倉庫
化粧品の保管をする倉庫に必要な化粧品製造業許可を取得するには
更新日 : 2023/10/04化粧品を倉庫で保管する場合、法律で定められた許可を取得していなければ、保管することができません。保管するためには「化粧品製造許可」という許可が必要です。それでは、化粧品の保管に必要な化粧品製造業許可とはどのような条件を満たすことで受けることができるのか、関連する法令と合わせて要件や流れを解説します。
Contents
化粧品の保管に必要な許可とは
化粧品を倉庫で保管する場合、「化粧品製造業許可」が必要です。
化粧品製造業許可とはどのようなものなのか、なぜ必要なのか見ていきましょう。
化粧品の定義と関連法令
化粧品の製造や販売、流通などについては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」によって定められています。
この中で、化粧品は次のように定義されています。
“この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。”
(出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第一章 総則 第二条 第3項|e-GOV法令検索)
ここで定義される化粧品とは、化粧水や香水、ファンデーションや口紅など一般的に化粧品として認知されているものだけではありません。石けん、シャンプー、歯磨き粉なども、薬機法上では化粧品に含まれます。
化粧品の製造業とは
化粧品の製造業については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」において詳しく定義されています。
「第二十五条 製造業の許可の区分」において「化粧品の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの」という定義があり、保管のみを行う場合も化粧品の製造業に該当します。
倉庫で化粧品を取り扱うには化粧品製造業許可が必要
薬機法第十三条において、化粧品の製造(包装・表示・保管を含む)を業として行うためには、化粧品製造業許可を受けなければならないとされています。
化粧品製造業許可は以下の2種類です。
- 化粧品の製造工程の全部又は一部を行うもの(1号区分)
- 化粧品の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの(2号区分)
化粧品の保管を請け負う営業倉庫には、2号区分の化粧品製造業許可が必要となります。
なお、1号区分の製造を行う場合は、GMP省令に適合している必要もあります。
GMPについては「GMPとは?―GMPの意味やGMP省令の改正点などについても解説」でより詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
化粧品製造業許可の要件
化粧品製造業の許可を受けるためには、人に関する要件と設備に関する要件を満たす必要があります。
必要となるのは以下の3項目です。
責任技術者の配置
化粧品の保管のみを行う製造所では、法律で次の要件を満たす責任技術者を配置しなければならないと定められています。
責任技術者は基本的に以下に挙げる4つの条件のいずれかを満たす必要があります。
1. 薬剤師
2. 高校以上の教育課程で薬学または化学の専門課程を修了した者
3. 高校以上の教育課程で薬学または化学の専門課程を修得したあと、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造に関する実務経験が3年以上ある者
4. 厚生労働大臣が1~3にあげるものと同等以上の知識経験を有すると認めた者
(出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第九十一条の二|e-GOV法令検索)
申請者の欠格事由
また、製造業許可を受けようとする申請者についても、欠格事由(許可を受ける資格がない事柄)が決められています。
例えば、規定によって許可や登録の取り消しを受けたあと3年を経過していない者は申請できないとされています。また、禁錮以上の刑に処せられたことがある場合や、薬事に関する法令に違反したことがある場合、その後規定に定められた期間を経ていなければ欠格事由となる場合があります。
(出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第五条)
設備の適合基準
化粧品製造業許可を受けるためには、設備に関しての基準もあります。
設備の適合基準は薬局等構造設備規則にて定められていて、必要な設備や器具を備えていることや、清潔で衛生的であることなどが記載されています。
また、作業をするために支障のない面積があり、製品や資材についての試験検査に必要な設備や器具を備えていることも必要です。
(出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号) 第十三条第5項)
(出典:薬局等構造設備規則 第十三条|e-GOV法令検索)
(出典:薬局等構造設備規則 第十三条の二|e-GOV法令検索)
(出典:薬局等構造設備規則 第十条|e-GOV法令検索)
ただし、上記は1号区分に関しての定めです。
保管のみを行う場合は2号区分となるため、具体的な装置や機能についての規定はありません。
化粧品製造業許可の流れ
化粧品製造業の許可権者は都道府県知事となっており、申請は都道府県に対して行います。
一般的には次のような流れとなります。
1.事前相談
2.手順書作成 (※)
3.審査(※)
4.業者コード登録
5.許可申請
6.立入調査
7.許可取得
※この流れの中で2と3はGMPに基づいた手順となるため、包装・表示・保管のみを行う2号区分の化粧品製造業許可では不要な場合もあります。
都道府県ごとに必要書類や許可の流れが異なるため、都道府県の担当部署に確認が必要です。
化粧品を保管する際の注意するべきポイント
化粧品製造許可を受けたとしても、実際に保管の依頼を受託できるかは別の問題です。法的には定められていないことでも、荷主が安心して保管を任せられる条件を整える必要があります。
化粧品を保管する倉庫には、許可を得るための人的要件・設備要件を満たすほか、次のような条件も求められます。
温度管理
化粧品は高温での保管は不可とされることが少なくありません。そのため、空調による一定範囲内の温度管理ができる環境が必要です。
また、日光により変質する化粧品もあるため、直射日光が当たらないようにする必要もあります。
ロット・消費期限・先入れ先出しの管理
薬機法により、化粧品の容器には製造番号または製造記号を記載することが定められています。
この製造番号に沿って、消費期限を順守し先入れ先出しの管理を行わなければなりません。
こういった管理ができる仕組みやシステムが整備されている必要があります。
化粧品の保管を行うためには人・設備を整え許可取得が必要
倉庫で化粧品の保管を行うためには、化粧品製造業許可が必要となります。この許可を取得するためには、一定の条件に該当する人のみが就くことのできる責任技術者の配置と、衛生や安全のための設備を備えていることが条件となります。そのため化粧品保管を行う前に、法律に基づいた入念な設備や環境づくりが必要です。化粧品を保管する倉庫建設については、専門の業者に依頼することでスムーズな許可取得に繋がるでしょう。
三陽建設では化粧品製造業許可に対応した倉庫について豊富な施工実績があり、高い品質や技術力を提供しています。化粧品保管への取り組みをお考えの際には、ぜひ三陽建設にご相談ください。
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