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工場で見られる屋根の種類とは?改修のタイミングやポイントを解説
更新日 : 2023/10/04工場の屋根は、内装や外壁に比べて目につかない場所であるため、劣化の状況が把握しにくく改修のタイミングを計るのが難しい場所です。しかし、風雨や直射日光にさらされる場所であることから、改修のタイミングを見誤れば、工場内への雨漏りが起こり、設備や機器に影響を与えてしまうでしょう。そこで今回は、工場でよく見られる屋根の種類・特徴を把握したうえで、改修のタイミングやスムーズに行うためのポイントをお伝えします。工場のメンテナンス・改修工事を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
工場でよく見られる屋根の種類
工場で見られる屋根は何種類かありますが、なかでも代表的は、次の二種類です。
波板スレート屋根
材質はセメントと繊維を混ぜたものが中心で、波を打つような形状が特徴の屋根です。波板は大波スレートと小波スレートに分けられます。主に屋根に使われるのは大波スレートで、小波スレートは外壁材として使われるのが一般的です。
波板スレート屋根の主なメリット
- 耐久性
スレート屋根は耐用年数が25年以上と非常に耐久性の高い屋根材で、こまめな点検を必要としません。
- 耐火性
現在、日本では天然のスレートはあまり普及しておらず、上述したセメントと繊維を混ぜた化粧スレートが一般的です。化粧スレートの素材は、国が定めた法定不燃材料である「繊維強化セメント板」や「ガラス繊維混入セメント板」であり、高い耐火性を持った屋根材です。
- 遮音性
スレートの素材である「繊維強化セメント板」や「ガラス繊維混入セメント板」は、雨や風の音が内部で大きく響きません。
波板スレート屋根の主なデメリット
3つのメリットを持つスレート屋根ですが、デメリットも少なからず存在します。主なものは次のとおりです。
- 汚れやすい
スレート屋根は素材の特徴から表面がザラザラとしているため、汚れが付着しやすいというデメリットがあります。また、波板という形状のため、不着した汚れが落ちにくく、放置していると見栄えが悪くなります。
- 古いスレート屋根はアスベスト含有の可能性が高い
既存の工場で2004年以前に製造されたスレート屋根の多くは、高い確率でアスベストが混入しています。そのため、劣化して撤去する際には多額のコストがかかってしまう可能性が高いといえるでしょう。
折板屋根
鋼板などの金属板を蛇腹(じゃばら)に折りたたんだ形状の屋根です。
折板屋根の主なメリット
- 耐久性
一般的な折板屋根の耐用年数も20年以上と長く、耐久性の高さはメリットのひとつと言えます。
- 耐火性
金属板も法定不燃材料に定められており、耐火性が高いという特徴があります。
- 水はけがよい
金属板で表面がツルツルしているため、水はけがよいのも折板屋根のメリットです。
- 低コストかつ短期間での施工が可能
折板屋根は、通常の屋根のように下地を作る必要がないため、低コストかつ短期間での施工が可能です。
折板屋根の主なデメリット
- 遮熱性が低い
金属板という素材の性質上、熱を通しやすく、断熱材を設置しないと工場内部が高温になりやすくなります。
- 遮音性が低い
金属板は音が響きやすいのもデメリットです。スレート屋根に比べ、雨音や風音はどうしても響きやすくなってしまうでしょう。
工場の屋根を改修するタイミング
工場の屋根を改修するタイミングは、波板スレート屋根と折板屋根でそれぞれ異なります。ここではそれぞれの屋根を改修するタイミングについて見ていきましょう。
波板スレート屋根の改修タイミング
波板スレート屋根は、耐久性が高く耐用年数も25年以上あるのが一般的です。ただし、放置していると汚れが付着し、落としにくくなるデメリットがあるため、定期的なチェックと清掃が必要になります。
また、屋根自体の耐久性は高いものの、屋根を固定するフックボルトが錆び、そこから隙間ができて雨漏りの原因になる可能性は少なくありません。そこで、フックボルトの劣化が目立つようになったら、フックボルトの交換や周辺の補修といった改修が必要です。
そのほか、スレート自体は25年以上もっても、それ以前に塗装が剥げたり色落ちしたりといった劣化が起こることは十分に考えられます。そのため、塗装剤の耐用年数に合わせて点検を行い、色あせやカビ・コケが生えてきたり、チョーキングといった現象が見られたりしたら、再塗装が必要でしょう。
折板屋根の改修タイミング
折板屋根の改修タイミングもスレート屋根と同様、金属板以外の屋根材を固定しているボルトは定期的にチェックし、錆びついてきたら交換が必要です。また、塗装の色褪せ、強風による変形や腐食、飛来物による穴あきがあれば、都度改修を行います。金属板自体にも錆が目立つようになったら改修のタイミングです。
なお、屋根だけではなく一般的な倉庫の耐用年数については、「倉庫の耐用年数を知り、メンテナンスや修繕を適切に実践するポイントを解説」をご覧ください。
工場の屋根を改修する際のポイント
工場の屋根を改修する際には、次のような点に注意する必要があります。
定期点検を怠らない
普段目にする外壁や内装に比べ、屋根の劣化は気づきにくいため放置してしまいがちです。しかし、気が付いたときにはダメージが大きくなっている場合も少なくありません。
屋根の劣化が進めば、最悪の場合、錆や腐食によって強度が弱まり、耐震性が落ちたり、屋根材が落下したりといったことで従業員にケガを負わせてしまうリスクも生じてしまうでしょう。また、工場内で製造している製品や機械が壊れる可能性もあり、その場合、大きな損害が生まれるかもしれません。そのため、定期点検を怠らないようにすることが重要です。
定期点検は必ず専門性の高い業者へ依頼する
屋根の点検は高所での作業となるため、専門性の高い業者でなければ、落下によって命を落としてしまうリスクも十分に考えられます。また、豊富な経験や知識がない場合、細かな劣化や錆に気づけない可能性も高く、点検したとしても重要な劣化に気づけないまま放置することにもなってしまうでしょう。
点検だけなら自分たちで行う、安い価格で引き受けてくれる業者に依頼するといった考えでは、リスクが高いです。。そのため、改修工事だけではなく、点検も専門性の高い業者へ依頼することが重要です。
改修工事など工場のリフォームをお考えの方は、「工場のリフォームに最適なタイミングとは?費用や業者選びのポイントも併せて解説」をご覧ください。
工場の屋根を改修する際には、専門性の高い業者への依頼がおすすめ
屋根の劣化が進んだまま放置してしまうと、雨漏りしたり、屋根材が落下したりするリスクがあります。そのような工場では従業員も安心して働けず、生産性も高まらないでしょう。そのため、外壁や内装だけではなく、屋根の定期的な点検も忘れずに行い、問題があった際には迅速に改修することが欠かせません。
劣化がひどくなる前に改修を行えば、短期間かつ低コストで済む可能性も高いうえ、工場自体の寿命も長くなり、従業員も安心して働けるようになります。
ただし、改修工事はもちろん、点検業務も必ず専門性の高い業者に依頼することが重要です。豊富な知識や経験のある業者であれば、細かな異変にも気が付き、大きな事故につながるリスクも未然に防げる可能性が高いでしょう。
三陽建設は、工場や倉庫の改修経験が豊富で多くのノウハウを持っているため、安全かつ迅速な屋根の改修が可能です。屋根の点検や改修を検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。
工場・倉庫の改修・リニューアルをご検討の方は「三陽建設のリニューアル・リノベーション」をご覧ください。