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化粧品GMPとは?基礎知識や認証を取得するメリット、取得方法を解説

更新日 : 2023/10/04
化粧品GMPとは?基礎知識や認証を取得するメリット、取得方法を解説

適正製造基準(規範)(Good Manufacturing Practice)の略称であるGMP。化粧品GMP(ISO22716)は、医薬品の製造基準として設けられたGMPをもとに作成されました。ただし化粧品GMPは法律ではないため、必ず準拠しなければならないわけではありません。しかし、業界の自主基準として採用されていることから、顧客の安全性を確保するうえでも認証の取得は必須と言えるでしょう。そこで、今回は化粧品GMPについて、その概要から、採用された背景、認証を取得するメリット、取得方法などをお伝えします。化粧品の製造・管理に携わる方は、ぜひ参考にしてください。

化粧品GMPとは?

化粧品製造の品質・安全性に関する基準を示す化粧品GMP(ISO22716)は、日本化粧品工業連合会が2008年4月に業界自主基準として採用しています。

化粧品の国際間での輸出入が増えたことで、化粧品の品質や安全性の確保などの基準を国際的に統一しようという動きがあったことから、ISO(国際標準化機構)が2007年に発行したのがISO22716です。具体的には、製造管理と品質管理の規則を定めたもので、日本では、化粧品および医薬部外品(新指定・新範囲医薬部外品等以外の限りなく化粧品に近いもの)が対象になっています。また、化粧品以外で対象として挙げられるのは、口中清涼剤、殺虫剤(忌避剤を除く)、衛生用綿類などです。

また、化粧品GMPの適用範囲は、「化粧品の生産管理・保管および出荷」に限定されています。従業員の労働安全や環境保護のほか、研究開発、最終製品の営業、物流などは適用外です。

なお、GMPについて詳しくは、「GMPとは?―GMPの意味やGMP省令の改正点などについても解説」をご覧ください。

化粧品GMPが求められる背景

化粧品GMPが求められる背景には、前述した化粧品の国際化による品質や安全の確保以外に、市場回収にかかるコストの削減が考えられます。

製品の販売を開始したあとに何かしらの問題が発生した場合、すべての製品を回収しなければなりません。一旦販売を開始した製品を回収すると、顧客からの信頼性を失うだけではなく、大きな手間とコストもかかります。

化粧品GMPを順守すれば市場回収のリスク低減につながり、結果として新製品の研究開発にコストをかけ、国際競争へ集中することも可能です。海外でもISO22716への対応を実施する国は多く、そのなかで生き残っていくためには、日本でもISO22716への準拠が必須であったと考えられます。

化粧品GMPの要求事項

化粧品GMPには次に挙げる17の要求事項があります。

  1. 適用範囲
  2. 化粧品GMPガイドラインで使用される用語およびその定義
  3. 従業員(組織図や従業員数、経営者・従業員の責任範囲などについて)
  4. 構造設備(製品を製造する施設の構造設備配置、設計、建設、利用について)
  5. 機器(製品を製造する機器の設計、保守などについて)
  6. 原材料および包装材料(製品の原材料や包装材料の購入・出庫・保管などについて)
  7. 生産(製造作業に関する措置について)
  8. 最終製品(完成した製品の出荷・保管などについて)
  9. 品質管理試験室(製品の品質を管理するための試験方法や判定基準などについて)
  10. 規格外品の処理(不合格となった最終製品の調査・破棄・再加工などについて)
  11. 廃棄物(廃棄物の処分方法について)
  12. 委託(製造、包装、分析、構造設備の清掃・消毒、防虫対策、機器および構造設備の保守の委託をする場合について)
  13. 逸脱(所定の要件から逸脱する場合の処理、逸脱の再発防止について)
  14. 苦情および回収(製品に関する苦情や製品の回収について)
  15. 変更管理(製品の品質に影響をおよぼす変更を行う場合について)
  16. 内部監査(内部監査を行う際の取り組み方法や追跡調査について)
  17. 文書化(組織構造や製品の種類に関連する文書化について)

化粧品GMPの認証を取得するメリット

化粧品GMPの認証を取得することで期待できる主なメリットは次のとおりです。

取引先や利害関係者から信頼を得られる

化粧品GMPの認証を取得しているということは、徹底した製造・品質・衛生管理がなされ、品質が担保されていることの証明です。そのため、取引先、小売業者、輸出入業者などの利害関係者から信頼を得られるようになります。

市場回収やクレームが低減する

化粧品GMPのもとになっているGMPの三原則のひとつに、「人為的な誤りを最小限にすること」があり、化粧品GMPの認証を取得するには、人為的な誤りを抑えるための対策が欠かせません。そのため、化粧品GMPを順守することで人為的誤りが減り、製品品質が安定します。その結果、市場回収やクレームの低減が実現しやすくなり、対応の手間やコストの削減も可能になります。

顧客満足度が向上する

化粧品GMPの順守は、取引先や小売業者だけではなく、顧客からの信頼獲得にもつながります。また、高い品質維持、安全性の確保がなされ、市場回収が減ればさらに信頼感は高まり、顧客満足度向上が期待できるようになるでしょう。

製造プロセスの効率化が実現できる

化粧品GMPでは、完成した商品の管理だけではなく、製造時における作業工程の管理も徹底しなければなりません。作業工程の管理を行うには、無駄な業務の見直し・改善も必須となるため、結果として作業全体の効率化が可能になります。

法定点検の手間を削減できる

化粧品を製造する工場では、種類や設備によって異なるものの、保健機関による消防設備点検や電気設備点検などの法定点検を受けなければなりません。化粧品GMP認証を取得していないと、場合によっては点検不足で改善命令を受けてしまう可能性もあるため、事前に大がかりな自主点検を行う必要があります。化粧品GMP認証を取得している工場であれば、常に設備の管理が徹底しているため、法定点検がある際も大がかりな点検をして準備をする必要ありません。

海外進出がしやすくなる

アメリカやカナダ、EU諸国など、海外の多くの国でもISO22716に対応しているため、同じ基準で製造を行っていれば、あらためて海外基準に合わせた商品の製造をする必要がなく、海外進出もしやすくなります。

化粧品GMPの認証取得方法

実際に化粧品GMPの認証を取得するための方法について紹介します。

化粧品GMPは国が定めた法律ではないため、認証についても国単位で登録されている認証機関はなく、いくつかの認証機関が自主的に実施しています。これをプライベート認証といい、主な認証機関は、一般社団法人 日本能率協会審査登録センターやLRQAリミテッド、テュフズードジャパンなどです。

認証を取得するには、まず化粧品GMPの概念や規格の理解、ギャップ分析、文書作成などを進め、任意の認証機関に申請を行い、その後、何度か審査を経て問題がなければ認証を受けられます。準備から申請、認証までには1年から1年半程度かかるのが一般的です。

GMPに対応した工場を建てるには、実績が豊富な業者の選定が重要

化粧品GMPとは、化粧品製造の規格、ルール、認証のことです。義務化はされていませんが、化粧品GMPの認証取得は、化粧品製造を行う企業が取引先や顧客に品質の維持・安定性の確保を徹底していることの証明であり、海外進出するにも欠かせないものと言えるでしょう。そのため、まだ認証を得ていない場合は、早急に準備を整え申請することをおすすめします。

化粧品GMPの認証取得にはさまざまな準備が必要ですが、そのなかでも重要なポイントとなるのが製造工場です。製造工場の構造や設備、機器、工程作業、製造、出荷などについては細かい要求があり、これに対応した工場を建設することで化粧品GMP認証の取得もしやすくなります。

三陽建設では、GMPに対応した工場の豊富な施工実績を持ち、安心安全な工場の建設を可能にします。化粧品製造工場の建設を検討している際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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