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HACCPの具体例とは?導入方法や取り組み方を解説

更新日 : 2023/10/04
HACCPの具体例とは?導入方法や取り組み方を解説

HACCPは、原則としてすべての食品等事業者に義務化されている衛生管理手法です。HACCPに取り組むに当たっては、どのような区分があり、それぞれでどういった取り組み方をすることが定められているのでしょうか。HACCPへの取り組み方についての2つの区分の基準と、それぞれの具体的な取り組み方の事例をご紹介します。

HACCP導入の2つの区分とそれぞれの基準

厚生労働省によると、HACCPに沿った衛生管理を導入するにあたり、事業者によって取り組み方の基準は大きく2つに分けられています。

  • 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取り組み
    (HACCPに基づく衛生管理)
  • 取り扱う食品の特性等に応じた取り組み
    (HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)
テキスト, 手紙

自動的に生成された説明

(引用:HACCPに沿った衛生管理の制度化について|厚生労働省

この2つの区分は、衛生管理にHACCPを取り入れることは共通していますが、アプローチが多少異なります。

この分類と内容をそれぞれ見ていきましょう。

「HACCPに基づく衛生管理」の基準

2つの区分のうち、「HACCPに基づく衛生管理」を行うこととされている事業者についての、基準や取り組みの内容は以下のとおりです。

適用対象

「HACCPに基づく衛生管理」の適用対象は次の事業者です。

  • 大規模事業者
  • と畜場[と畜場設置者、と畜場管理者、と畜業者]
  • 食鳥処理場[食鳥処理業者(認定小規模食鳥処理業者を除く。)]

大規模事業者とは、食品等の取扱いに従事する者の数が50名以上の事業者のことを言います。

取り組みの内容

取り組みの内容は次のように設定されています。

“コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う。”

(引用:HACCPに基づく衛生管理|厚生労働省

コーデックスのHACCP7原則については「HACCP(ハサップ)とは-義務化された新しい衛生管理手法の意味と導入手順を解説」で解説していますのでご覧ください。

この取り組みを進めるうえで、営業者が実施することとして次の内容が示されています。

  • 「一般的な衛生管理」及び「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る
  • 必要に応じて、清掃・洗浄・消毒や食品の取扱い等について具体的な方法を定めた手順書を作成する
  • 衛生管理の実施状況を記録し、保存する
  • 衛生管理計画及び手順書の効果を定期的に(及び工程に変更が生じた際等に)検証し(振り返り)、必要に応じて内容を見直す

(引用:HACCPに基づく衛生管理|厚生労働省

的確な衛生管理計画の策定と周知を行うことで、HACCPの7原則に沿った衛生管理が徹底されます。

なお、と畜場と食鳥処理場では分析するべき危害要因の内容が異なるため、それぞれの危害要因分析表が準備されています。

と畜場における危害要因分析について(牛・豚と畜)(PDF)|厚生労働省

大規模食鳥処理場における危害要因分析について(PDF)|厚生労働省

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の基準

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行うこととされている事業者についての、基準や取り組みの内容は以下のとおりです。

適用対象

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の適用対象は次の事業者です。

小規模な営業者等

小規模な営業者等とは、次のように示されています。

  • 食品を製造し、又は加工する営業者であって、食品を製造し、又は加工する施設に併設され、又は隣接した店舗においてその施設で製造し、又は加工した食品の全部又は大部分を小売販売するもの
    (例:菓子の製造販売、豆腐の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売 等)
  • 飲食店営業又は喫茶店営業を行う者その他の食品を調理する営業者
    (そうざい製造業、パン製造業(消費期限が概ね 5日程度のもの)、学校・病院等の営業以外の集団給食施設、調理機能を有する自動販売機を含む)
  • 容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品のみを貯蔵し、運搬し、又は販売する営業者
  • 食品を分割して容器包装に入れ、又は容器包装で包み小売販売する営業者
    (例:八百屋、米屋、コーヒーの量り売り 等)
  • 食品を製造し、加工し、貯蔵し、販売し、又は処理する営業を行う者のうち、食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場
    (事務職員等の食品の取扱いに直接従事しない者はカウントしない)

(引用:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理|厚生労働省

取り組みの内容

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」では次のような取り組みを行います。

“各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う。”

(引用:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理|厚生労働省

ここでは「簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う」とされていますが、大枠での取組内容は「HACCPに基づく衛生管理」の取り組みと大きく違いはありません。

基本的に衛生管理計画を立て、計画を実施し、確認と記録を行うという流れです。

小規模な営業者が参考にする業界団体が作成した手引書は、こちらにまとめられています。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書|厚生労働省

飲食店向けの手引きはこのなかに概要版と詳細版が準備されていますが、このほかに厚生労働省のまとめた飲食店向けの手引きもあります。

HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き[飲食店編](PDF)|厚生労働省

小規模な営業者はこれらの手引書を参考に、以下の内容を実施することでHACCPに沿った衛生管理が行われていると見なされます。

  • 手引書の解説を読み、自分の業種・業態では、何が危害要因となるかを理解し、
  • 手引書のひな形を利用して、衛生管理計画と(必要に応じて)手順書を準備し、
  • その内容を従業員に周知し、
  • 手引書の記録様式を利用して、衛生管理の実施状況を記録し、
  • 手引書で推奨された期間、記録を保存し、
  • 記録等を定期的に振り返り、必要に応じて衛生管理計画や手順書の内容を見直す

(引用:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理|厚生労働省

HACCPの取り組みの具体例

実際の食品製造の現場では、どのようにHACCPに取り組んでいるのでしょうか。

具体的な事例を通して取り組みの内容を見てみましょう。

大規模事業者:ウインナーソーセージのHACCP取り組み事例

大規模事業者は基本的に「HACCPに基づく衛生管理」を行います。

これはHACCPの7原則に沿って進められますが、このとき、原則1の危害要因の分析、原則2のCCP(重要管理点)の決定が適切でなければ、衛生管理が適切に機能しません。そのため、危害要因の分析とCCPの洗い出しには重点的に取り組む必要があります。

ここでは、厚生労働省の資料「食品製造におけるHACCPによる衛生管理普及のためのHACCPモデル例」を参考に、ウインナーソーセージの加工を行う大規模事業者の例を考えます。

危害要因とCCPの洗い出しは次のような手順で行うことで適切に分かりやすく実行できます。

  1. 原材料と工程を書き出す
    (例:豚肉、豚脂肪 受入)
  2. 原材料と各工程に関係のある潜在的な危害要因を書き出す
    (例:サルモネラ属菌 黄色ブドウ球菌 抗生物質・合成抗菌剤の残留)
  3. 書き出した危害要因が重要かどうかを判断しYes(○)かNo(✕)を記入し、その根拠も記入
    (例:原料肉に存在している可能性がある)
  4. 3でYes(○)と記入した危害要因に対する管理手段を記入
    (例:のちの加熱工程No.〇〇で殺菌する)
  5. その危害要因の管理手段が以降の工程の中で行われない場合、重要管理点(CCP)として決定する

このような手順で危害要因リストを作ることで、原則1と原則2についての適切な実行が可能になります。

小規模営業者:飲食店のHACCP取り組み事例

飲食店におけるHACCP実施では、衛生管理計画を策定するにあたり一般的に行う衛生管理、調理方法ごとの重要な管理に分けて考えることで、適切な計画作成が容易になります。

  • 一般的な衛生管理(どの食品についても行うべき共通の管理)
  • 重要管理(食品の調理方法にあわせて行うべき管理)

「一般的衛生管理」のポイントには、原材料の受入の確認、冷蔵・冷凍庫の温度確認、器具の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄消毒、衛生的な手洗い実施などが含まれます。

これらの管理ポイントに対し、「いつ・どのように」行うか定め、「問題があったとき」どのような対策をとるかも決めておきます。

「重要管理」のポイントについては、「非加熱のもの」、「加熱するもの」、「加熱後冷却し再加熱するもの」など、調理方法の違いによってグループ分けを行い、それぞれにチェック方法を定めます。

このように、「一般衛生管理」と「重要管理」のそれぞれを切り分けて対策を定めておくことで、危害要因を洗い出し、重要管理点を抽出できます。

HACCPの取り組みは業態・業種に合わせて的確に

HACCPへの取り組み方に関しては、業態によって大きく2つに分かれています。具体的な取り組み方については、業種ごとに手引きが準備されているため、それらを参考に進めることが可能です。これにより、HACCPへの取り組みが初めての方でも食品の衛生管理を徹底でき、商品の安全性を向上させることが可能になります。

また、HACCPによる衛生管理は食品等事業者の義務ですが、この衛生管理手法を実施するにあたっては、工場や店舗などの建物の設計や構造によっても作業効率が左右されます。HACCPに沿った衛生管理を確実に行いながら作業効率も維持するためには、HACCPへの対応を考慮した工場を建設することが重要です。

三陽建設はHACCPに対応した建物の施工について豊富な実績があり、衛生管理施設やクリーンルームなどにおいて高い品質と技術力を提供しています。HACCPへの取り組みをより強化したいとお考えの際には、ぜひ三陽建設にご相談ください。

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