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工場・製造業でのほこり対策が重要な理由と対策方法

更新日 : 2024/04/16
工場・製造業でのほこり対策が重要な理由と対策方法

人や製造ラインが動いていると、どうしてもほこりは発生しがちです。しかし工場内においてはほこりが発生してしまうと製品に品質に影響が及ぶほか時には重大な事故にもつながりかねません。そのため、ほこりに対しては何らかの対策をとり、排除することが欠かせません。

この記事では工場・製造業のほこり対策について、そもそもほこりが発生・進入する理由から、基本となる対応方針、具体的な対応策まで解説します。

工場のほこり対策に課題をお持ちの方はぜひご覧ください。

ほこりが工場にもたらすリスク

ほこりは工場においては製品の品質、安全性、そして従業員の健康にまで多大な影響を及ぼしかねません。ほこりが工場にもたらす主なリスクについて解説します。

製品の品質低下

工場内で発生するほこりが製品の表面に付着すると品質低下に直結します。特に、精密機器や電子部品などの場合、性能の低下や初期不良などに繋がるおそれもあるのです。また、誇りによりついた小さな傷が外観を損なうおそれもあります。

ほこりによる微細なキズや汚れは、製品の返品やクレームの原因ともなりかねないのです。

異物混入

ほこりの製品に混入することは、品質低下にとどまらず消費者の安全を脅かす重大な問題に発展するケースもあります。とりわけ、食品や医薬品の製造工程においては、ほこりが異物として混入することは衛生管理上許されないリスクです。

このような異物混入は、製品リコールや信頼性の低下、訴訟やSNSでの炎上などを引き起こしかねず、企業のブランドイメージにも悪影響を及ぼす可能性があります。

火災発生のリスク

特定の環境下では、ほこりが火災の原因となることもあります。特に、火花や静電気が発生しやすい環境下においては、ほこりへの引火が延焼の原因となり重大な事故を引き起こしかねません。このようなほこりによる火災は、人命や財産の損失に直結するため特に注意する必要があります。

従業員への健康被害

工場内のほこりは、従業員の健康にも悪影響を及ぼします。長期間にわたってほこりが充満した環境で作業することは、呼吸器系の疾患やアレルギー反応の原因となり得ます。特に、微細なほこりは肺の奥深くまで到達する可能性があり、職業性の健康障害を引き起こすリスクがあります。

健康への影響も生産性や従業員満足度の低下の原因となりえるため十分な対策が必要です。

工場にほこりが発生・進入する理由

様々な形で悪影響をおよぼすほこりですが、場内で発生するものもあれば外部から侵入するものもあり、その原因は多岐にわたります。

適切な対策を講じるためにも、工場内にほこりが発生しやすい主な原因を解説します。

天井や天井裏からの落下

建物の構造上、天井や天井裏はどうしてもほこりの蓄積場所となりやすいです。工場の天井は高く設計されていることも多く、清掃が難しいことも天井・天井裏でのほこりが発生しやすい要因といえるでしょう。

時間の経過とともに、これらの場所に蓄積したほこりが落下することで、工場内の空気を汚染する原因となります。

これらのほこりは換気を行った際に場内に循環してしまう可能性もあるため、注意が必要です。

布製品等からの自然発生

工場内に布製品(拭き布、フィルター材料など)がある場合、それらもほこりの自然発生の一因となりえます。

これらの布製品のこすれやほつれから微細な繊維が解放され、空気中にほこりとして拡散しされるのです。

繊維製品を扱っている場合や、工場内で何らかの理由で布製品を用いている場合はそれらがほこりの発生源となりえるため、注意が必要です。

人による持ち込み

工場には従業員や取引業者など多くの人が出入りしますが、この際に衣服や靴、持ち物や頭髪などのほこりが付着していることも、外部からほこりを持ち込む原因となりえます。

持ち込み自体を防ぐことは難しいため、ほこりの持ち込みが問題を引き起こす可能性のあるエリアへの出入りの制限や入場時のほこりの除去を行うのが現実的な対応です。

ほこり対策の基本的な考え方

先述の通り、ほこりの発生・持ち込みの原因は多岐にわたり、また、工場内で実施できる現実的なほこり対策も工場の性質によって異なります。

そのため、具体的な個別の方法例の解説の前に、基本的な考え方として「発生させない」「もちこませない」「除去する」の3つについて解説します。

①発生させない

工場内でほこりが発生している場合、そもそもほこりを発生させないよう工夫・努力することが根本的な対策として挙げられます。

発生原因となる箇所への対策や、原材料から発生している場合は原材料そのものの見直しも一つの対策と言えるでしょう。業務上、繊維製品などほこりの発生原因となりえるものを場内で使用している場合、代替品を探す、製品の素材を見直すといった対策も有効です。

また、ほこりが発生しにくい環境を常に保つこともほこりを発生させない対策として挙げられます。

②持ち込ませない

内部で発生しなくとも、ほこりは人の出入りや物品の搬入にともない外部からも持ち込まれます。このほこりの持ち込みを防ぐことも工場の重要なエリアにほこりを充満させない基本方針として重要です。

例えば、高度な衛生環境を保つエリアに入る際にはエアシャワーによってほこりを除去したり、作業着への着替えを義務付けたりといった対応が挙げられます。物品の取り扱いにも注意し、搬入時のほこりの除去などを実践するとよいでしょう。

③除去する

発生や持ち込みをできる限り防いだ上で、それでも発生するほこりは迅速に除去することで対策を行いましょう。

高性能フィルターを使用した換気や、集塵機による除去などが具体的な対策として挙げられます。

工場で有効なほこりの対策

先述の三原則をもとに、工場の場内のほこり対策について具体的な例をいくつか見ていきましょう。

こまめな清掃

こまめに清掃することにより、発生原因を取り除きほこりを発生しにくくすると同時に、発生したほこりについても除去することができます。床、機械、作業台など日常的に作業する場所は日常のルーティンとして清掃を取り入れることも有効と言えるでしょう。

天井や天井裏など清掃が行き届きにくく、発生原因となりやすい箇所は必要に応じて清掃業者を入れ、定期的な清掃をこころがけることが重要です。

食品工場における清掃のポイントについては「食品工場の清掃を安全かつ効率的に実施するポイント」もご参考ください。

換気

換気により空気を入れ替え、内部のほこりを外部に排出すること、外部からのほこりの進入を防ぐことも重要です。換気はほこり対策のみならず温度や湿度を管理する効果もあります。

一般的に換気というと「窓を開ける」といったことが考えられますが、工場内では場内の衛生環境を保つためにも必要に応じて換気システムを導入した方がよい場合もあります。

なお、換気システムは場内の精製環境を保ったまま換気ができますが、換気システムのフィルターが汚れていると、かえってほこりを充満させる結果にもなりかねないため、フィルターのこまめな点検が欠かせません。

ほこりが発生しづらい設計

設備内にほこりが発生しづらいよう、設計・改修することも有効です。たとえば、ダクトや配管はほこりが発生しやすいため、そのほこりが落ちてきにくいよう天井裏に設置するといった工夫が挙げられます。

また、壁をはがれにくい素材にしたり、ほこりが舞いにくいエアコンを導入したりといった工夫も重要です。

ゾーニング

工場内を複数のゾーンに分け、特に清潔を要する区域を設定します。特に高い衛生レベルを求めらえる箇所においては専用の衣服の着用やエアシャワーの設置など、ほこり対策を十分に行った上でしか出入りできなくすることで環境を保つことが重要です。

集塵機による除去

特定の作業エリアや機械設備に集塵機を設置することで、発生したほこりを即座に除去できます。ほこりの発生が避けられない環境、ほこりの存在が許されない環境においては、ほこりを除去するという考え方が重要です。

まとめ

工場におけるほこり対策について解説しました。ほこりは様々な要因で工場内に発生・進入しますが、それを放置すると様々な弊害が起こります。

工場の業務内容や製造ラインにより具体的にとることができる手段は異なりますが、「発生させない」「持ち込まない」「除去する」の三原則を基本とし、自社の工場内で取れる手法、有効と思われる手法を探ってみてください。

三陽建設は、工場の新規建築や改修工事を承っています。高品質な技術とこれまでに蓄積した経験から「ほこりが発生しづらい設計」を踏まえたご提案をさせていただきます。

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