
  • 工期を確認する
  • 下地処理は必ず行う
  • 塗料は工場で扱う製品に適しているか確認する
  • 補修工事を見据えて業者を選ぶ

工場床を塗装するには、費用や時間が必要です。塗装する範囲にもよりますが、これらの5つのポイントは押さえておくと良いでしょう。床の塗装で失敗したくない方は、参考にしてみてください。

費用を確認する

工場床の塗装は、どの塗料を採用するか、どれくらいの範囲を塗装するかによって費用は異なります。なお、塗料の単価は平米あたり1,500円〜です。

床塗装の単価を左右する要素は、塗料の種類と施工する塗料の厚みの2点です。一般的には、塗料の厚みが倍になれば、単価も倍になるといわれています。業者へ依頼するときには必ず見積もりを取って、予算と照らし合わせましょう。

工期を確認する

床塗装の工期は下地処理の方法や塗装の工法、面積によって変わります。施工範囲内は塗装が乾くまで基本的に立ち入り禁止です。

短時間しか工場をストップできない、部分的にしか営業を止められないなどの場合は、工期を確認したうえでスケジュールを組みましょう。工場の塗床工事の工期の目安としては、50平米~100平米で1日~3日程度といわれています。

下地処理は必ず行う

工場の床の塗装をする際、古い塗装があればすべて剥がし、洗浄やコンクリートの補修など下地処理を行ってから塗装します。

下地処理が不十分だと、すぐに剥がれてしまったり、凹凸や段差が浮き出てしまったりするかもしれません。下地処理の重要性を理解したうえで、塗装施工の準備を進めましょう。

塗料は工場で扱う製品に適しているか確認する

床を塗装するときには、工場で扱う製品に適した塗料を選定することが大切です。

食品加工では、耐熱性や耐水性の塗料がおすすめです。可燃性の物を扱うなら、絶縁性を使用しましょう。また、薬品を扱うなら耐薬品性などを重視する必要があります。どの塗料が自社の工場に適しているのか、施工業者と相談して決めるのがおすすめです。

補修工事を見据えて業者を選ぶ

床を塗装してから長期間経過すると、床塗装の剥がれや摩耗が目立ってきたり、別の色に変える必要性が出てくることも考えられます。補修工事が必要になり場合もありますので、長い目で業者を選ぶと良いでしょう。

なお、補修工事は新規より工程が複雑で、適切な処理が求められます。工場の施工に関するノウハウを持ち、安心して任せられる施工会社を選びましょう。

工場の床の塗装は実績のある業者に

工場の床を塗装することで、工場の長寿命化や人の安全性の確保、作業性の向上が可能になります。また、顧客や就職希望者による工場見学の際にも好印象となり、商談機会の損失防止、新規就労者の確保にもつながるなど、多くのメリットがあるでしょう。

その一方で、床塗装の施工が良くないと塗装自体が清潔感を下げてしまったり、滑らかさの差によって安全性を下げてしまったりといったことにつながることもあります。また、適切な施工がされなければすぐに塗装が劣化してしまうことも考えられるでしょう。工場の床の塗装は、実績のある業者を見定めて依頼することをおすすめします。

三陽建設では、工場の床の塗装について豊富な実績があります。
また細かいところまでこだわる技術を駆使し、お客様からの要望にも幅広く対応しています。
工場の床の塗装・改修工事をご検討の際にはお気軽にお問合せください。

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