ホテル
土地の活用方法としてのホテル建設という選択―メリット・デメリットは?
更新日 : 2023/10/04世界各国から日本への旅行は人気が高く、インバウンド需要は今後もさらに伸びていくと考えられています。そういった状況下で、土地の活用方法としてホテルの建設という選択肢も注目されています。そこで今回はホテル建設のメリットやデメリット、向いている立地、経営方法や経営についての注意点などをご紹介します。
Contents
ホテル建設のメリット・デメリット
インバウンド需要の増加や市街地の再開発によって、土地の活用方法としてホテルを選択するケースが増えています。
土地の活用方法としてホテルの建設には、どういったメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ホテル建設を選ぶメリット
土地の活用方法としてホテルを建設することで次のようなメリットが期待できます。
- 中長期的な安定収入
ホテルを建設する場所やホテルのコンセプト・内装・サービスなどを工夫することによって、安定した収入を得ることができます。特に、古くから知られる観光地や世界遺産のような名所の近くでは、さらに長期的な安定収入が見込めるでしょう。 - 経営に関する相談サービスが豊富
土地活用に関してのアドバイスやコンサルティングを受けられるサービスはさまざまありますが、ホテル事業に関しての相談サービスも豊富です。そのため、プロの的確なアドバイスによって失敗のリスクを低くできます。 - 土地ごとの宿泊ニーズに合わせられる
ホテルの建設は、その土地の宿泊ニーズに合わせて形態を変えることができるのもメリットのひとつです。温泉地であれば旅館風のホテル、観光地ではリゾートホテル、市街地であればビジネスホテルといったように、形態を選択できます。このように、ニーズに合わせた集客が可能になります。 - 相続税を節約
ホテルを建設することで、相続税を節約できるという点がメリットとなります。現金での相続では、相続額にそのまま税率をかけて計算することになります。一方で、不動産の場合は固定資産税評価額をもとにして税額が算出されます。この場合、現金での相続に対して大きく相続税が下がることが多く、節税効果の高い選択と言えます。
ホテル建設を選ぶデメリット
土地活用方法としてのホテル建設にはさまざまなメリットがあるものの、デメリットとなる部分もあります。
- 初期投資が大きい
ホテルの建設には数億円かかることも珍しくなく、土地活用としては初期投資が大きい方法です。他のホテルとの差別化を意識すると、建物や設備により多くの費用をかけることになりさらに初期投資が膨らみます。ただし、コストをかけずにホテルの建設を行うとうまく集客できないリスクも生まれます。集客のためにもある程度のコストをかける必要があり、資金力が必要な土地活用方法と言えます。 - 市場競争が激しい
ホテル市場ではすでに激しい競争が繰り広げられており、新規参入するのは厳しい業界と言えます。新規参入して収益を上げるのは容易ではないため、市場分析や競合研究は当然ながら、サービスの差別化も重要となります。 - 土地の転用が難しくなる
ホテル経営がうまく軌動に乗らず撤収することになった場合、その土地は集客性が悪く収益化が難しい土地というイメージがついてしまう可能性があります。こういったイメージにより、次の事業での協力企業募集や資金調達が困難になり、土地を転用しにくくなることも考えられます。ホテル建設後は土地の転用が難しくなることを理解したうえで、失敗しないよう計画的なホテル建設を行うことが重要です。
ホテルの立地に向いている土地・場所
では、どのような土地や場所でホテルを建設すれば成功する可能性が高いのでしょうか。
次のような場所はホテルを建設する土地として適していると言えます。
駅に近い場所
駅の近くは宿泊場所を探す人が多いため、ホテルを建設するのに適している場所です。
電車で目的地に最も近い駅まで移動し、ホテルに宿泊したあとはバスやタクシー、レンタカーなどでの移動を考える人が少なくありません。帰る際にも、「あとは電車に乗るだけ」という気楽さがメリットとなります。
観光地の周辺
観光地は離れた場所からも多くの人が訪れるため、必然的に宿泊を伴う旅行で訪れることが多くなります。そのため、ホテルを観光地の周辺で探す人も多く、ホテルの建設場所としても適しています。
また、観光という娯楽目的で訪れる人は消費の単価も高い傾向にあり、ホテルの付随サービス利用も期待でき収益をあげやすくなります。
商業地の周辺
ビジネスでの利用、観光での利用どちらにおいても、商業地のホテルには需要があります。商業地は基本的に電車やバスなど、交通の便が整備されています。そういった理由から商業地にあるホテルはさまざまな利用シーンで選ばれやすく、ホテル建設に適しています。
高速道路の主要インターチェンジ付近
自動車での移動を考えた場合は、交通の要衝であるインターチェンジ付近はホテル建設に適している場所です。目的地に近いインターチェンジ付近でホテルに宿泊し、帰りにもすぐに高速道路で帰路につくことができるため宿泊場所として好まれます。
大企業や工業団地・流通団地の近く
大企業の社屋がある場所や大規模な工業団地・流通団地の周辺は、出張や業者の出入りが多く宿泊需要があります。大きな企画やプロジェクトなどが動いている際には、長期利用も期待できます。
ホテルの経営と運用方法
土地の活用方法としてホテルの建設を選択した場合、ホテルを建てたあとの経営についても考えなくてはなりません。
ホテルの経営は、「土地や建物の所有」「ホテル事業の経営」「ホテル営業」それぞれを切り分けて考えるのが一般的です。この三つのどの部分をどのように受け持つかによって経営形態が分かれます。
おおまかな形態としては以下のようなものがあります。
- 所有・経営・運営を1社で行う単独経営
- 所有するオーナーとは別の会社が運営を行う運営委託
- オーナーにホテル経営の収益の一部を支払うリース方式
- 加盟店が収益の一部をロイヤルティーとして支払うフランチャイズ方式
- 所有・経営・運営を行う企業がそれぞれ独立しているMC方式
これらの経営形態について詳細は「ホテルの経営形態について解説―建設に適している場所や今後の需要など」で詳しくご紹介しておりますので、ご覧ください。
ホテル経営を行ううえで注意するポイント
ホテルを経営する際、次のようなポイントに注意する必要があります。
入念な検討、準備を行う
ホテル経営の検討段階では、ホテル経営が可能な地域かを入念に確認しておくことが重要です。
競合のホテルを調査し、どのようなコンセプトやサービスであれば差別化を図ることができるか、どのような方法で集客できるかを計画します。
基本計画がその後のサービス内容や人員配置などを含めた経営方針の根幹となるため、しっかりと時間をかけ綿密な計画を作り上げておく必要があります。
ホテル経営にはリスクもあることを理解しておく
ホテルの経営にはリスクが伴うことも理解しておかなければなりません。
ホテル経営は規模の大きなサービス業であるため、ランニングコストも大きなものとなります。多くの経費がかかり、経費に見合う売り上げが得られない場合は赤字額も大きくなる可能性があります。
また、ホテルの収益はインバウンド需要に左右される面が大きいため、コロナ禍のようなパンデミックや外国との関係などの外的要因によって上下するでしょう。
こういったリスクも含め、現実に即した需要予測を立てることが重要です。
ホテル経営を成功させるためには
ホテル経営を成功させるポイントとなるのは、次の三つです。
- 方向性の明確さ
ホテル建設時点からコンセプトやターゲット、サービスの方向性を明確にしていくことが重要です。「どのようなホテルにするか」を明確にしておくことで、その後の宣伝方法や宿泊プランの設定も決まっていきます。 - 集客のための工夫
ただホテルの建物を用意してスタッフを配置しただけでは収益があがりません。集客のための工夫を常に続けていく必要があります。現代ではウェブサイトを持っていることは当然で、そのほかに宿泊予約サイトやSNSなどのツールを活用した集客が重要です。インターネットやSNS担当の部署および専属担当者を配置している企業も少なくありません。 - 施工会社選び
ホテルは人が過ごす空間を提供するものであり、建物の出来も集客に影響します。また、ホテルの建設が完了したらゴールではなく、そこから数十年と建物のメンテナンスをしながら経営をしていかなければなりません。そういった理由からも、建設時の施工業者選びは重要です。建物を維持するための補修や改修の相談がしやすく安心して任せられる施工業者を選びましょう。
施工業者の選定については、「施工会社とは?施工と設計の違い、施工会社を選ぶポイントを解説」をご覧ください。
土地活用としてホテル建設を行う際は専門性が高い業者へ
土地の活用方法としてホテルを建設するメリットや経営に関する注意点、重要ポイントなどをご紹介しました。
世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症によって、観光業界は大きな落ち込みを経験したものの、インバウンド需要は今後も拡大していくと考えられます。そういった状況下で、土地の活用方法としてホテルの建設が注目されています。
ホテルはサービスも重要ですが、それと並ぶほどに重要なのが建物の印象や利便性です。三陽建設はホテルの建設実績が豊富で、多くのノウハウを持っています。ホテル建設をお考えの際は、三陽建設までご相談ください。