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倉庫レイアウトとは?倉庫作業の効率化に欠かせないレイアウトのポイントを解説
更新日 : 2023/10/04自社で製造した物や購入した物を保管することを目的とした物流倉庫での作業を効率化させるには、さまざまな施策が考えられます。そのなかでも重要な施策は、倉庫内のレイアウトです。荷物を移動しやすい、作業員が作業をしやすいレイアウトになっていないと、非効率な業務になってしまう恐れがあります。そこで今回は、設計時にレイアウトを重視すべき理由、レイアウトの改善で得られるメリット、効率的な倉庫をつくるためのレイアウトのポイントなどをお伝えします。これから倉庫の建設を行う、もしくはリニューアルを検討している際は、ぜひ参考にしてください。
物流施設について詳しくは、「物流センターに求められる役割とは?物流を取り巻く環境の変化と物流センターのあり方」をご覧ください。
Contents
倉庫レイアウトとは?
倉庫レイアウトとは、倉庫内の商品の保管場所や作業場所などの配置を決めることです。適切な倉庫レイアウトを行うことは、作業員の動きやすさや商品の出し入れのしやすさを実現するために欠かせないポイントになります。
特に、倉庫は大型の棚や作業用の設備などが多く、いったんレイアウトを決めてしまうと、それらをあとから移動するのは簡単ではありません。そのため、あとからかかる手間やコストを削減するためにも、建設時やリニューアル時には、実際の作業工程をもとに綿密な計画を立てて進めていく必要があります。
他にも工場のレイアウトについて詳しくは「工場の生産性を高めるレイアウトの種類とは?4つのレイアウトのポイントを解説」をご覧ください。
適切な倉庫レイアウトを実行するメリット
適切な倉庫レイアウトを実行すれば、作業を行ううえでさまざまなメリットが得られます。具体的には次のとおりです。
作業効率の向上
棚や通路の位置が適切にレイアウトされていれば、作業員は無駄に倉庫内を歩きまわる必要がなくなります。その結果、移動距離や移動時間が減り、作業のスピードや正確さを向上させることが可能です。また、どこに何があるかがすぐに分かるようになるため、出荷漏れが減り、ミスの削減にもつながります。
保管効率の向上
商品の出し入れがしにくい、棚の中を確認するのに時間がかかるといったことがなくなります。そのため、在庫管理が容易になると同時に、出し入れ時に商品を落としたり何かにぶつけたりといったリスクが減少し、品質維持も可能です。また、無駄なスペースが生まれないため、保管容量の最大化が実現します。
安全性の向上
適切なレイアウトにより、狭すぎる通路や死角、見えにくい棚などがなくなり、作業スペースや通路を十分に確保できるようになります。その結果、人同士がぶつかる、棚から製品が落ちてくるなどの事故やトラブルの発生リスクが低減するでしょう。
環境性の向上
狭い通路や見えにくい棚などが多く雑然とした倉庫は清掃しにくいため衛生面で問題があり、場合によっては作業員の健康被害が発生するかもしれません。逆に適切にレイアウトされた倉庫は清掃もしやすく、ほこりやカビの発生リスクも低減し、環境性の向上が可能です。
また、食品を扱う倉庫では、レイアウトが雑然としているとつい新しいものから出荷してしまい、古いものが残って腐ってしまうといったリスクも高まります。無駄な廃棄を抑えれば、無益なエネルギーの消費や温室効果ガスの発生も抑えられ、環境破壊を避けることにもつながります。
効率的な作業を実現するための倉庫レイアウトのポイント
さまざまなメリットを生む倉庫レイアウトですが、実際にメリットを享受するには、いくつかの点に注意しなければなりません。ここでは、作業効率化の実現に欠かせない倉庫レイアウトのポイントを解説します。
作業工程の明確化
入荷から出荷までの流れを可視化させ、その流れを正確に把握します。作業工程に沿ったレイアウト設計により、無駄な移動や作業の削減が可能です。ポイントは、入出庫が一筆書きのルートでできるようにレイアウトすることです。同じ通路を何度も行き来するようなレイアウトは避けなければなりません。
適切な作業スペースの確保
倉庫ビジネスとして考えた場合、どうしても保管スペースの拡大を重視しがちです。しかし、作業スペースが狭くなれば作業効率が落ち、結果としては利益が減少してしまう可能性もあります。
そのため、保管スペースだけではなく、作業動線や作業スペースの確保もしっかりと考えたうえでレイアウトすることが重要です。また、突発的な入出庫を考慮し、一時的に商品を保管するためのスペースも事前につくっておくと作業効率はさらに向上します。
出荷頻度分析の実行
出荷頻度の高い商品を、一番取り出しやすい場所に設置できるレイアウト設計を行いましょう。特に倉庫内での作業が少ない物流倉庫の場合は、出荷頻度を分析することが、適切なレイアウト設計を行うための重要なポイントとなります。
具体的には、出荷頻度別に3~5分類ぐらいにして収納場所を決めていくと、最短の移動距離で作業ができるようになり、効率化が進みます。
具体的な倉庫レイアウト例
倉庫レイアウトは大きくI型とU型に分けられます。違いは入出庫口の場所で、I型は入庫口の対面側に出庫口があるタイプ、U型は入出庫口が1カ所、もしくは同じ壁面に2カ所あるタイプです。それぞれのタイプでのレイアウト例を見てみましょう。
I型タイプのレイアウト例
I型タイプは入庫から出庫までの流れがスムーズで、商品の保管スペースを大きく取れるメリットがあります。デメリットは、入庫から出庫までが一直線のため、作業員が同じ場所に集中してしまう点です。これを避けるには、作業スペース、移動スペースを広めに取り、作業員同士の移動が重ならないような工夫をしましょう。
また、I型タイプのレイアウトは、作業員の移動距離が短くてすむ場所に出荷頻度の高い商品をレイアウトするのが基本です。内側(中央)から外側に向かって出荷頻度の高い商品から低い商品にしていくことで、作業員の移動距離を短くできます。
U型タイプのレイアウト例
U型タイプはI型タイプに比べ、作業員の移動距離は長くなりますが、作業員同士が鉢合わせになるリスクは低減します。そのため、I型よりも通路を狭くして、保管スペースを拡大することも可能です。壁面に保管場所を設置し、中央を作業スペースとすれば、I型よりも広い作業スペースを確保できます。
また、U型タイプの場合は、出入り口付近に出荷頻度の高い商品をレイアウトすることで、作業員の移動距離を短縮することが可能です。ただ、入出庫口が同じ場所または同じ壁面にあるため、そこだけに出荷頻度の高い商品を保管すると、作業員が集中してしまい作業効率が落ちてしまうリスクがあります。
そこで、各棚に出荷頻度の高い商品を適度に分散させて保管するのも、効率化を図るひとつの方法です。作業員の移動距離が長くなっても、結果としては効率化が進む場合もあります。
効率的なレイアウトの倉庫建設は経験豊富な施工会社への依頼がおすすめ
倉庫での作業は大きな荷物や重い荷物を扱うことも多いため、適切なレイアウト設計がなされていないと、作業効率が落ちるだけではなく、大けがのリスクもあります。設備をいったん設置してしまうとあとから位置を変更するのが困難なため、建設時やリニューアル時に効率的かつ安全に作業できるレイアウト設計をしっかりと検討することが重要です。
倉庫レイアウトを考える際には、作業員の声に耳を傾けることも重要ですが、施工経験が豊富な建設会社に依頼することも成功のカギとなるでしょう。さまざまなタイプの倉庫建設の施工実績がある建設会社であれば、あらゆる状況に応じて最適なレイアウト設計を実現します。
三陽建設はこれまでに数多くの倉庫建設実績があり、効率的かつ安全に働ける倉庫建設が可能です。倉庫レイアウトにお悩みの際には、ぜひお気軽にご相談ください。
倉庫の新規建設をご検討の方は「三陽建設の新規建築」をご覧ください。