倉庫
倉庫の坪単価や建築費は?相場や建築費の決まり方を解説
更新日 : 2023/12/05自社で倉庫を持つうえで知っておくべきことは多くありますが、そのなかでも重要なのが建築費です。ただ、倉庫は一般的な建物とは構造が異なるため、特に初めての倉庫建設の場合、どれぐらいの建築費がかかるのかが分からず悩まれているケースも少なくありません。そこで、 今回は倉庫の建築費を把握するうえで欠かせない、 平均的な坪単価や建築費用を知る際のポイントをお伝えします。 建築費を安く抑える方法もご紹介しておりますので、これから倉庫建築を検討している、もしくは改修を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
倉庫の建築費はどのように決まる?
おおまかに言うと、倉庫の建築費は建築構造や建築方法、広さで決まります。
建築構造の違い
倉庫の主な建築構造は、次の4種類です。
鉄骨鉄筋コンクリート造
SRC(Steel Reinforced Concrete)造とも呼ばれる鉄骨鉄筋コンクリート造は、後述する鉄筋コンクリート造に鉄骨を組み合わせた構造です。
鉄骨鉄筋コンクリート造のメリットは耐久性や耐震性、防音性の高さです。また、建築物の設計自由度も高いため、大規模な倉庫建築にも向いた構造と言えるでしょう。ただし、鉄骨はコストが高いため、ほかの構造に比べ建築にかかる費用も高くなってしまうのがデメリットです。
鉄骨造
S(Steel)造とも呼ばれる鉄骨造は、一般的に「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類に分けられます。多くの場合、鉄骨造とは6mm超の厚みを持った鋼材を使った「重量鉄骨構造」のことです。6mm以下の鋼材を用いた鉄骨造は、「軽量鉄骨造」と呼ばれます。鉄骨造は鉄筋コンクリートよりも軽いため、高層の倉庫や建築物の建築に向いています。
軽量鉄骨造のメリットは、工場で大量生産された材料を使用するプレハブ工法が用いられるケースが多いため、建築コストを抑えつつ、工期を短縮できる点です。そして、重量鉄骨造のメリットは、間取りの自由度が高く、防音性が高い点にあります。ただ、どちらも通気性や調湿性が低いため、外気温の影響を受けやすいのがデメリットです。
鉄骨造の倉庫について詳しくは、「倉庫を鉄骨造にするメリットとは?構造の種類や事例もご紹介」をご覧ください。
鉄筋コンクリート造
RC(Reinforced Concrete)造とも呼ばれる鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートを主とした構造です。建築物の構造体の中に鉄筋を埋め込み、コンクリートで覆うことで一体化された構造体を形成します。
耐久性や耐震性、耐火性に優れているうえ、比較的自由に設計できるのがメリットです。ただ、重量が大きく、地盤が弱い地域には向いていません。
木造
木造は建物の主要な部分に木材を使った構造です。ほかの構造に比べコストが低く、通気性や断熱性、吸湿性に優れている点が大きなメリットです。ただ、耐久性や耐震性、耐火性が低いのは、倉庫としては大きなデメリットと言えるでしょう。
木造倉庫について詳しくは、「木造の倉庫を建てるメリットとは?鉄骨造と木造の特徴を比較して解説」をご覧ください。
建築方法の違い
倉庫の主な建築方法は次の3種類です。
在来工法
在来工法は日本古来の建築工法です。柱や梁で建物全体を支える構造で、耐久性が高くデザインの自由度も高い工法だと言えます。ただ、図面ができてからでないと費用見積もりができないため、予算組みが難しいのが難点です。
システム建築
システム建築は、設計・原材料選択・見積もり・生産といったプロセスをシステム化した工法です。在来工法に比べデザインの自由度が低い分、低コストかつ迅速な建築が可能で、現在、多くの倉庫に使われている工法です。
テント倉庫
テント倉庫は、骨組みにシートを張るタイプの工法です。ほかの工法に比べ耐久性は低いものの、一般的に最も低コストで短期間に建築できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ただ、定期的なテント・膜材の張替えが必要に必要になります。特に屋根部分の劣化は比較的早いため5年に毎ほどの頻度でテントの状態をチェックすることが大事です。
このような点から長期的な視点で見ると高コストになる場合もあります。
建築費の面から見ると、在来工法が最も高く、次いでシステム工法、テント倉庫の順になります。
それぞれの建築方法について詳しくは、「倉庫建築にかかる期間は?建築時の注意点や業者の選び方も解説」をご覧ください。
倉庫の建築費を把握しておくことの重要性
倉庫の建築費を把握しておかなくてはならない理由はいくつか考えられますが、特に重要性が高いのはどのような倉庫が建築できるかが明確になる点です。
予算に対して建築費がオーバーすることになれば、コストを下げるための施策を検討しなければなりません。逆に予算内であれば、設備の増強が可能になるなど、建築費を把握することによって、できること、できないことが明確になり、予算自体の見直しが必要かどうかも分かってきます。
倉庫建築における平均的な坪単価
倉庫の建築構造や建築方法の種類を見たところで、ここでは、倉庫建築における平均的な坪単価を紹介します。
鉄骨鉄筋コンクリート造:約47万4千円
鉄骨造:約46万3千円
鉄筋コンクリート造:約43万9千円
木造:約38万6千円
システム建築:約15万円
テント倉庫:約7万円
参照:建築着工統計調査2022年(3. 用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額)|e-Stat
倉庫を建築する地域や建築方法によっても異なりますが、上記が平均的な倉庫建築にかかる坪単価です。これに倉庫の面積を掛け合わせたものが、おおよその倉庫建築費となります。
また「坪単価」は、建設会社や工事業者によって内訳が違います。提示された坪単価の数字だけで判断せず、内訳をしっかり確認するようにしましょう。
坪単価には、以下の項目が含まれる場合と含まれない場合がありす。
・図面作成費用
・地盤補強工事
・外装・内装工事
・電気工事
・給排水工事
・空調
・確認申請費用 など
建築費を把握するうえでの注意点
倉庫の建築費を把握するうえで坪単価を知ることは重要ですが、坪単価と面積だけでは実際の建築費との誤差が大きく出る場合があります。そこで、ここでは実際の建築費を把握するための注意点を見てみましょう。
倉庫建築の目的を明確にする
どのような倉庫を建築するかで建築構造や建築方法が異なります。そのため、建築費を把握するには、まず倉庫建築の目的を明確にし、どのような倉庫にするかを決めましょう。
坪単価ではなく総工費で見る
倉庫建築には、内装・外装工事、電気・給排水・空調工事のほか、保管するものによっては地盤補強工事やセキュリティの費用、図面作成費用などさまざまな費用がかかります。
そのため、坪単価と建築費用だけで予算を組むと、あとになって予算をオーバーしてしまうケースも少なくありません。予算組みの時点でさまざまな費用がかかることを前提に検討するようにしましょう。
近年の動向もチェックする
資材の価格や土地代、新たな工法など最新情報のチェックも欠かせません。特に建築資材の価格は年々高騰を続けていて、一般財団法人 経済調査会が公開している「建設資材価格指数」では、2015年を100とした場合、2023年3月には東京で151.6、大阪で163.9と、1.5倍以上に高騰しています。
そのため、半年、1年先の着工を予定していて、予算を組む場合は特に価格動向を注視しておく必要があるでしょう。
実績豊富な施工会社に相談する
倉庫建築は一般の建物とは構造が異なるため、施工会社に相談する際は、倉庫建築の実績が豊富な施工会社を選択することが重要です。一般的な建物の施工実績だけで検討しないようにしましょう。
倉庫の建築費を安く抑える方法
予算の都合上、できるだけ建築費を安く抑えたい場合は、建築予定地や建築構造を再考してみましょう。また、事業用の倉庫を建築する場合、いくつかの補助金があるため、倉庫を建設する予定地の自治体に確認し、積極的に活用するのもおすすめです。
倉庫の建築費を安く抑える方法について詳しくは、「倉庫を安く建てる方法とは?コツやポイントを解説」をご覧ください。
正確な建築費の見積もりは専門業者への依頼がおすすめ
倉庫は種類が多く、建築方法も多様であることから、建築費用を把握するのも簡単ではありません。新規での倉庫建築や既存倉庫の改修であっても、最初の見積もり費用とは大きく異なる場合がほとんどです。
建築費を正しく把握するには、建築構造別の坪単価に加え、内装・外装工事費用、電気水道、空調工事費用なども勘案する必要があります。また、倉庫内で作業をする場合には、作業内容に応じた設備導入費用も必要です。さらに、在来工法にするかシステム建築にするかなど建築方法によっても費用は異なるため、事前にどのような倉庫にするのかを明確にしておくようにしましょう。
正確な建築費用を把握し、あとでトラブルにならないようにするには、倉庫建築実績が豊富な施工会社に見積もり依頼をするのがおすすめです。用途や予算に応じて相談に乗ってくれるので、目的を明確にしたら早い段階で相談するとよいでしょう。
三陽建設はこれまで多くの倉庫建築実績があり、用途に応じてさまざまな形の倉庫建築が可能です。倉庫建築を検討している際は、ぜひお気軽にご相談ください。
倉庫の新規建築をご検討の方は「三陽建設の新規建築」をご覧ください。