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HACCPの義務化はいつから?必要な準備・認証のメリット・注意点を解説
更新日 : 2024/03/05HACCPは2020年(令和3年)6月1日より完全成功され、すべての食品等事業者が衛生管理を求められるようになりました。
よって、HACCPを遵守しない事業者は、営業許可証の更新ができないなどのデメリットがあるため注意が必要です。
本記事では、HACCPとはどのような制度なのかとともに認証取得の流れも合わせて解説します。HACCP導入の義務化がいつからなのかでお悩みの担当者の方はぜひ参考になさってください。
Contents
HACCPとは
HACCP認証とは別に、HACCPに沿った衛生管理は法的に制度化されています。
次の項目からは、概要と義務化の期日を詳しく解説します。
HACCPの概要
HACCPは、食品の製造・加工、調理、販売などに関する衛生管理の手法です。
「危害を分析して把握し、重要な工程を管理して記録する」という基本にのっとり、食品製造の安全を維持することを目的としています。
HACCPの詳しい内容について「HACCP(ハサップ)とは-義務化された新しい衛生管理手法の意味と導入手順を解説」をご覧ください。
HACCPの義務化はいつから?対象範囲はすべての食品等事業者
HACCPの導入および運用は、2020年6月(令和3年)から完全義務化されています。
制度化されたHACCPは、原則としてすべての食品等事業者が対象です。
大規模事業者、と畜場、食鳥処理場は「HACCPに基づく衛生管理」、小規模な営業者等は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の実施が義務付けられています。
このなかで「小規模な営業者」とは、例えば、店舗において食品を製造し小売販売する菓子店や豆腐店、飲食店や喫茶店、パン製造業(消費期限がおおむね5日程度のもの)などのことを指します。
制度義務化の内容が分かれる大規模事業者と小規模な営業者等については、厚生労働省がまとめた資料に詳しく記載されています。
HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化(PDF)|厚生労働省
HACCPの導入・実施とHACCP認証取得の違い
では、義務化されたHACCPを導入・実施することと、HACCPの認証を取得することとはどのように違うのでしょうか。次の項目からは、HACCPを導入・実施とHACCP認証取得の違いについて、詳しく解説します。
HACCPの導入・実施・認証の定義
HACCPを導入すること、実施すること、そしてHACCPの認証を取得すること、この3つはそれぞれ意味が異なります。
HACCPの導入・実施・認証の定義は、以下の通りです。
HACCPの導入
衛生管理の手法としてHACCPを導入することは、制度によって義務化されています。そのため、基本的にすべての食品等事業者がHACCPに基づいた衛生管理を行わなければなりません。
導入に関しては、これまでの衛生管理手法を変えることになるため明確な意思決定が必要です。経営層からトップダウンの実行が効果的となります。
HACCPの実施
HACCPの実施とは、HACCPに基づいた衛生管理手法を行うことです。衛生管理のルールを導入していても、実施されていなければ意味をなさないため、確実な実施ができる体制を整える必要があります。
実施に関しては、実際に衛生管理を行う現場作業者が意識を持って取り組まなければなりません。そのため現場との協力を積極的に図りましょう。
HACCPの認証
HACCPの認証とは、HACCPの導入・実施が適切に行われているか第三者機関による審査を受け、認められた仕組みのことを言います。
HACCP認証は、客観的に見てHACCPへの取り組みが効力ある形で実行されているかを判断する指標となります。
認証取得のためには、取得に向けた経営層または部門トップからの指示と、現場作業者の徹底した取り組みをあわせて進めなければなりません。経営層と現場を含めた全社的または関係部門全体での取り組みが必要となります。
HACCP導入と認証のメリット
HACCP導入のメリットは、生産効率の向上や不具合発生時の対応の迅速化などです。
これらはHACCPが義務化された理由であり、基礎的なHACCPの効果を表すものでもあります。
HACCPの導入は原則としてすべての食品等事業者に義務付けられているため、「HACCPを実施している」ことは企業の特別なPRポイントとはなりません。
一方、HACCPの認証を受ける場合には、また別のメリットが期待できます。HACCP認証では以下のようなメリットが期待できます。
- 第三者機関による客観的な認証を得ることで、取引先からの信頼度と顧客ロイヤルティが向上する
- HACCP認証を取引条件としている企業との商談機会を獲得できる
- 特定のHACCP認証取得がなければ流通が許可されない国との輸出取引が可能になる
- 第三者機関による審査によって自社内では発見できなかった課題が明確化される
- より高い意識を持って衛生管理に取り組む体制ができる
HACCP認証は、より確実なHACCPの実施と高いレベルでの衛生管理が実行されていることの証明となります。企業への信頼度が高まるだけでなく、社内においても衛生管理に対する意識改革に有効で、衛生管理の質を高め、順守していくためのサイクル構築につながります。
HACCP認証取得の一般的な流れ
HACCP認証はさまざまな機関や団体から発行されており、その発行元によってHACCP認証を取得するための手順や具体的な準備は異なります。ただし、取得に向けた準備について大まかな流れはある程度定型化できます。
一般的な取得の流れは次のとおりです。
- HACCPの運用システムを再整備
- 認証取得に向けた準備
- 審査
- 改善措置と再審査
- 更新審査
次の項目からは、HACCP認証取得の一般的な流れを解説します。
HACCPの運用システムを再整備
認証取得の準備として、すでに導入されているHACCPの運用システムについて、課題の明確化やさらに高いレベルでの実施を目標とすることなどを含め、再整備を進めます。
再整備のプロセスとしては、次のような作業が挙げられます。
- 経営層による基本方針決定
- HACCP認証取得プロジェクトチーム発足
- 基本計画の作成
- 取得に向けたフローとタイムスケジュール作成
- HA(危険要因分析)とCCP(重要管理点)の見直し、標準化、改善
- 不足しているルールの明確化と手順書整備
- 改善したHACCPシステムの仮運用と再確認
新たに工場を建設してHACCP認証を目指すのであれば、高度なHACCPに対応する工場を設計施工することでより高いレベルでの衛生管理維持に適した環境構築が可能になります。
HACCPに適した工場については「HACCPに対応した工場建設のポイントとは_7原則と3つの視点を解説」をご覧ください。
認証取得に向けた準備
認証取得に向けて、必要であれば専門のコンサルティング会社への支援を依頼します。また、審査機関への相談と申し込みもする必要があります。
製品安全データシート(MSDS)のような必要書類の整備も、運用システムの再整備と並行して進めます。
審査
認証を発行する機関や団体によっては数回の審査があります。
必要な書類やマニュアル、ルールの明確化などが確実になっているかの審査および、実際にそれらが順守されているかの作業状況審査が行われるのが一般的です。
改善措置と再審査
審査結果により改善すべき点が指摘された場合、それに対する措置を講じ、再審査を受けます。
適切な措置が取られていると認められ、審査を通過すれば、登録準備に入ります。
更新審査
認証を発行する機関や団体によっては、数年ごとの定期的な更新審査があります。
前回審査からHACCPの質が低下していないか、法改正によって新たに追加・改定されたルールに即しているかなどについての審査を受けます。
HACCP認証機関の種類ごとの必要費用の相場
HACCP認証は発行する機関によってさまざまな種類があります。また、認証を発行している機関は大きく分けて3つに分類されます。
地方自治体のHACCP認証は比較的低価格
地方自治体が実施するHACCP認証で、地域HACCPとも呼ばれています。
自治体主催のため比較的低価格なこともあり、中小企業も取得しやすいのが特徴ですが、対象はその管轄地域に限られます。
例として次のような地域HACCPがあります。
- 北海道HACCP自主衛生管理認証制度
- 大阪版食の安全安心認証制度
- 熊本市食品自主衛生管理評価事業
食品衛生法改正によってHACCPの自主管理が義務となったことから、「HACCPに取り組んでいることを評価する」必要性が相対的に低下したと判断している自治体も少なくありません。そのため、認証制度の廃止または新規受付停止をしている自治体も多いため、現状でも認証制度があるのか、いつまで制度が続く見込みかといった確認が必要です。詳しくは各地方自治体までお問い合わせください。
業界団体のHACCP認証は11~16.5万円程度
各業界団体行っているHACCP認証です。
特定の業界に特化しているため専門性が高く、一般的にその業界内では高い効力があります。ただし、それぞれの業界や業種、または特定の食品分野に適用範囲は限定されます。
例えば、次のような団体でHACCP認証を行っています。
- 日本食品認定機構(水産食品加工施設HACCP認定制度)
- 日本冷凍食品協会(冷凍食品認定制度)
- 日本卵業協会(GPセンターHACCP認証制度)
このほかにも数多くの業界団体が認証制度を設けています。
費用の例としては、水産食品加工施設HACCP認定では取得時に16.5~22万円、継続審査に11~16.5万円となっています。
民間審査機関のHACCP認証は高価な傾向
民間審査機関が行っているHACCP認証です。
HACCP義務化が盛り込まれた改正食品衛生法の制定前は衛生管理に関する認証が少なく、多くの企業が民間HACCPを取得していました。
通称「マル総」と呼ばれる総合衛生管理製造過程認証制度の衛生基準が非常に厳しく、取得できない企業や取得基準に適していない業種が多かったため、民間HACCPの取得が進んだという背景もあります。
例として次のような認証があります。
- ISO22000
- SGSHACCP
- 総合衛生管理HACCP認証
民間HACCPには、マネジメントについての指導や研修をセットで受けられるものもあります。認証を行っている団体によって認証方法やセット内容が異なり、費用も大きく異なるため、コストに見合うメリットを得られるかを十分に検討する必要があります。
HACCPの義務化は2020年からで環境の整備が必要
HACCPに基づいた衛生管理は原則としてすべての食品等事業者に義務付けられていますが、HACCP認証は独自で取得するもので、義務ではありません。しかし、企業の信頼や商談機会の獲得といったメリットが期待でき、取得によって企業としての価値を高めることが可能です。ただし、「さらに高いレベルでのHACCP」を実施していることの証明でもあるため、法令で定められた基準よりさらに厳格に企業独自の基準を設定し、順守する必要があります。
HACCP認証を受けるには、施設そのものがHACCPに適した造りになっていることが重要です。HACCP認証の審査を通過するには、HACCPの基準に沿った施設でなければなりません。
三陽建設ではHACCPに対応した衛生管理施設やクリーンルーム、工場の施工を行っています。豊富な実績に基づいた、高い技術力でお客様の希望に沿った提案が可能です。HACCPに適した工場の建設・改修をお考えの際には、ぜひ三陽建設にご相談ください。
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